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神の愛した桃源郷  作者: 魚精神
第一章 桃源郷編
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第16話 神力をお貸しください

 今日は何をしようかと学校から帰っていると、神社から言い合う声が聞こえてきた。

 耳を澄まして聴く。


 「そこをどうにかなりませんか?」


 「そう言われてもねぇ……」

 声は2つあって、一つは斎藤さんのもので、もう一つは誰だろう?俺より少し幼い声だ。

 それにしても一体何があったんだろう? 

 そんな事を考えていると、境内に着いた。


 「おっ、ちょうどいいとこに来たね」

 ついて早々斎藤さんに声をかけられる。

 

 「一体何があったんですか?それにそこの子は?」


 「ああ、彼は天狗様の弟子だよ」


 「はい、八咫といいます」

 彼はそう言い、頭を下げる。にしても天狗様の弟子がなんのようだ?


 「それでな、その子が急にやってきて、『天狗様が死にそうなんです!神力をお貸しください』って言ってきたんだ。ただ、九郎さんが用事で数日居ないし、どうしたものか悩んでる時に、お前が帰ってきたってわけ」


 「なるほど、事情はわかりました。で、どうするんですか?」


 「いや、あんたに行ってもらおうと思って」


 「俺ですか!?神力なんてありゃしないですよ!?」


 「あるじゃん。その刀に」


 「あ…」


 「その刀の神の力を使えば簡単に莫大な量の神力ができる。だからあんたがいってきな」


 「わかりました。では行ってきます」

 斎藤さんに挨拶をし、八咫と共に天狗様の居る天狗山を目指す。天狗山は桃源郷にある2つの山のうちの一つだ。縦に長く、頂上は雲の上にあって常に見えない。


 


 十数分で山に着いた。とは言えこれを今から登るのか…大変だな…なんて考えていると八咫が背中に乗るよう促してきた。

 

 「ここからは飛んでいきます。飛ばされないようしっかり捕まっていてください」

 背中に乗ると八咫が飛び上がる。結構な速さだ。これならすぐに着くだろう。



 数分ものっていると頂上についた。空気が薄くなく、息苦しくない。不思議なところだ。


 「八咫くん、ここまでありがとう。おかげで凄く早く着く事が出来たよ」


 「いえいえ、礼には及びません。では、急ぎましょう」



 天狗様の居る社に向かい、中に入ると天狗様がぐったりとしていた。

 まずいな、かなり弱っている。急いで取り掛かろう。


 刀を片手に持ち、もう片方で天狗様に触れる。

 意識を集中させ、天狗様の方に力を流し込むイメージ…


 


 しばらくそうしていると、天狗様が目を覚ました。

 八咫が天狗様に飛びつく。


 「天狗様っ…よかった…本当に良かった…」


 良かった良かった。上手くいったようで。

 




 「本当にかたじけない。八雲殿」


 「天狗様の命を救っていただきありがとうございます。八雲様」


 「いえいえ、俺なんてただ力を分け与えただけですし…」


 「ぜひ、この礼をさせていただきたいと思っています。その前に」


 「改めて、儂は鞍馬と申します。今、弟子に居るのは八咫一人だけですが、地球にいた頃はそれなりに名の通った天狗でして、弟子もそれなりにいました」


 鞍馬…鞍馬で天狗………あ!

 鞍馬天狗のことか!それなりどころか、かなり名の通った天狗じゃないか!


 「それで、礼のことなんじゃが…占いを受けてみぬか?八雲殿」


 「占いですか…?」


 「実は儂も弟子入りしとる身でな。儂の師匠である"八意思兼神やごころおもいかねのかみ"という知恵の神で、占いもできるのじゃ」


 「普段はしてはくださらぬが、儂が頼み込めば特別にしてくれるはずじゃ」


 「さあさあ、こちらへついてきてくだされ」


 鞍馬天狗様に促され、後をついていく。

 一体どんな運勢が出るか、少し楽しみだ。


 「着きました。ここが本殿じゃ」


 しっかりと飾り付けられ、立派な造りである。

 美しく、つい魅入ってしまう。


 「鞍馬です。師匠様少しよろしいでしょうか?」


 「………………入れ」


 少しの沈黙の後、老人の声が中から聞こえた。

 扉を開け、中に入ると、本殿の真ん中にかなり歳をとった老人がいた。

 彼が八意思兼神だろう。


 「ふむ。そこの童、貴様何者じゃ?」





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