狼王との戦闘
予定になかった王獣種との遭遇。恨み言を吐きながらもハルは冷静に状況を見る。ここで潰せると考えればある意味この状況は悪くない。呼び出しの回数が減り自分のことができるということだからだ。ハルはソロで活動していることからもわかるように縛られることが嫌いなので面倒ではあるがしっかりと倒すことにする。ハルは過去に王獣種との戦闘は何回かしたことがある。その中で火山地帯での王獣種との戦闘が多かった。これは普段火山地帯に人が寄り付かないので大獣種が王獣種になってから発見が遅れるためだ。なので火山地帯での依頼をしに向かったハンターが王獣種を発見し、そこから討伐という流れになるからだ。そして火山地帯で見つかる王獣種は奥地がほとんどでこれは環境が厳しく幻級ハンターでも複数を派遣するのが大変なので神級ハンターであるハルが依頼を受けることが多いのだ。なので今回の王獣種の魔法特性はハルには自分が使っていることを加味しなくてもやりやすい相手だ。しかも環境は森であり火山地帯のような厳しい環境ではない。あとは進化直後なのでそこにだけ気を付ければいい。そうこう考えながら戦闘は始まった。
王獣種はその種の頂点捕食者である。この場合は狼種なので狼王である。この狼王は珍しい2種の魔法を使用しそれを混ぜて溶岩として使う。特徴をのちに組合に報告することで名前が付くだろう。まずはこいつの環境変化をどうにかしなければならない。足元から溶岩が溢れ出ている。これが広がると森林火災間違いなしなのでこれ以上広げないように土の魔法を使用する。自分と狼王を囲むように大きな土壁を形成していく。これでこれ以上広がることはないだろう。放置すれば溶岩が溜まってきて結果的に溢れてきてしまうがそうなる前に仕留める気なので関係ない。
「これでお前と戦う場所は作ったぞ。この中でどちらかが倒れるまでやりあおうや」
ハルは土で自分が移動できるくらいの島を形成していく。溶岩が下を埋め尽くしていくといくらハルでも移動が縛られてくるので動きやすいように壁を作ったと同時に形成していた。ハルは切絶を構え、そのまま狼王へ向かっていく。狼王は自分の前に土の壁を作りそれを防ぐ。その後に土壁の横に素早く移動し火をハルに吐き出した。ハルはその攻撃を風の魔法を使って吹き飛ばす。風の魔法は扱うのが難しいと言われている。それは自然の力を流用しているためだ。自然の力は人の力ではどうすることもできないことがほとんどなのでこれを操作するのは簡単ではない。また水魔法なども自分で作り出して使うことよりも川や海など動いているものを媒介にして扱うには大変だと言われている。ハルはそのような魔法を息をするように使っていく。そして自分の火が吹き飛ばされた狼王は少し驚いたような動きをして距離をとる。
「やっぱり王獣種くらいまで進化するとある程度の知能はあるようだな。これが成長してたら幻級じゃ対処できなくなるな。ここで討伐できるのはよかったな」
距離を取った狼王に対してハルは距離をどんどん詰めていく。切絶に魔力を込める。今回は水系統の魔法を込める。その魔力を込めた切絶を横に切り払う。これを狼王は危なげなく避けるがジャンプして避けたため空中で無防備になる。狼王は土魔法が使えるので土を盛り上げればいいと思っているようだ。しかし、その一瞬を見逃すハルではない。空中にいる狼王に対して自分は土で足場を作りながら進んでいく。狼王は焦ったように火を吐くが先ほどはなった切り払い、これが下にある溶岩と狼王の間に水の膜を形成していた。その水はハルが魔法で生成したものなのでハルの思い通りに動かすことができる。下の水で壁を作り火を消した。それでさらに焦っている狼王の首をハルは切り落としに行く。大獣種が進化したばかりということもあって普通の王獣種よりは小さい。それでもハルの刀の長さの数倍の首回りをしているのだがハルは首に目がけて切絶を振り下ろした。刀の延長線上に目視が難しいほど薄い膜が見えた。魔力で刀の長さを増やしたのだ。しかもそれを水系統の魔力で作り出している。この狼王に対してはかなり相性がいい魔法であり汎用性も高い。魔力の系統を変えることでその属性の武器を作り出すことができるのだ。武器自体に付与されているものに比べれば少し劣るがハルの場合、元の武器性能が段違いなのでこれは些細な問題にできている。狼王は土魔法を使用して首回りを守ろうとしたがそれは間に合うことなく切り落とされた。
「ふう、結構魔力を使ったな。これの処理もしなきゃなのかぁ、めんどうだなぁ」
ハルは戦闘の現場を見渡すと火山地帯と見間違えそうな景色が広がっていた。土壁の外は平気だが中にあった木々は燃えて今はもう溶岩に飲まれて跡形もなくなっている。先ほどもしたように溶岩を消していく。そして狼王の魔力核を回収し、自分と相性がいいモンスターだったので素材も少しはぎ取る。そのようなことをしながらハルは環境を直していった。




