二人の選択
少し修正しました
ハルは話し始めた。
「まずはリルから説明があった通り寿命がなくなること。これは元々長命種である二人にはあまり関係ないかもな。友達の死を多く見届けてきたであろう二人がこれをどう考えるかは俺にはわからないけど俺にはずっと研鑽することができるのは利点だと考えた。そして、リルの魔法特性の引継ぎだ。これは鍛冶師と付与魔法師である二人には大きな利点があると考えている。ドーボンは使える魔法が少なく扱いも苦手だと言っていたが悠久の時間とこの魔法特性を手に入れれることは強みになると思う。そしてエミーさんは付与魔法師として今まで以上の魔法を付与することができる。これは魔弾の作成に大いに役に立つと思う。最後に、これは俺の感情としてずっとドーボンの武器、エミーさんが作成した魔弾を使っていきたいと思っていること。完全にこれは俺のわがままだ」
ハルはこの二人以外に武器を頼むつもりはないと事実上言ったのだ。もちろん、二人が眷属にならず自然に死にゆくことを望むならそれは諦めるしかない。仕方のないことだ。ハルは初めて二人にわがままを言った。これが二人にはすごくうれしく思えていた。
「ハル、お前が初めて俺たちにわがままを言ったな。親が早いうちに亡くなって一人で何でもできるように育ってきていまじゃ神級ハンターだ。親の二人や俺たちを抜いてな。お前の両親とパーティを組んでいた俺たちが代わりに育てなきゃと思ってなるべくサポートしてきた。大変だっただろう。そして今お前が初めてわがままを言ったんだ。俺たちはうれしいぞ」
「そうね。わがまま言わずに目標目指してずっと走り続けてきたんだものね。私たちはそれを見てきた、いや見ていることしかできなかった。サポートはしていたけれどそれは私たちじゃなくてもできたことですもの。それでも私たちを頼ってくれてそれに応えられているか心配していたのだけれどさっきのハル君の言葉を聞いてようやくハル君の両親に報告できそうよ」
二人ともハルのことをずっと心配していた。他人よりもハイペースでランクを駆け上がり今は最上位のハンターになった。小さいころにはハンターはやめた方がいいんじゃないかと言ったこともあった。しかし、ハルはハンターになった。そして二人と同じ幻級ハンターになったときに両親が狩猟に失敗した火山地帯の王獣種を討伐したのだ。二人はこれでハルはハンターに未練は無くなり引するなり、ゆっくりハンターで生活に困らない程度に稼いでいくものだと思っていた。しかし、現実は違った。親の仇のモンスターは王獣種。そして記録にはないソロでの討伐だ。組合がこのようなハンターを放っておくわけがなく、様々な場所の危険度が高いモンスターの討伐依頼が増えていった。二人は組合長に抗議に行こうとしたがそれを止めたのはハル自身であった。まだ今よりも幼かったハルが被害が広がるほうが嫌だと言ったのだ。二人は黙り込んでしまった。自分たちより全然生きていないハルに言われたのだ、そしてこれはハルの両親も言っていたことで驚きも相まって黙ってしまった。ハルの両親も幻級ハンターであったためこのようなことを常々言っていたのだ。ここまで似るのだなとその時は思った。こんなに自分の人生の中で少ないながらも濃い時間であった。そして二人もこの生活を続けたいと思ってしまっていた。そして二人は顔を見合わせてうなずく。
「ハル、俺たちは眷属になろう。そしてハルに見合う武器を今後も作っていくことにするぞ。もちろん、武器を作るには素材が必要だ。それはお前に任せるぞ」
「ハル君が満足できるものを用意するわね」
二人はハルの願いを聞き届けることにした。ハルの両親に死に際に言われた言葉を守るように。しかしこの言葉が二人にとって呪いの言葉になることはないだろう。二人の中には確かにハルへの愛情があるのだから。
「二人ともありがとう、俺のわがままに応えてくれて。それじゃあ後はリルに任せよう」
「ええ、任せて。ではお二人ともここに立ってください」
二人がリルに言われて立ったところに魔法陣が浮かび上がる。二人に獣人の特徴が出ることはない。魔法特性に変化が出るだけである。そして二人とも長命種であるため寿命がほぼなくなる体内の変化は緩やかなのでハルと違い痛みを伴うことはないのである。そもそも眷属魔法はモンスターか古代人種に使用する魔法として開発されたものなのである。そうしてリルはドーボンとエミーに魔法をかけた。




