大森林特有のモンスター
ハルは奥に進んでいく。森の中だというのに周りの視界が良くなってきた。相変わらず空は見えず薄暗いが障害物が少なくなってきている。これは周りの木々が大きくなっているため間隔が広がってきているのだ。なのでここに野営地を作成するのならば幹をくり抜いてその中が安全といわれている。前に来たハンターがそのような野営地を作成しているため、ハルはそこで休むことにした。ここら辺までくることはそこそこあるのでハルは場所がわかっているが初めての場合は経験があるハンターとともに来ないと野営地を見つけることもできないだろう。そうしないとモンスターに荒らされてしまうからである。少し前の野営地にはモンスター除けの魔石があったがここまでは持ってくる労力と使用頻度でつり合いが取れないので設置されていない。なので木の皮で出入口を塞いで見つけずらくしてあるのである。これでも見つかって棲み処にされている場合があるため入るときに中の確認は必須だ。ハルは中を確認し何もいないことを見て中に入っていく。ハルは手持ちにモンスター除けの魔石があるがそれは使わない。このくらい奥のモンスターであると効かないことがあるのでハルは自分の魔力を隠ぺいすることに注力して夜を超す作業を始めた。
「モンスターの気配は周りにはなしか。魔力察知の魔石を周りに埋めてあるから少し食べて寝るとしよう」
そうして前に作った保存食を口にしてそのまま眠った。
次に日、起きて軽く食事をとってハルはこの野営地を後にした。ここにはあまり長いしない方がいいのだ。これはモンスターよりも触覚に頼っている大型の虫対策である。一日中薄暗い森なので視力よりも匂いなどを感知する触覚を進化させてきた種類が多い。そして、その虫たちにとってハンターのような人は格好の獲物なのだ。この森で弱者である虫たちは集団で少し大きなモンスターを襲ったり、死骸などを食べている。群れを作らない虫はそのような虫たちよりも大きいのでその集団の虫を襲って数匹を食べているが群れでない虫からするとハンターは格好の獲物なのだ。食べるには少ないのだが人はその大きさに見合わぬ魔力を持っている。この魔力を摂取することで魔法を得ればモンスターにすら対抗する力を手に入れることができる。虫たちは意思というのはほとんど存在していないが本能でそのようにわかっているのだ。なので実はこの森でハンターが亡くなる一番の原因はこの虫たちによる被害であり、モンスターと違いなんでも食べ何も残らないので亡くなった判断が難しく大体は行方不明からの時効での死亡判断になるのだ。昨日のハンターたちはあくまで運が良かっただけなのだ。それでもハルは進む。彼にとっては些事であり、虫には遅れは取らない自信がある。それは今までのハンターとしての活動で証明している。そして少し歩いていると大きな木の幹に何かが見える。1本の大きな角、そして横から立派な1対の牙の生えた6本脚の黒い物体が飛んできた。カブトムシのような角にかなりでかい顎を備えたモンスターだ。虫はモンスターではないとされているがこの森にいる虫に限りモンスターとして認識されている。それは単純に大きさ、強さで決まっている。このカブトムシのようなモンスターはナイトルグという。普段は木の幹にしがみついて樹液などを摂取しているが人などの魔力が多いものには積極的に襲い掛かるモンスターだ。
「このエリアに入って最初に戦うのがナイトルグか。大きさはナイトルグにしては小さめかな」
ハルは小さめといっているが体高はハルの胸くらいまであり、角は大きく体長は2mを超える。普通の人からすれば怖すぎるモンスターである。そしてなにより外殻が途轍もなく硬く普通の剣ならば刃が通らないほどであり、逆に折られてしまうこともあるのだ。しかしハルが使う切絶はナイトルグを外殻ごと切ることができるし火魔法を付与すれば余計に切りやすくなる。虫系のモンスターが他のモンスターとは明確に違い点があり、それは絶対に習得できない魔法特性があるということだ。火などは絶対にできないとされていて今までで発見報告はされていない。そして虫系は火魔法に弱いのだ。まだ発見されていないだけでいるのかもしれないがこの森以外ではここまで虫が大きくなることはなくまず魔力に耐えられないためこの森にいないということは存在しないと結論付けられている。ハルは火を付与した切絶をナイトルグ目がけて振り抜きそのまま両断してその戦闘を終わらせた。2つに分かれたナイトルグを横目に見ながらさらに進んでいく。




