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神の愛した桃源郷  作者: 魚精神
始まりの章
10/38

第9話  八坂神社

 「取り敢えずあてがあるのがわかってよかった。明日に備えて部屋に戻るとするよ」

 

 「わかった。私も明日に備えるとするよ」


 「急に押し掛けてごめんね」

 

 「大丈夫、じゃおやすみ」

 

 「うん、おやすみ」


 話もまとまり、互いに挨拶を交わして俺は部屋をあとにする。

 さて、風呂行って飯でも食うか。

 今日がここで過ごす最後の日だ。

 じっくり食事と風呂を楽しむとしよう。


 風呂に入り、食事を楽しむ。

 今日のメニューは和食。鯖の塩焼き、味噌汁、白米、それに少しの漬物といったところだ。

 味は相変わらず美味しい。

 ここに来てからジャンクフードの類を一切口にしていない。

 見かけないのもあるが、そもそも俺自身があまり金を持っていない。

 まぁ、健康的な生活が出来ているので俺自身あんまり気にしていないのもある。

 ――さて、食事も済んだしそろそろ寝るとしよう。

 

 

 朝になった。

 2日続いての快眠は気分が良い。

 さてと、さっさと食事を済ませ準備をしなければ。

 そう思い俺は食堂へ向かった。


 「そろそろ出るか」


 準備を済ませた俺は部屋を後にする。思えばあの部屋でだいぶ長く生活したな。とかこの旅館にも世話になったな。とかありがちな事を考え旅館の外に出る。

 外には穂波がいると思うんだが――

 

 「おはよう、ちゃんと時間通りに来てくれたね」


 そうやって挨拶をしてくる穂波が外にはいた。

 

 (穂波が寝坊してなくてよかった)

 

 なんてとても失礼な事を考えたりしたが、バレても優しい穂波は許すしてくれる………はず。

 

 「おはよう。穂波」


 俺も挨拶を返し、俺達は歩き出す。

 道中俺達はいつものように何か話たりすることはなかった。

 なんか、そんな気分じゃなかった。

 しかし、神社には街から出て5分ぐらいで着いた。

 

 ――そして何度目だろうか。

 俺は目の前の光景に驚く。

 

 「あ、あのさ穂波……こ、これほんとに登るの…?」

 

 「うん」

 

 俺がこんなことを聞いたのには理由がある。

 それは――


 とんでもないぐらい長い長ーーい石段が続いていたからだ。

 今からこれを登ることを考えると、骨が折れる。

 ……しょうがない。明日は多分動けなくなるだろうがここまで来たら覚悟決めて、登るしかない。


―――――――――

 

 


 「や、やっと登りきった……つ、疲れたぁ…」

 

 「久しぶりに登ったけどやっぱりしんどいなぁ」


 俺は疲れて死にそうだが、穂波はまだ余裕がありそうだ。

 神社はそこそこ大きい。

 境内では巫女さんが掃除をしていた。

 ただ、この巫女さん少し目つきが悪い。

 そんなことを思っていたら穂波がその巫女さんに声を掛ける。

 

 「斎藤さん、お久しぶりです!」


 その声に気づいたのかこちらに返事を返す。


 「あんた、穂波かい!?」


 「はい、そうです!お久しぶりです!」

 

 「ほんとに久しぶりだねぇ、元気してたかい?」


 「はい、私は元気でやってました!」

 

 「そういや、そこにいる子は誰?」

 

 「実はそのことで相談があってですね―――」


 穂波と斎藤さんがコソコソ話をしている。

 

 「そういうことかい、部屋に案内するからそこで少し待っといて」


 話し終えたのか斎藤さんが何処かへと行ってしまった。

 しばらく待っていると斎藤さんが帰ってきて


 「


 


穂波と斎藤さんが歩き始めたのでそれについていく。

 すると、社務所の隣の家に着いた。さらに玄関で靴を脱ぎついていくと和室の一室に通された。

 

 少し待っていると、神主と思われる人が部屋に入ってきた。

 

 「ようこそ、八坂神社へ。私、九代目八坂守九郎と申します。はじめまして、神代八雲君」

 

 「な、なんで俺の名前を…」

 

 「巫女の斎藤から聞きました」


 「そ、そうですか」

 

 「して、今日は何用でこのような所に?」


 それまで黙っていた穂波が口を開く。

 

 「今日は神代八雲を住まわしてもらえるように交渉をしようと思ってきました」

 

 「そうですか。では、少し席を外してもらえますか穂波」


 「わ、分かりました」


 俺は神主と二人きりになった。この人まだ若いのに妙なオーラがある。緊張するなぁ…

 

 「ここに住まわしてほしいということでしたね」

 

 「そ、そうです…」

 

 「八雲君はどこから来ましたか?」


 「地球の日本というとこからです」

 

 「そうですか。八雲君…君はそこに帰りたくはないのですか?」


 俺はその質問にハッとした。そういや、今まであまり考えた事がなかった。確かに日本に未練はある。けど、帰って今までと同じように生活してもつらさが勝つだけだ。だから………

 

 「帰りたくないです…」

 

 「そうですか。では次に、君の持っているその短刀。それは何ですか?」

 

 「これはうちの家宝だったものです」


 「それ以外にわかっている情報はありますか?」

 

 「あ、ありません…」

 

 「その刀から不思議な力を感じたものでつい気になり聞いただけです。お気になさらず」

 

 「ここに住みたいということでしたがそれについてはなんの問題もありません」

 

 「穂波に出ていってもらったのは先程聞いた2つの事が知りたかったからです」

 

 「あ、そうだったんですか」

 

 「では、一緒に住むものとして改めてよろしくお願いしますよ八雲」

 

 「こちらこそ、よろしくお願いします」


 互いに挨拶を交わして、握手をする。


 「それで、君には明日からこの世界の学校に行ってもらいます」


 「え、学校ですか」

 

 「そうです。君と同じぐらいの年齢の子は皆、学校に行っています。友だちができるといいですね」

 

 こうして、俺の新生活が始まろうとしている。

 


 

~~~予告~~~

 次回第10話から、新編 桃源郷編始まります。

 お楽しみに‼

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