第31話 狩人
本戦の一回戦が一通り終了し、次の試合から2回戦に入る。
2回戦も俺の試合が最初だ。
というか俺の試合は順番的にどれも一番最初にすることになるけど。
会場へと入るともう既に相手が入ってきていた。
相手は40代ぐらいで右目に眼帯をつけている。武器は右肩に掛けているライフルと見える。
「俺は狩目アイクだ。狩人をしている」
「お前は名乗らなくていい。既に名前を知っているからな」
「一つ願いがある」
「なんですか…?!
「お前、降参してくれないか?」
まさかの願いだった。相手が降参を願ってくるとは思ってもなかった。
けど、俺の意思は変わらない。
「って言われて降参するとでも?」
「…………はぁ」
アイクはため息をつくと頭をポリポリかきながら、困った顔をしている。
「俺にはな、お前と歳が同じぐらいの娘がいるんだ。娘と近い歳の子供をいたぶる趣味はないから降参してもらいたかったんだがなぁ………」
「ま、そこまでの覚悟があるなら俺も全力で戦らせてもらう」
「こっちも最初から全開で戦らせてもらいますよ」
相手がその気なら俺は全力で応えるし、相手よりも全力を出す気で戦る。
今回も負けるわけには行かない。
「これより2回戦 神代八雲対狩目アイクの試合を執り行う」
「よーーーーい」
「始め!!!」
試合が始めると、アイクは眼帯を外しライフルを構え、迷わずに左の壁に撃つ。
すると、弾が跳ね返って俺の方に向かってくる。避ける事は難しくないのでヒラリと避ける。
俺が避けたと同時にアイクはハンドガンで撃って来た。これもしっかり躱す。
しかし、さっき避けたライフルの弾が右の壁で反射し、俺に向かってきていた。
「なに……!?」
間一髪、ギリギリの所で避けようとしたが少し頬を掠ってしまった。
「ここまで全て計算しているのか…?」
「そうだ。そしてお前が全て躱すこともな」
「!?」
躱すことに集中していたから全く気づかなかったが、アイクはいつの間にか俺の真後にいた。
アイクは手に持っているナイフを振りかざし、俺の右肩を斬る。
「ぐっ……」
二撃目を天龍で受け、少し距離を取る。
「躱すのに集中していて俺を全く見てなかっただろ。忘れたのか?俺は狩人だ。気配を消したり、息を潜めるのは得意分野だ」
「なら、こっちだって………」
四神の宝剣を取り出して抜こうとした時、アイクが瞬時に間合いを詰めてきた。
「やらせねぇよ」
高速の三連突きで手の甲、腕、肩を刺されたが、執念で宝剣を抜ききった。
この感じ建御雷だな。後は任せ……た
今回は我が出てきたが……ふむ。
此奴は能力の種さえ分かれば攻略は何も難しくない。
「姿が変わった……!1回戦ではこの姿は見せてない。面倒だな」
またため息混じりに頭をポリポリとかく。
「まぁいいや。どうせまだ俺の能力の事何もわかっちゃ無いんだろ?」
先程のように一気に間合いを詰めてこようとする。
「いや、だめだ……」
動こうとしたところで急に足を止めた。
ギリギリの所で"見えた"か。
「その"目"だ。その赤い右目で我の動きを"予測"している」
「……御名答」
「さっき俺が攻撃しようとした時、予測がでた。反撃率98.67% 反撃による死亡率100%と出てきた。だから止まった」
「ふむ。かなり正確な予測だな。では、その予測を壊して勝つ」
「出でよ、白鹿」
我の声に呼応し、現れる。それと同時に、天龍を布都御魂剣に変える。
白鹿に跨り、駆け出す。
「これから行われる我の攻撃は貴様には予測不可能だ」
「追招万雷!」
空が曇り、たちまちに雷が鳴り始める。
そしてその雷は不規則に降り注ぐ。
「クソ、いつまで降るつもりだ……。回避可能率0%……か」
「こうなりゃ、経験に基づく"勘"で避けてやる」
降り注ぐ万雷の雷を勘でスルスル避けて行く。
しかし、我の騎乗からの攻撃と雷を避けるのは至難の技で、次第に動きが鈍くなってきた。
そして雷を避けた時、足を少しひねり転んだ。
「しくじった……!」
その隙を逃さず、一気に駆け寄り、奴の脳天目掛け振り下ろそうとした時だ。
「待った、降参だ」
奴は両手を上げ、完全に戦意を失った顔をしている。
あと数センチで届く寸前の所で止めた。
「勝者、神代八雲!!!」
会場の客がどわっと沸く。
なんとも騒々しい限りよ。だが、悪い気はせんな。
試合が終わると奴はさっさと会場を後にしようとしていた。
「随分と冷めているのだな」
「まぁ、元々勝てると思ってなかったからな」
「……死なねぇように頑張れよ」
それだけ言って奴は去っていった。
そういえば、次は準決勝とやらか。八雲が力を使うなら、次は迦具土でも行かせるか。




