第32話 親友として
「勝ったけど、すごく疲れた……次までまた時間はあるから、少し寝てしまおう」
2回戦に勝利した俺は自分の待機部屋に戻るなりベットに倒れ込んだ。
今は休んで少しでも体力を回復しないとな。
てことで、おやすみなさい………
ーーーーーーーー
〜八雲の試合より15分後〜
会場では2回戦第2試合 レイチェル対レイナの試合が始まろうとしていた。
試合前の二人の表情は晴れない。
当然だ。二人は幼馴染で親友なのだから。
しかし、残酷なことに運命は彼女らを戦わせることを選んだのである。
「レイチェルちゃん……いや、やっぱりなんでもない。今は上手く言葉にできない……」
「そう……貴方が相手でも容赦しないから」
「うん……わかってる」
「これより2回戦 レイチェル·アイスフィート対レイナ·ウィンフォックスの試合を執り行う」
「よーーーい」
「始め!!!」
「雪風·神吹雪」
速攻で技を唱え、猛吹雪を引き起こす。
「天乃風吹!」
レイナも負けじと風を引き起こし押し返そうとするが、完全な相殺とはならず、少し吹雪いている。
「巨人の氷腕」
吹雪の中、巨大な氷の腕を創り出しレイナに向け叩きつける。
レイナは足下に風を出し、軽々と避ける。
「氷の茨鞭」
レイナが避けた先で待っていましたと言うように、氷で作り出した鞭を振るう。
「うっ……!!」
バチンと音を立てて、当たった。
しかもただの鞭ではなく、鞭に無数の棘が付いていて、当たった所を少し抉るようになっている。
レイナの左腕からは血が流れている。
「最初に技を出してから何もしてないけど、何がしたいの?」
「そ、それは………その……なら、これで!」
レイナは風の刃をレイチェルに向かって飛ばしたが、頬を掠めただけだった。
棒立ちのレイチェルの。
「何……?今の攻撃は?棒立ちだったのよ。首でも何でも狙えたでしょ?」
「だって……」
「だって何?『だって友達だから殺せない』ってこと?」
「………!!」
「はっきり言って失望したわ。がっかりよ」
「私達って友達じゃないの…?友達、いや"親友"なのに……!」
「なんで!親友同士で本気で戦わないといけないのよ!!」
「"親友"だからこそ!親友だからこそ私は本気で戦いたいの。普段なら絶対ありえない。あり得ないこのチャンスを離したくない。一番の"理解者"と戦って成長するチャンスを!!」
「親友という立場を一回捨てましょう。捨てたら戦えるでしょ!レイナウィンフォックス!!!」
レイチェルの凄まじい気迫がレイナを取り込む。
「無理ぃ、無理だよ……こんな本気のレイチェルちゃんに勝つなんて……」
「普段だって今まで一回も勝ったことないのに……!絶対勝てるわけな……い?」
あれ?
「絶対……?勝てるわけ……?ない……?」
いつからだっけ?
「私っているから"こうなった"んだっけ」




