各神獣種の判断
各領域にいる神獣種たちは海神龍オシーアの魔力を察知していた。そして神獣種以外にもそれを察知できる者がいる。それがハルである。
「今のは?」
「今のはオシーアの魔力ですね。彼の領域は神海です。そこで何かあったと考えるのが妥当ですね」
ハルの疑問にリルが答える。ハルは基本的に一度相対した相手の魔力を忘れない。それを感じ取れなかったハルは少し魔法関連の鍛錬を増やそうかと考えている。
「ハルが感じ取れないのも仕方がありません。この魔力は自身の領域に何か起きたときに使用する特殊な魔力です。あとは、炎神龍の時のように休眠状態から復活したときですね。炎神龍の時にハルは感じることすらできていませんでした。そう考えればかなりの成長ですよ。元が人族とは思えないほどに」
「そういうものか。それでどうするんだ?その魔力の波動が来たということは何か伝えようとしているということだろう。向かうのか?」
自身が危険になった時、またはこの大陸の外から何か来たのだろう。そして今、一番濃厚な件が炎神龍である。ハルはその危険性を指摘しているのだ。しかし、リルはそのハルの考えを否定した。
「ハルは炎神龍ではないかということかと思いますがそれはないでしょう。炎神龍はかなり狡猾な性格と前に伝えましたよね?なので復活して間もない今攻めてくることはないでしょう。他の内容な気がします。でも決めつけるわけにもいかないので向かうことにしましょう。付いてきてくれますか?」
「それは問題ない。俺はリルの眷属だ。こき使ってくれて構わないよ」
大森林の領主であるリルは一応向かうという決定を下した。それでも最大戦力であろうリルとハルの二人で向かう。取り越し苦労ならばまだいい。しかし、最悪の想定をしなければいけないのも事実だ。なので二人で向かうのである。
「あら、オシーアの爺さんがハッスルしてるわね」
「どういうこと?」
豪雨林の領主であるスクリスはそうつぶやく。そして何も感じ取れていないアリエスはスクリスにどういうことか聞いた。
「神海にこの大陸の外の者が来ていると思うわ。でも、オシーアがした魔力放出は一回のみ。多分炎神龍がらみではないわね。どうする?私は行かなくてもいいと思っているのだけれどあなた、行ってみる?」
スクリスはいかないという選択を取るようだが、眷属の一人も送らないのはそれはそれで問題があるのでアリエスに行くかどうかを聞く。アリエスは魔力を感じているわけではないので少し悩み、答えを出す。
「それはあなたはいかないけど様子見して来いということでしょう?その魔力を私は感じ取れていないから何とも言えないけど今している研究も一息ついたところだしいってこようかしら。神海はここからあまり遠くないし」
「そう。それじゃあ任せるわ。何かあったら報告をお願いね」
「はいは~い」
アリエスは振り向きながら右手をひらひらと振りながらスクリスの元を後にした。そしてアリエスはこれから神海に向かう。
「大陸外の人族か。見たことがなかったから丁度いいわね」
アリエスはそうつぶやきながら豪雨林を出るのであった。
ユグノリアの世界樹の上に作られた宮殿。その一室でオシーアの魔力を感じたバンゴスタはため息をついた。
「これは炎神龍ではないな。しかし、大陸外からの訪問者か。なんとタイミングが悪い。これも魔国の魔力の暴走が関係しているのだろうか」
バンゴスタは空を統べる神獣種である。空に漂う魔力を敏感に察知している。そして今口にした魔国。その小さな島国から強大な魔力が放出されているのだ。この大陸からは離れている。そしてユグノリアは内陸に存在しているので正直にいって関係ないのだがこの大陸に対する侵攻ならばそれは看過できない。人族の国もこの大陸は強大な力を持っている。しかし、相手が魔国ならば話が変わってくる。あそこの国はこの大陸でなされていないモンスターの完全テイムを可能にしている。そしてモンスターを神獣種のように人型にすることもできる。モンスターの理解度は完全に魔国に軍配が上がっている。
「まあモンスターと言っても少し種類が違うがな。仕方ない。ドーグ」
「はい。こちらに」
バンゴスタの目の前に姿を現すドーグ。そしてバンゴスタの前に跪いた。
「エルフとドワーフを数名神海に送る。手配せよ」
「御意に」
ドーグはすぐに取り掛かった。これが他の神獣種と違う部分だろう。他の神獣種は領域自体は持っているが臣民はいない。しかし、ここには臣民がいる。そして竜人は外の世界では目立ちすぎるのでエルフやドワーフを組織しているのだ。ドーグはすぐに編成を終わらせ準備を済ませた。
「準備が完了しました」
「よし。それでは砂上船にて向かわせろ」
バンゴスタは動かず、何かあれば動けるように準備しておく。そして尖兵として古代人種を送り出した。
「ガノア帝国ではないが接触されていた場合少し厄介だ。俺も動けるようにしておく。報告の遅れは命取りになるぞ。情報伝達は任せる」
「承知しました」
こうして他の神獣種はそれぞれ動き出した。リル自身が動くのは他の神獣種にとって想定外ではあったがこの選択がまさかの結果を招くことになる。
オシーアの眷属であるロドルは魔力を察知していた。
「これは何かあったか。幸いここからならすぐに帰れる。様子を見に帰るとするか」
ロドルが眷属になりオシーアの魔力を感じやすくなっているのをオシーアはわかっていたがそれでも感じ取れはしないだろうと考えていた。それは眷属の期間が短いからだ。ロドルは王獣種を瞬殺して見せたがそれでも眷属になって日が浅い。なのでその魔力に慣れているかと問われると微妙なところだろう。オシーアが見誤っていたのはロドルのセンスだ。近接職は魔力の操作が苦手というのが常識だが彼は神級ハンターである。彼は高いレベルで魔力を感知できる。そもそもそれが出来なければソロで活動はできないのだ。
オシーアの人族側の眷属が静かに動き出した。
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