神海と大陸外からの訪問者
神海で海神龍オシーアとロドルが向き合っている。これから眷属にするための魔法をオシーアは行使しようとしていた。
「それじゃあかけていくぞ。準備はいいな?」
「ああ。いつでも平気だ」
オシーアの問いかけにロドルは短く応える。そしてロドルの足元に魔法陣が形成される。そしてその魔法陣にオシーアの魔力が蓄積されていく。蓄積された魔力がロドルの体を包み始めた。ロドルは身動きをせず眷属魔法が終わるのを待っている。ロドルはハルと違い、身体に痛みも何も出ることがなかった。これはロドルが人族とドワーフ族のハーフだからだろう。人族もルーツ的にはエルフやドワーフと同じだが元々の人種の血が濃い。だからこそ古代人種、そして亜人種向けに作られたこの魔法の対する耐性が低いのだ。
「終わったぞい。これでおぬしはわしの眷属だ。これからよろしく頼むぞ」
「これが眷属か。こりゃ本当に強くなったと言えるな。ハルがこの恩恵を感じないくらい強いというのが未だに信じられない」
そう、眷属になると普通はこのように自分が強くなったことを感じるのだ。アリエスが感じていたことをロドルも感じていた。感じなかったハルに対して今まで以上の畏怖を抱くようになる結果になった。
「体はどうじゃ?おぬしはドワーフの血が濃かったようじゃから問題ないかの」
「ああ、問題ない。今まで以上に何でもできる気がするよ」
自分の体が今まで通りに動くかも確認する。今まで以上の身体能力を手に入れたのだ。最初は制御ができないだろうと考えていたオシーアはロドルのセンスに驚かされた。ロドルが体を確かめるついでにモンスターの討伐に向かったのだ。そしてすぐに帰ってきた。ロドルの手に握られていた魔力核は王獣種のものであった。これはオシーアがロドルの調整に使うようにと討伐せずに残していたモンスターだ。それを眷属になってすぐに討伐してきたのだ。
「体は問題なさそうだな。今まで肉体強化で出していた速さを無しでできるのは正直ありがたい。魔力の温存もできるからな」
ロドルはそう感想を言った。ロドルや他の神級ハンターは戦う時に肉体強化魔法を使う。そして魔法を使う者は魔力強化魔法を使用する。肉体強化魔法は近接職にはよく使われる魔法だが魔力強化魔法は近接職が魔法も同時に使う場合に、後衛職の魔法師にかけてもらうことがほとんどである。これは魔法を強化したいのに自身の魔力を使うことでメリットが少なくなってしまうからだ。そして人に使うことが少ない魔法でもある。魔法師が使う杖に作るときに付与するのが普通なのだ。
「急に動けるとは流石神級ハンターじゃな。これならばスクリスの眷属よりも強いかの。リルのとこの眷属には及ばんか」
「いずれは越えたいがな。流石に今は勝てるビジョンが浮かばない。それにハルの主の神狼の魔力はやばかったな」
「わしが言うのもなんじゃがリルは神獣種で多分じゃが一番強い。それぞれで得意な戦闘エリアが異なっておるから確定ではないんじゃがそれでもどこでも自分のポテンシャルを出せるのはリルかのぉ」
「なるほどな。俺はこれから修行の旅をまた始めるが構わないな?」
「元々そういうおぬしを眷属にしたのはわしじゃ、問題ない。でもあの約束も忘れぬようにな」
「ああ」
ロドルは短く返事し神海を後にする。この後、オシーアはもう少し残ってくれていればと思うのだが今は予見できていなかった。
ロドルが眷属になって数日が経った。神海はそこまで変化はなくオシーアの眷属が領域を泳ぎながら王獣種になりそうで眷属にもできそうな個体を探していた。その時に眷属の一体が見たことのない船を見つける。その眷属はそこで戦闘することはせずオシーアにこのことを伝えに戻った。
「オシーア様。ガノリア大陸の方から見知らぬ船がこちらに向かってきております。どういたしますか」
「おぬしがそう言ってくるということはガノアの印はなかったのじゃろう。うむ……わしが行こう。おぬしは視認されたか?」
「多分されていると思います。しかし、攻撃の意思は感じませんでした」
「そうか。ロドルがまだいればハンター組合に知らせることもできたんじゃがな。仕方ない。神獣種にわかるように魔力を空へ放出しようかの。そうすればわかるであろう」
そういうとオシーアは魔法ではなく単純な魔力を練り上げ空に向けて放った。オシーアの考え通り神獣種はその魔力を感じ取った。
「それじゃあ案内を頼む」
「はい」
眷属の海竜がオシーアをその見知らぬ船の場所まで案内をする。その船の上には人族、そしてこの大陸にはいない種族がいた。オシーアの魔力に当てられ少し攻撃しようとした船員がいたが船長であろう人物が静止した。
「わしの領域になんのようじゃ」
「すまない、あなたの領域とは知らなかったんだ。私は魔国マージェニットから来た鬼人族のコガネという。交戦の意思はない」
「わしはオシーア。この大陸では神獣種という位にいる海神龍の名を冠したモンスターよ。それで、モンスターとの共存を成し遂げたおぬしたちが未だモンスターとの生存競争をしているこの大陸になんのようじゃ?」
「実は――――」
コガネという鬼人族は理由の説明を始めた。
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