ドーボンの家にて
「なんでここにいるんだ、ドーボン」
なぜかリルを迎えに来たところにドーボンがいる。そしてリルと話をしていたようだ。確かにここはドーボンの家からそこそこ近いが彼は職業柄家からあまり出てこない。このタイミングでいることにハルは驚いていた。
「おぉ、ハルか。ちと炉の温度を上げるための薪が少なくなっててな。それを取りに来ていたとこなんだ。そしたら見慣れない嬢ちゃんがいたもんでな。話を聞いてたんだ。そしたらハルの嫁さんってぇ言うじゃねぇか。こちとらびっくりだぜ、お前もやることやってたんだな」
「はぁ。俺がリルと出会ったのは一週間ほど前だ。そしたら話がトントン拍子で進んでこうなった。詳しくはあんたの家でするから行こう。ここじゃしにくい話もあるんでな」
ハルたちはドーボンの家に移動しエミーも含めて出会いから今までの話を話した。
「じゃあなんだ、この嬢ちゃん、いや神狼様は強き者を探しててハルにしたってことか。それにハル、その耳と尻尾は獣人族になったってことだよな、そんなことがあんのか」
「ほんとに驚いたわ、私も夫も種族が変わるのを見たことないもの。私たちは知っての通り長寿の種族で、それなりに長生きしているけれどこんなことは初めてよ」
そう、この二人は気のいい夫婦であるが古代人種と言われるドワーフ族とエルフ族であり、村から外界に出てきた変わり者であった。この二つの種族は砂海の孤島と言われる踏ん張りがきかない砂の海の真ん中にある世界樹の根元にある孤島にある村出身だ。ここは神獣種である空龍神が守っていると言われているのだ。もちろん、人族で見たことあるというものはいない。しかし彼らは空龍神のお膝元で生きていたのだ。なので神獣種だと言われてもあまり驚かないのだろう。それよりも小さいころから面倒を見ていたハルがその神獣種ほ夫になり種族が大昔にいなくなったと言われていた獣人族になっていたことのほうが驚いていた。
「まあ俺もかなり驚いたよ。でも大森林の今後のことを考えればこれが最善だと判断した。好き嫌いは今のところわからないがこれからそれを探していけたらと思ってる」
ハルは夫になるということよりも王獣種を個人的な判断で狩猟していいということがこの森で訓練している人族にとっての利益になると判断したのだ。ハル自身、ついこの間大量のハンターの死を見ている。このようなことをなくしていきたいと思っているのだ。自分の手の届く範囲でしか無理だがそれでも発生してから行くよりも大森林に住めば楽に討伐に行ける。それは利点だった。そろそろ放浪するのもやめようと思っていたのだ。武器の手入れはドーボン夫妻しかできないのでこれも魅力であった。
「神狼様はそれでいいんですか?彼はこんなことを言ってますけど」
エミーは心配そうにリルにそう尋ねる。それはそうだ。夫になる男が好きか嫌いかはまだわからないなどといっているのだ。同じ女性としてそこを疑問視している。しかし、リルは笑って答えた。
「元々少し強引に私が決めたことですので問題ないですよ。それにこれから考えてくれると言ってくれているので大丈夫です。時間はありますから。あ、それと私のことはリルで結構ですよ。ハルのお世話になっている方々ですもの。私も仲良くしたいです」
エミーは少し疑問が浮かんだ。確かに神獣種のリルならば時間はいくらでもあるだろう。彼らは寿命がほぼない。しかしハルは獣人種になったとしても元人族だ。寿命は存在する。しかも古代人種と言われている中で獣人種のみが人と同じくらいの寿命なのだ。そこに違和感を覚えたエミーはリルに聞いた。
「リル様、先ほど時間があると言っていましたがそれはどういうことでしょうか?獣人種は長命の種族ではありませんよね?」
「ああ、それはハルは普通の獣人種とは違うからです。私の眷属魔法で獣人になったハルは寿命が私たち神獣種と同じく寿命がほぼなくなるんですよ。だからこそ時間があるということです」
これはまた驚かされた。つまり神獣種が生み出したものはほぼ寿命がないということになる。しかしそれでは神獣種の子供が生まれた場合はどうなるのだろう。死なず数ばかりが増えていくのだろうか。エミーは少し気になりはしたがこれは聞けなかった。なにか聞いてはいけない気がしたのだ。
「そうなんですか。それじゃあハルはほぼ寿命がなくなってしまったんですね。私たちと同じですね」
話を変えるようにエミーはハルを見て笑いながらそう言った。
「そうみたいですね。それでドーボンとエミーさんに折り入って相談がありまして。自分と同じくリルの眷属魔法で眷属になりませんか?」
ハルからいきなり爆弾発言が出た。自分たち夫妻が眷属に?と二人は思った。今の話を聞いているとすでに長命種である自分たちにはあまり関係ないと思っていたのだ。
「眷属に?俺たち夫婦が?寿命ならまだまだ生きるぞ俺らは。寿命以外に何かあるのか?」
気になると言わんばかりにドーボンが聞いてきた。確かに長命種である二人の種族は長ければ千年を超える寿命を持っている。そしてこの二人はまだ二百年ほどしか生きておらず種族の中では若い方だ。だからこそ村を飛び出たといってもいいのだが。村には七百年以上生きているものがほとんどだ。村を出て世界を見て帰るのが彼らの中で一般的なのだ。この二人が変わっているのは村に戻る気がないということだろう。世界を回らずにここに定住したのだ。このようなものはあまりいない。この二人の興味を引いた相談をハルは話し始めた。
一章の終わりが見えてきました。初めて書いているので難しいですがまだまだ書いていきたいと思っていますので読んでいただけるとうれしいです。




