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パスティーシュ  作者: ふりまじん
プロローグ

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拝啓 ミセス ハドソン

20周年イベントなので、思い切って投稿しました。

活動6年目の夢の人気ジャンル進出。

本当は、異世界恋愛のカテゴリーが良かったけれど、どう考えても、無理があるのでローファンタジーにしました。

ホームズものですが、推理とかアクション、何よりホームズ出ません。

基本少女小説ものを予定してます。

残酷な表現も、出てくる事はあまり期待しないで下さい。

どちらかというと、お茶やお菓子の話になると思います。と言うか、そう言うふうに育ってほしい

拝啓

チェルシーの花祭りが気になる季節になりましたね?

ミセス・ハドソンは、いかがお過ごしでしょうか?

わたくし…メアリーは健在です。

健在…ではありますが、心はそうは行きません。


もしかしたら、夫のジョンから知らされているかもしれませんが、私とジョンは離れ離れに暮らしているのでございます。


ああ、ここまで手紙をしたためてみても、現在、私のおかれる立場を…説明するには、勇気と文章力のいる作業になります。


何から話したら良いのか…

思い悩みはしますが、幾度、思い悩んでも、結果は一年前…1891年の5月にたどり着いてしまうのです。

そう…あの聡明で、タフな…シャーロック・ホームズ先生の亡くなった時に。


いまだ、ホームズ先生の遺体は発見されていませんし、ジョンは、ホームズ先生が行方不明と知ると、深く動揺し、仕事の合間を見計らうと方々の友人知人に連絡をし、スコットランドヤードに通うようになりました。

その様子は…レストレード様が『まるでジュリエットを探すロミオのよう。』と、皮肉を言うほどです。

その年の冬、クリスマス前のある夜に、ジョンは、まるで死にそうな顔をして、私に今まで手をつけずにいた、原稿料の使い道について頭を下げて提案をしてきたのです。


『このお金を使って、スイスに2人で旅をしたい』

そう、申してきたのでございます。


行く先は、もうお分かりでしょう。

あのライヘンバッハの滝です。

ジョンは、どうしても、ホームズ先生の死を受け入れられない。自分の目で現場を見て、納得できなくては前に進めない…そう、申すのでございます。


私は、二つ返事でそれに了承しました。

スイスは美しい場所ですし、外国に2人で出掛けるのは初めての経験でしたから。

そして、何より、この1年で痩せて老け込んだジョンに元気になって欲しかったのです。


私たちは、その冬、質素な生活につとめ、春の長い旅について準備をしたのでございます。


現在、私は、この手紙を大陸連絡列車の中で書いております。


ホームズ先生の行方は…亡骸は…見つかりませんでした。


それどころか…私は、夫のジョンともはぐれてしまっているのです。


失意に沈むジョンを励ましながら、パリ行きのオリエント急行に乗り込み、予約した二等寝室で荷物を片付けて眠った所までは、確かに、私たちは、一緒でした…


気落ちする夫に、私は、ブランデーの入ったグラスを渡し、眠るのを確認すると、私も心地のよい列車の揺れに身を任せて深い眠りについたのでございます。

それから先の私の不思議なお話は、次の手紙でしたためたいと思います。


1892年5月


かしこ

メアリー・ワトソン


追伸

この手紙が届いたら、どうか、別紙の住所に返信をおねがいします。


二伸

今はまだ、誰にもこの手紙の話をしないとお約束ください。


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