異常な群れ
ナイトルグを倒しったハルはこのまま素材をはぎ取らず奥に進んでいく。一般のハンターなら欲しい素材なのだがハルには必要がない素材である。そしてこの森に入ってから普段なら遭遇しないモンスターと戦闘を行なってきているため回収できる量に限界がきていた。なので無視して奥へ進んでいるのだが奥から地響きを響かせながら何かが向かってくる。しかも数体じゃなく、何十体という量に思える。ハルは奥を注視してみているとそこにはファキングが大量にこちらへ向かってきていた。
「ファキングがこの量で向かってくる?どうなってんだ?」
基本的にファキング1体でファピングが数体というのが猪系の基本的な群れの形でありこのようにファキングが大量にいる状況は今まで見たことがない。猪系の王獣種がいるならばこうなる可能性も否定はできないが猪系モンスターが群れを成す場合、長となるモンスターが先頭を走っているのが普通でありそれがリーダーとしての矜持なのである。しかしこの群れには王獣種に見えるモンスターはいない。なのでこれは群れじゃないのではないかとハルは思った。ハルを見つけたであろうファキングはそこをどけと言わんばかりにそのまま突進してくる。これは少し様子がおかしい。前に何か見えればファキングは一旦止まり様子を確認する。相手の力量を確認するためであり、これはどんなに弱い相手でも毎回するのだ。確認にかかる時間は様々だが止まらないことは習性的にないと断言できる。ハルは大量にファキングが迫ってきているのでこれをどうするか悩んだ。時間はもうさほどないがこの量のファキングを通してしまうと生態系がおかしくなってしまう。数体くらいなら通しても問題ない種類ではあるので間引きを開始しようと思い、腰の刀に手をかけたときにファキングに雷が落ちた。1体残らず全て感電しその場で煙を立てて倒れている。その後方からそいつは現れた。
「こいつか、目撃情報があった王獣種は。でけぇな」
そこには狼系の王獣種がいた。ファキングよりも数倍はでかい。額からは1本の大きな角を生やし体には電気が帯電している。とてつもない巨躯なのだが足音が全くしない。これはかなりの年月を生きていると考える。そしてそのくらい生きているモンスターは狡猾であり、このファキングの群れはこいつが追い込んで集めたものだろう。1体ずつ食べてもしょうがないとでも思ったのか大量に集めることにしたのだろう。これに巻き込まれるのは不通にハンターにとってはどれだけ不運なことだと思っているのか。しかし、ここにいるのは普通のハンターではなく神級ハンターのハルである。ハルは自分の今回の討伐対象が目の前に来てくれたので探す手間は省けたと思っていた。
「わざわざここまで来てくれてありがとな。王獣種が自然界のみで発生した場合かなり狡猾になっていてなかなかハンターの前に出てこないからな。探す手間が省けてよかったよ」
ハルと王獣種が向かい合う。いつ戦闘が始まってもおかしくない状況の中でハルにも気配を悟らせない小さな狼が1体この様子を見ている。その瞳が映す景色はその狼だけの視界ではなかった。
片目を瞑りながら椅子に腰を掛けている少女が1人。彼女は何か楽しそうにしている。
「さて、今回の子は私の眷属になれるかしら。それにしてもあの人族は何か普通に人族とは違う気がするわ。いつもみたいに大人数で来ないで1人だし彼だけの今回のほうが強そうなのだけれど」
その少女はハルの実力を見抜いている。そしてハルと王獣種を観察している狼も細心の注意を払って気づかれないようにしている。
「もしかしたら初めて人族の眷属ができるかもね」
少女はうれしそうな声でそう言葉をこぼし、狼の耳と尾を振っていった。




