鍛冶師と付与魔法師
大森林近くにポツンとある一軒の小屋。その小屋の扉をノックするが返事はない。しかし、中からは金属を打ちつける音が響き渡っていた。形式的にノックしただけで返事が返ってこないことは予想ができていたのでそのまま扉を開いた。
「ドーボン!武器の整備を頼みに来たぞ!」
「おぉ!ハルか!」
奥の工房から出てきたのは髭が生えた背の小さいおっさんであった。彼の名前はドーボン。古代人種といわれるドワーフのおっさんだ。彼は街に住むのが性に合わなかったためこのような人が全然来ない森に住んでいた。
「あら、ハル君。こんにちわ~」
ドーボンの後から出てきた彼女はエリー。ドーボンの妻であり、魔石などに付与など行う付与魔法師である。しかし、こちらはすらっとしている。もちろんドワーフではなくエルフである。エルフも古代人種であり、どちらも長命種なのでハルの何倍も生きている。ハルのもういない父と一緒にハンターとしてパーティを組んでいた過去があるためハルにはよくしてくれていた。
「こいつの整備をお願いしたい。あと、炎系統の魔弾も用意してほしいです」
ハルがマジックリュックから出したのは少し大きな箱であった。それを開けると分解された狙撃銃が入っていた。この狙撃銃はボードンが作製したものだ。もとは父が使用していたものだが父が亡くなった後にハルが使いやすいようにドーボンが調整してくれたものだった。
「こりゃあだいぶきてんな。丁寧に整備はしてくれてたみたいだがさすがにここまでになってくると俺がしねぇとか。でもこの感じ少しかかるぞ?お前がここに来るってことは大森林になんかの依頼で来たんだろ?これなしででいる依頼か?」
「これを預けたら依頼をこなしてくるつもりだ。狼系モンスターの討伐依頼を受けてるからそれをやってくるつもりだ」
「炎系統の魔弾っていうのは、威力はどのくらいにしたいの?前に受けた時くらいの威力は今ある素材だと作れないわよ?まあ前のやつが特別強かったのだけど」
「前ほどの威力はいらないです。前のはあの威力がないと討伐の手順が増えて面倒だっただけなんで。平均的な威力で作ってもらえれば大丈夫です」
「わかったわ。じゃあその方向で進めるわね。ああそれと遠視魔法の使い心地はどうかしら?今までとは使い勝手がだいぶ違うから聞いときたかったのよね」
「お願いします。遠視魔法は個人的のですが使いやすいです。倍率を変えれるのはだいぶいいですね。でも魔力の操作が上手くできない人は今までの固定倍率のほうが使い勝手はいいと思いますよ」
「そうよねぇ。みんながみんな魔力操作がうまいわけじゃないものね。貴重な意見ありがとうね」
この世界の生きているものは全員が魔力というもの持っているが、魔力の大小は存在している。付与魔法師のエリーやハルは魔力が多いうえ操作が上手い。しかしドーボンは多いが操作が苦手である。武器作製の時に使う窯などは火力が高いほうがいいときが多いので多少強くなっても平気であるため問題ないが魔弾などの鉱石と魔石を混ぜてそこの魔法付与をしなければならない作業は魔力操作が上手くできないとうまく作用せずにただの素材費が高い弾丸になってしまうのだ。なので魔法付与が必要な武器はドーボンが大枠を作ってエリーが付与する形をここの工房ではとっていた。
「じゃあ俺は討伐に行くけど欲しい素材はあるか?魔力核は組合に出すけどそれ以外は俺がもらっていいらしいからあるなら取ってくるぞ」
「いやいや、待て。魔力核は組合?そもそも魔力核があるってことは相当強い奴じゃないのか?」
「ああ、今回の討伐対象は王獣種だよ。俺自身があんまり気にしてなかったから言い忘れてたな」
「まあお前の実力なら問題ないとは思うがさすがに黙って1人で送り出すことはできなかったな、そうだなぁ、牙と爪でもお願いしようかな。あれは鉱石とよく馴染むんだ。最高な武器が作れると思うぞ」
「わかった。それを持ってこよう。最高な武器を期待してるぞ。じゃあ行ってくる」
「おお、気ぃつけろな」
「気を付けていってらしゃいね」
工房を出てハルは大森林に向かった。




