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プロローグ

 闇夜を突き抜けて、ランボルギーニ・エストーケはネオン溢れる夜のシン・シンクロニシティ・トウキョウを走っていた。


 シン・シンクロニシティ・トウキョウはB区にある超有名な観光地だ。元は東京の新宿から銀座までを大区画整理した場所だった。


 大型観光地としても有名なカップルにとっては憧れを通り越して、飛び切りの一生に一度はどうしても行きたいデートスポットだ。


 ランボルギーニ・エストーケの後ろには、可愛い犬の絵が塗装された軽自動車が快走していた。


「ねえ、夜鶴さん。こんなところどうして知ってるんですか?」

「ああ。田場さんに聞いたんだ。丁度、田場さんも新婚旅行でここへ来たんだって」

「すごいですね。あ、確かB区出身でしたね。田場さんって、それはさぞかし素敵な夜を過ごせたと思います」

「あ……ああ」

(ほんとは、田場さん。気持ちに金が追いつかなくて、夜景を見て回っただけだって泣きながら言っていたな)


 その軽自動車の前を走る高級車ランボルギーニ・エストーケでは、最高級シャンパン片手の河守がドギマギしている。


「あのね。矢多辺さん。夜景がとても素敵だけど、なんていうか。私、どうしていいのかわからないの」

「へ? あははは。どうしてだい?」

「この後よ。この後」

「いいバーを知ってるんだ」 

「そう。なら、いいわ。もう酔っちゃったけどね」


 ランボルギーニ・エストーケと軽自動車はまるで幸せを競うかのように、道路を快走していた。


 両端の建造物はどれも昔のままだというのに、厳かで鮮やかな超高層ビルやタワーマンションがネオンで照らされ、時代を感じさせない色とりどりのイルミネーションで飾られていた。 


 河守は二ッと笑って、シャンパンを飲み干した。


 ここは西暦2072年の日本。


 日本の国はA区・B区・C区と分裂していた。 

 2030年頃から少子超高齢化が急速に進み。65歳以上の人は国民の52パーセントまでたっしてしまった。

 それでも経済的に人々が各国とせめぎ合いをしながら生きていく時代。

 現奈々川首相の意向で、ノウハウの人間へのサポートは国を挙げての一大プロジェクトとし、特にお年寄りには十分なサポートが得られる国へと発展していた。これは世界的にも稀であった。

 そのプロジェクトに欠かせないノウハウの製造には、B区が全面的に指揮し、C区をアンドロイドであるノウハウの大規模大量生産地区にしていた。

 A区は昔と相変わらずであったが、日本の税金の約38パーセントを収めるという過酷なノルマを担っていた。

 

 余談だが、今でもアルファベットの地区を云話事町という人がいるのであった。


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