1級ハンターたちの最期
前衛の士気が上がったところでリーダーは後衛へ下がってきた。後衛では魔法師が回復魔法をかけたり後ろから魔法で攻撃したりしている。前衛が交互に変わりながら回復を回しているが追いつかなくなってきている。リーダーが抜けた穴はかなり大きいらしい。回復魔法といっても色々な種類が存在し、傷を塞ぐ魔法や折れた骨をつなげる魔法など色々ある。骨折を治すといっても魔法で無理やりつなげるだけでそこからしっかりつながるまでには個人の治癒の能力に依存してしまう。つながっていても痛みは感じるので実質リーダーは戦線復帰は絶望的である。他のハンターたちもそれは理解しているがそれでも生きているというだけで平常心だけは保てていた。
「骨は繋げました。しかしこの戦いで復帰は無理です。まともに剣も振るえないと思います」
「まあそうだろうな。しかし土魔法ということはわかった。魔法さえわかれば何とか勝てると思っている」
リーダーは仲間が勝つことを信じている。自分がいない中でこの状況を打開することができれば全員のレベルが1つ変わると考えている。そうすれば王獣種をこのメンバーで討伐することもできるだろうと考えながら戦闘に目を移した。前衛が人数を使ってヘイトを分散しながら戦っている。これは大きなモンスター相手には基本の戦術であり、これができてようやく1級のスタートラインに立てるというくらいには基本である。ここにいる全員が2級の時にこの戦い方を叩き込まれている。なのでこのあたりは平気であろう。あとは大獣種はかなりタフで耐久戦になるのでここは忍耐力が必要になるがここも心配していない。彼らはそれなりに訓練を積んでいるので平気だろうと思っていた。
「これは少しまずい状況になってきたな。疲弊が想像以上だ。これは撤退も視野に入れなければならないか」
「結構いい感じに見えますけどそんなに疲弊してますか?」
「相手の攻撃にすごい神経を使わされているな。即死攻撃が多いモンスター相手の前衛は神経を使うからな。しかも最初は魔法特性がわからなかったせいでさらに神経を使ったから、こうなるのもわからんでもないがあいつらはもっと自信をもってするべきだ」
そのように分析しつつリーダーは話しかけてきた魔法師のハンターに指示を出す。
「採取した薬草をもってお前は帰還しろ。これだけの人数できて採取依頼すらこなせないとなると評判に関わるからな。この依頼をしっかり達成してくれ」
「了解しました。この依頼は自分が必ず完遂してみせます!」
魔法師のハンターを送り出してリーダーはキングルフを見て立ち上がり声を上げた。
「お前らぁ!こいつを狩れる実力はあるんだ、もっと攻めろぉ!オレも十分に休めた!これからオレもまた参戦する!」
このリーダーの声でさらに士気が上がった。これなら勝てるとハンターたちがそう確信した。しかしキングルフの様子がおかしい。土魔法を使わず膂力のみで戦っているのだ。最初のほうは使っていたので魔力枯渇で魔法が使えなくなっているだけだと思っていた。何かがおかしい、そう思っていた矢先前衛のハンターが吹っ飛んだ。キングルフが火魔法を使ったのだ。その時点でリーダーは察してしまった。最初の火魔法に属性を体に馴染ませていたのだと。そしてそれは王獣種に片足を踏み込んでしまったモンスターであると。
口から火を吐き地面からは土に棘が生えてくる。そんな2属性のキングルフを誕生させてしまった。前衛のハンターが火炎に包まれ叫び声が響く。火に対処しているとしたから棘が生えてくる。火に焼かれるハンターや棘に貫かれるハンターなどが増えてきて恐怖で連携が乱れていく。魔法師たちはこの光景を目にして足がすくんで動けなくなっていった。こうなると魔法を使う大獣種にとっては的である、後衛の魔法師たちに火魔法を使って魔法師は属性魔法障壁を展開することもできず火に焼かれてしまった。
リーダーはその光景を目にし半狂乱でキングルフに突っ込んでいった。こうなるとキングルフはただの処理になる。地面から土の棘を生やし脚を貫く。そしてそのまま火魔法を口から吐き出した。
「あぁ、オレはこんなところで死ぬ男ではn…」
何かを言いかけたがそのまま消し炭になってその場にはボロボロで少し溶けている直剣のみが残り、キングルフはそのまま森の奥に入っていった。この場のハンターは全員死亡。生き残ったのは薬草を届けるために戦線離脱した魔法師のみであった。




