1級ハンター対キングルフ
大獣種がゆっくりと歩いている。体長が10mほどあるキングルフだ。このキングルフは大獣種でも小さめの類だがかなり威圧感がある。大獣種ならこのくらいの威圧感があるが数人は大獣種との戦闘自体が初めてで圧倒されていた。
「おい!この威圧感に飲まれんなよ!大丈夫だ、オレがいれば大獣種なんか敵じゃねぇよ」
リーダーがそう声を上げ仲間を鼓舞する。彼が自信過剰でオレ様気質であるにも関わらず仲間に慕われている理由はここにある。仲間の士気を上げ自分もハンターの平均値より高い。だからこそ彼についてくるのだ。
「キングルフはこの森にいるウルグリンと大して対処は変わらん。大きいだけだ。魔法も使ってくるが魔法は弱いものがほとんどだ。なんの属性の魔法を使ってくるかだけがわからないがこれは戦闘していればわかる。それまでは耐えればいい。そうすれば勝てる」
このような知識も当たり前だがある。普通ならキングルフに負けることはないだろう。そのくらいにはパーティの連携は仕上がっている。そう、普通のキングルフならば。
キングルフが大きな咆哮を放った。前衛でしかも肉体強化魔法をかけられている者たちが踏ん張り切れずに飛ばされた。そこに間髪入れずにキングルフが肉薄する。そのまま前衛の1人が大きな牙の餌食になる。肉体強化のおかげでなんとか即死は避けられた。しかし、片腕がない。キングルフが金属音のような音をさせながら何かを咀嚼している。腕であった。片腕を持っていかれたハンターはキングルフの目の前で全く動けなくなっている。自分の腕が食べられているという現実にまともに頭が回らなくなっている。すぐに魔法師たちがそのキングルフに魔法を放ちキングルフが距離を取る。その隙にリーダーが腕をちぎられたハンターを抱え魔法師の元に運んだ。
「こいつの出血を止めてくれ。そのあとは魔法師の後ろで休ませてくれ。他のやつらは魔法攻撃を続行。オレは前衛の助けに入る。こいつはオレが仕留める」
そう言ってリーダーは前に出てキングルフに相手は俺だと言わんばかりに威嚇する。リーダーは直剣を使っている。これはほとんどのハンターが使うベーシックな武器だ、硬く折れづらい。それがこの武器が多く使用されている理由はこれがほとんどである。ハンターは武器がなければ身を守ることすら難しい環境にいる。なので武器が壊れづらいというのはこの上なく利点なのだ。
「さあこいよ。オレがお前を仕留めてやる」
武器を構える。キングルフが動くよりも先にリーダーの男が動いた。肉体強化魔法で体のすべてが素の肉体よりも強度が上がっている。一瞬で肉薄するとそのまま足に切り払う。キングルフはその鋭い一撃を上に跳躍することで躱すが、そこへ魔法師が火の魔法を叩き込んだ。この森では火に対して弱いモンスターが多い。火山地帯などに行けば火に強いモンスターがいるがそれ自体が稀なのだ。なので魔法師のこの選択は普通であれば正解だ。魔法が直撃したのを確認したリーダーは跳躍し直剣で斬りかかった。キングルフっと同じ目線になったときにキングルフの目がリーダーをしっかりと見ていた。当たったところには土に覆われていて本体にダメージがないことに気付いた。
(こいつ!オレがここに跳んでくることを読んでたってことか!?)
そのまま前足をキングルフが振り下ろす。空中で姿勢が崩れているリーダーに直撃しリーダーは地面にたたきつけられた。口から血を吐きながらリーダーが体を起こす。体中の骨が折れているのが分かった。肉体強化の魔法のおかげで立ち上がることができたのだ。自分の中にあった自信が崩れていく音がした気がした。こいつには勝てない。そう思ってしまった時点で彼の戦意がなくなっていることを自分で認識できた。意識が遠のいていきそうな中、彼は叫んだ。
「こいつが使う魔法系統は土魔法だ!火は防がれるぞ!」
彼がまだ生きていることに仲間たちは安堵した。しかし、まだ気が抜けない。このキングルフを討伐しなければならないのだから。




