本来の依頼
ついに今回の依頼のターゲットが目の前に来た。一番最初に思ったことはでかいということだ。全長は30mはありそうだ。そして体高も高い。ハルと比べてみると爪がハルと同じ大きさだ。それなのに動きが速く移動の音はほぼ聞こえない。立派な角から電気をまとってそれが体の周りを廻っていく。この電気は攻撃や回避といった行動に幅広く利用しているようだ。王獣種の周りに小さな電気の球が浮かんでいる。この小さな球から目に見えない電磁波が出ている。王獣種へ攻撃するときにはどうしてもこの電磁波に引っかかってしまうのだがこれに反応し反射で王獣種は回避行動を取るのだ。
ハルは切絶を一閃した。しかし、王獣種はハルの一閃を目にも止まらぬ速さで回避している。ハルは体に当たった電磁波を感じ取っていた。電磁波ということは知識に持ってはいなかったが何かセンサーのようなもの触れたことはわかった。
「この速度の攻撃を避けるか。思考してからでは間に合わないだろう。なにか種があるのかな」
ハルは自分の速度が回避行動を取れないであろう速度であると自負していた。しかし、現に避けられている。ここでハルは止まらない。王獣種の素早い攻撃を回避しながら思考を巡らす。
(攻撃の速度は先ほどよりも速くないんだよな。これは考えていたよりも骨が折れる相手だ)
ハルは王獣種に当たらないところに切り込んだ。そこそこ離れているにも関わらず王獣種は回避行動を取った。これを見たハルは仮説を立てた。
(うん、当たらない場所でも避けるのか。これは切り込んだ時に感じった何かに俺か切絶、またはその両方が当たった場合に自動で回避行動を取るようになってるのか。モンスターなのにかなり高度なことをやってるんだな)
ハルは数度刀を切りつけただけでその正体にほぼ完ぺきな答えを導き出した。これを導き出せてもどのように何でその速度で情報を伝達しているのかわからなかった。しかし、そこでハルは昔組合で話した頭のおかしい研究者の話を思い出した。
『脳から微弱の電気が流れてそれで体を動かしているんだよ。反射ってあるだろう?体のどこに当たったらここが勝手に動くってやつ。これは電気が関係していると思うんだ。人を解剖して確認はできないけどモンスターで試したらモンスターにもあったから人もあると思うんだ』
このようなことを言っていた気がする。ならばと遠くから水魔法を使い水を放射状に広げて王獣種に向かって放つ。水はよく電気を通す。なので全てに反応するようにしたらどうなるのか試した。そうすると高速で移動したのちに王獣種がこけた。
(ビンゴだ!)
ハルは確信に変えた。王獣種はすぐに立ち上がりハルへ肉薄すし、そのまま腕を振り落とす。踏まれれば終わりであり、回避に間に合ったとしてもギリギリで回避すると帯電している電気に感電してしまう。そのような危険性があるがハルはその帯電している電気の効果外まで回避した。肉体強化。これをハルは惜しみなく使う。この魔法だけは体内の魔力を循環させているので魔力消費が他の魔法に比べて少ない。なのでハルはその強化による力業で回避している。その後に純水を魔法で生み出す。今まで使っていた水魔法は空気中に存在する水分を集めて使用していた。しかし今回は一から自分で生み出す。こうすることで不純物がほぼない純水を作り出す。水が電気を通すのは不純物があることが原因であり不純物がない純水は電気を通さない。これを王獣種の周りに発生させた。その後すぐにハルは切絶で斬り込んだ。今度は回避することなく王獣種に当たる。しかし帯電している電気が消えたわけではないので切絶の刃にも純水を纏わせている。電気を無視しそのまま肉に当たったタイミングで刃の部分の純水を退けて斬った。
「硬いなぁ、こいつでこれ以上切り込めないか」
骨に到達する前に刃が止まった。今まではこのようなことはなかったが今回の相手は今までで一番強いらしい。今まで討伐してきたモンスターは自己強化を使っていなかったが今回のこいつは使っているので肉体の強度が変わってきている。ハルは一旦離れ、再度受けに回り相手の動きを観察することにした。しかし、もう悠長にやってもいられない。ハルはもうこいつに水魔法を使用しているのでここで水系統を習得させるのはまずい。そもそも雨が降っていれば今以上に苦戦を強いられていたはずだ。ここで水系統を覚えさせると懸念した事態になりかねないのですぐに王獣種を見て戦闘を再開した。




