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神の愛した桃源郷  作者: 魚精神
第二章 王位争奪武闘会編

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第28話 予選

 「おーーい!!!」


 中に入って、受付をしようとした所で聞き覚えのある声がした。

 振り返って見てみると、そこには穂波がいた。


 「穂波!久しぶり!」


 俺は笑顔で近づいていく。俺が神社にお世話になってからは会っていないから本当に久しぶりだ。

 

 「変わらず元気そうだね、穂波は」


 「そっちこそ初めて会った時から全然変わってないじゃん」


 「……嘘よ。本当は変わったことを知ってるの。神の力を手に入れたことも、順調にその力を使いこなしているのも…」


 彼女の顔が一瞬曇ったが、直ぐにいつもの調子で続ける。


 「ま、今日は八雲の応援に来たから頑張ってね!」


 「九郎さんたちも来るって言ってたから一緒のとこで応援してるね」


 そう言うと穂波は観客席の方へと向かっていった。

 久しぶりに会ったけど元気そうだったな。何処に住んでるかわからないし、今日会えて本当に良かった。

 …………さて、俺も行くか。出場者入口の方へと入っていく。


ーーーーー


 受付を終わらせて、予選まで待機になった。

 いっぱい人がいるが、喋っている人達は少数で、俺含む多数が黙り込んでいる。

 少し空気が重い。すると、奥の方から運営の人が数人出てきた。


 「これから予選が開始になります。参加者は全員闘技場の方へ来てください」


 それだけ言うと運営の人達は下がっていった。

 闘技場はこの先を真っ直ぐ行くと着くようになっている。参加者が次々と向かっていく。

 俺もそれに合わせて闘技場へと向かう。


 闘技場に行くと、観客席にはほぼ席が埋まるぐらい人が座っていた。

 いよいよ始まると思うと少し緊張するな……


 「只今より予選を執り行う!!!」


 審判らしき人物の大きな声により、全員の視線がそこに集中する。


 「この場には、約200名の参加者が集まっている! その中から16名になるまで戦ってもらう。つまり、バトルロワイヤル!! これが予選の内容である!!!」


 200人の内予選を上がって本戦に残れるのは16人か……なんとしても残ってやる!


 「それでは只今より予選を始める!!!」


 「よーーーーい」


 「始め!!!!!」


 合図とともに参加者達が近くの人物と戦い始めた。

 剣の擦れる音、拳のぶつかる音など色々聞こえる。すごい光景だ。


 「チェアアアア!!」


 「危ねッ!!」


 後ろからの不意打ちを間一髪天龍で受け流す。

 見惚れてたら危うくやられるところだった……!

 気を引き締め直さないとな。


 「まだまだァ!!」


 すかさず2撃目が来るが躱して、斬る。

 

 「グアッ……」


 よし……とりあえず一人脱落だ。

 これが16人になるまで続くのか……結構きついぞこの予選。


 さっきみたいな事がないように、今度は自分から一人二人と斬っていく。

 三人四人。とりあえず、五人は脱落になったか。

 

 「ん?あれは……ハルナードか? 」


 前方を見ると、見たことのある吸血鬼の男が戦っている。

 間違いない。あれはハルナードだ。

 って、おい! 五人に囲まれてるぞ!

 

 ハルナードの周囲を五人ぐらいの男が囲う。

 そして、一斉に斬り掛かった。


 が、ハルナードはものともせずその五人を槍の一振りで倒してしまった。


 「すっげぇ……! やっぱり強いなあいつ」


 「俺も負けてられないな!」


 俺も負けじとどんどん斬っていく。

 

ーーーーー


 「そこまで!!!」


 審判の声が響く。

 夢中で戦っていたらいつの間にか終わっていたようだ。

 周りを見渡すと、しっかり16人残っている。中には知っている顔が何人かいる。


 まずはハルナード。そして、レイチェル。それに、レイナだ。この辺りは流石実力者といったところだろうか。

 それにあれは……マリーンとラーニャだ。その奥にいる男は……春彦だ。そもそも参加しているのを知らなかった……彼らとも本戦で当たるかもしれない。

 

 「誰と当たっても、全力で勝ちにいく」


 覚悟を決めた強い足取りで闘技場を後にする。

 


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