序章
何だここは?
俺はさっきまで自宅にいたんだ。それなのになぜか森の中にいる。
そんな状況なのだ、何だここは?という感想が出るのも致し方ない。
しかし、なぜこんなところにいる?頭をフル回転させ思い出そうとする。
いたい
思い出そうとすると頭痛がする。しかし、進展もあった。
痛みがあるということは、俺は死んじゃあいない。
情報を集めるため俺は歩き出した。森と言っても深いところにはいないらしい。
10分もあれば森を抜けられそうだ。
俺の推測通り数十分歩いたら、森を抜けられた。そして見た光景に俺は言葉を失ってしまった。
ここは地球じゃない。
縦に異様に長くでかい山。この山の山頂は雲に覆われているがそうとう大きいことはわかった。
さらにその向こうには手前の山ほど大きくはないが見たことのない木がたくさん生えている山。
その木はさながらおとぎ話の蓬莱山の木のようだった。
それ以外はおかしくないかと言われれば、それはNOだ。桜の時期でもないのに桜が不自然に咲いているところがあったりする。
色々おかしい。一体ここはどこだ。とりあえず人を探すか? いや、人がいるところなんてわからない。
そんな事を考えていると、隣から声をかけられた。
「君、ここに来たのは初めてかい?」
驚いた、俺が見つけたかったこの世界の住人をいとも簡単に見つけてしまった。
しかし、この人はいつの間に俺の隣りにいたのだ?
「君が突然森の中から出てきてびっくりしたけど、君は私の方を見ずに眼の前の景色を見ていて、この世界に初めて来たような顔をしていたから、思わず声をかけたんだ。」
どうやら俺が来るよりも先にこの人がいたようだった。いつの間に現れたんだと思っていたが現れたのは 俺の方だった。
「それで、君はどこから来たんだい?」
そう聞かれたので俺は「地球の日本というところからです。」と答えた。
「地球?日本?知らないところだなぁ」といって首をかしげた。やはりここは地球ではないらしい。
「そういえば、名前を言ってなかったね。私の名前は櫛姫穂波。この世界の案内人をやっているものよ。」
と彼女は言った。彼女の名前はめちゃくちゃ日本人っぽい。
見た目も黒髮に黒目でスタイルもよく、年齢は少し俺より高めぐらいで、清楚な美人だ。
「君はなんて言うんだい?」そうやって俺の名前を聞いてきた。
そうだ、名前。俺の名前は何だった?
必死に思い出そうとする。そうして必死に考えたら名字を思い出した。
神代
「俺は神代といいます。」と答えた。
「下の名前はある?」と穂波は聞いてきた。名字は思い出したが名前は出てこない。
「すいません、下の名前までは思い出せてなくて…」
「そっかぁ、でも上の名前と出身を覚えてるだけでも十分だよ。他の事はゆっくり思い出せばいいから。」
といって彼女は優しく笑った。
かわいい。やはり清楚だ。と俺は心のなかで思った。
「じゃあ名前もお互いに分かったことだし、案内人としてこれから人里の方まで案内するから、改めてよろしくね、神代。」
「うん、こちらこそよろしくね、穂波。」
といって、二人で人里の方まで歩いていくのであった。