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神の愛した桃源郷  作者: 魚精神
第一章 桃源郷編
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間話 誰かの日記

 今日は休日。かといってやることもないので、「世界堂」という店に来ている。ここは桃源郷外から流れてくる商品を主に取り扱っている。街に卸したりしていたりもするが、街では売ってないような珍しいものもある。俺も何度も来ている。


 「いらっしゃい、八雲くん」

 挨拶をしてきたこの人は店主の三木さん。眼鏡をかけている、優しい人だ。


 「こんにちは。新しいの入ってますか?」


 「ええ、先日入ってきたばかりのが」


 「ホントですか!ありがとうございます!」


 「いえいえ、お安い御用ですよ」


 俺のお目当ては”漫画”だ。街の本屋に置いてないのもここだと手に入ったりする。とてもありがたい。


 早速俺は本棚を漁る。おっ、これこれ欲しかったのは。これを買って帰ろう。


 バサッ。漫画を取ったときに隣の本を一冊落としてしまった。落ちた本を拾い上げる。


 この本かなり古いもののようだ。それに題名も何もついてない。気になってページを1ページめくる。

漢字がびっしり書いてある。漢文か何かだろうか。頑張って読んでみる。


 「今日は私の誕生日。弟の……からこの日記帳をもらった。今日からこの日記に日々のことを記すことにした。お父様も私に期待してくださっている。いずれ私は……………………になるから」


 所々掠れていたり、難しくて読めなかったりするが、大方は読めているはず。ページをめくる。


 「今日はお勉強を頑張った。お父様は褒めてくださったが、ここで満足してはいけない。私は………を継ぐもので、皆の期待に応えなければならないからだ。その為には日々精進!」

 ページをめくる

 「一週間ぶりに書いた。最近忙しくて時間を作れなかった。忙しいけれど自分の成長を感じられて、楽しい」

 ページをめくる

 「最近、かな文字という技術を学んだ。漢字を簡単な文字で表現できる。すごい技術だ。いっぱい練習しよう」

 ページをめくる

 「お父様が弟たちを構い始めた。それに応じて私への態度が少し冷たくなった。けど、期待は確か!前向きに頑張らなきゃ」

 ページをめくる

 「今日、弟たちが…………………………………………………になった。大衆は弟たちを英雄のように扱う。おとうさまも二人ばかりを構う。私は冷たくあしらわれるだけ」

 ページをめくる

 「大衆の期待が、弟たちに向いた。私は比較され、笑われるだけ。今まで『唯一の存在』だの『傑物』だの言って、期待してくれたのに。私は誰にも見向きもされず、注目もされない。”普通”になってしまった」

 ページをめくる

 「…………で………………んで…………なんで………」

 ページをめくる

 「なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで私じゃなくて、弟たちばかりを見る!私をもっと見てよ!!!!!」

 ページをめくっても空白が続く。ついに最後のページになった。

 「後継者は私だ。何ものにも邪魔させない。これは私のものなんだ!!アイツらのものじゃない!!手に入れるためにはなんだってやる。たとえ二人を殺すことしても!!!!!!!!!!!」



 なんだコレ。とりあえず本棚に戻しておこう。さて、家に帰ってこの漫画でも読みますか!


 

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