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テーマ詩集:武器庫

あたしの妖刀

作者: 歌川 詩季

 妖刀と聖剣が欲しいです。

 あたしがいつも 腰に()びているひと振り

 斬れあじもするどい 稀代の妖刀


 無礼をはたらいたり 弱いものいぢめをするやつは

 ずらりと抜いて ずばんと斬るよ

 ためらいなんかは 小さじ一杯もいらない

 斬るときめたら 迷わず斬り捨てる

 それがあたしの()びたひと振り

 それがあたしの腰の妖刀



 だけど 誰ひとり このひと振りが目に入らないから

 うかつにも無礼をはたらいたり

 卑怯にも弱いものいぢめをするんだ


 だって このひと振りは

 あたしの魂 おそろしき妖刀

 刀身はおろか (つば) (つか) (さや)さえも

 あんたらごときには そのすがたを

 目にすることなどできない


 そんな妖刀を このあたしは

 ずらりと抜いて ずばんと斬るよ

 あんたらは いつ斬られたのか気づきもしない


 だけど このひと振りは

 あたしの相棒 慈悲深き妖刀

 斬られたはずのあんたらなのに

 痛いどころか (きず)ひとつ()っていないから

 斬られたことすら気づきもしない


 ふふ 命びろいしたわね



 あたしの見えない妖刀で 斬り捨てたところで

 あんたらが 痛みを感じるどころか

 (きず)ひとつ()わずにすむのが

 この妖刀の慈悲深さなら

 そのぶん あたしは非情になって

 ためらいなんか 小さじ一杯ぶんもなく

 ずらりと抜いて ずばんと斬るよ

 (ゆる)しも 憐れみもなく

 あんたらを斬り捨ててやれるんだ


 それでも あんたらは

 いつ斬られたのかも 斬られたことすらも

 ぜんぜん 気づいてないから きっと

 また 無礼をはたらいたり

 また 弱いものいぢめをすることだろう


 それなら そのたびに

 何度でも 斬り捨ててやるさ

 あたしのおそろしくも慈悲深き妖刀は

 たとえすがたは見えなくとも

 あんたらみたいなのを斬り捨ててやるために

 あたしが腰に()びている

 あたしの魂で相棒の 稀代のひと振りなのだから



 ずらりと抜いて ずばんと斬るよ


 ふふ 今回も命びろいしたわね

 斬ってやりたいこともありますね。



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制作:冬野ほたる先生

挿絵(By みてみん) 制作:あき伽耶先生
― 新着の感想 ―
[良い点]  いつか本当に斬らねばならないときのために。  その準備をしているようにも思えました。  どんなに相手を傷つけても、引けない時もあるでしょうから。  その時に、ためらわずに済むように。
[良い点] 私もこの妖刀、欲しいです。 傷をつけられなくとも(その方が良いです)、その一振りが見えれば、自分たちがやったことがどういう事か分かるのに残念ですが、あたしみたいに弱い者いじめなんかをする自…
[一言] 言刃で文滾る!
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