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神の愛した桃源郷  作者: 魚精神
第二章 王位争奪武闘会編
32/38

第30話 魔女と令嬢

 「さぁてと、次の試合まで暇だし、別の試合でも観ようかな。確か次は………」


 「レイチェルとマリーンの試合か。どっちが勝つんだろう」


 ーーーーーー



 会場の熱気が冷めやらぬまま、次の試合が始まろうとしていた。

 レイチェルとマリーンの二人は既に会場へと入っていた。


 「これより、第二試合 レイチェル·アイスフィートとマリーン·ボガードの試合を執り行う」


 「よーーーーい」


 「始め!!!」


 始めの合図がかかり、これから熱いぶつかり合いが始まると思っていた。


 「…………」


 「…………」


 二人共試合が始まったというのにその場に立ったまま動こうとしない。

 会場が凍り付いた様に静まりかえっている。

 異様な空気感が会場全体を包みこんでいた。

 「何をしている?」「早く始めろよ」口に出さずとも皆思っていただろう。


 「集中しているんだ……!力を練ってより強くしているんだ」


 俺はじっと画面を観察することでそのことに気づいた。

 レイチェルが呼吸をするとき、微かに冷気が漏れていたからだ。


 俺が気づいてから1分ほど経った時に、二人の空気感が変わったと感じた。

 "くる" その直感は正しかった。


 「氷塊·氷柱ばり(ひょうかいつららばり)!!」


 「ヘルフレイム·プロミネンス!!」


 レイチェルが地面に手をやると、いくつもの小さい氷柱を出しながらマリーンの方へと向かってゆく。

 しかし、焦ることはなく高火力の炎魔法で溶かした。

 急な二人の攻撃に会場は驚いているが、そんなことお構いなしにレイチェルが猛攻を仕掛ける。


 「アイスフィールド」


 レイチェルは地面全体を凍らし始めた。

 俺と最初戦ったときは一部分しか凍らすことができなかった。その時よりも圧倒的に範囲が広がっている。

 そのことからも彼女の並々ならぬ努力がうかがえる。


 「人獣·氷虎(じんじゅうひょうこ)!」


 彼女は手と足、それに顔半分を氷の虎へと変えた。

 一気に距離を詰め、虎の手で攻撃する。

 マリーンはガードするも猛攻が続く。


 「トライブレット·サンダーズ!!」


 マリーンの魔法により大量の雷が不規則に降り注いだ。

 しかし、レイチェルは凍らせたフィールドと虎の足による高速移動でいとも簡単に避ける。

 そしてそのままフィールドの周りを冷気を出しながら走り出す。

 

 「なんか、寒くないか?」


 レイチェルの冷気はフィールド内だけでなく、観客席の気温までも変え始めているようだ。

 フィールド内は観客席の倍以上は寒いはずだ。


 「くっ、どんだけ寒くすれば気が済むのよ………」


 「さらに冷やして大技を出すきね。なら……!」


 「召喚·サラマンダー!!」


 マリーンの周りを囲うよう火が現れ、やがて炎の大蛇へと成った。

 サラマンダーを中心に温度が上昇していく。


 「これ以上温度を下げられる前に決めるわ!」


 「マグマ·ブレス!!」


 サラマンダーは口から超高温の炎をレイチェルに向かって吹きかける。

 しかし、焦ることもなく避けることもしようとしない。レイチェルは迎え撃つようだ。


 「氷華乃鳥(ひょうかのちょう)!!!」


 レイチェルは氷虎の姿をとき、その冷気を集中させて、氷の鳥を作り出した。

 そしてその鳥は一直線に炎へと向かってゆく。


 氷の鳥がぶつかると、煙が会場全体に立ち込める。

 氷と炎が相殺した影響だ。


 「磔氷柱(はりつけつらら)!!!」


 煙で状況が分からぬ中、突如フィールドの壁の4方向から氷柱がマリーンに向かって伸びた。

 やがて4つの氷柱は複雑に絡み合い、マリーンの身動きを封じた。


 「何これ!?身動きが取れ……ない!」


 手や足を動かそうとしてもびくともしない。


 「危なかったけど、ギリギリなんとかなったわね」


 「まだ負けてない!本さえあれば魔法は……」


 レイチェルは動けないマリーンに近づき、左手の本をスッと取り上げた。


 「あっ!」


 「"本さえあれば"なんとかなったかもしれないけど、こうやってとってしまえばもう何もできないわね」


 「………降参」


 負けを悟り、マリーンは降参を宣言した。


 「勝者 レイチェル·アイスフィート!!!」


 試合が終わるとレイチェルは直ぐにフィールドを去ろうとしていた。


 「待って!」


 そんなレイチェルを拘束を解いてもらった、マリーンが引き留める。


 「何かしら?」


 「最後の氷柱、私のサラマンダーで上がった温度下では出せないものだと思ったけど、どうやって出したの?」


 「確かに貴方の技で温度が上がり、危うくなったわ。でもね、弱くなったところを"補強した"のよ」


 「いつそれを?」


 「煙が立ちこめていた時に補強したわ。弱った場所は分かっていたから、最速で行けるようにそこで立ち止まって、鳥を撃ったの」


 「そこまで考えてたんだね……完敗だなぁ」


 「けど、私も結構危なかったわ。どっちに転ぶか最後までわからないいい勝負だったと思うわよ。ありがとう」


 「……ああ、こちらこそありがとう。いい経験になったよ」


 握手を交わす二人には爽やかな笑顔が咲いていた。




 



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