EP01 異世界転移なんて嫌だ!!
今日は待ちに待った、マジ〇カイザーの玩具が発売を迎える日だ。
マジ〇カイザーと言えば、かの有名なマジ〇ガーZの後継機であり、グレートマジ〇ガーの登場から視聴者からのバッシングを受け、もっとマジ〇ガーZを強くするんだ! と出来た可哀想でありながら超絶かっこいい機体なのである。
そんなカイザーが今回はガシガシ動く超合金で出るとは言うではないか!
これはもう早めの確保をするしかないと思い時間は午後12時丁度の事。
もうビッ〇カメラは目と鼻の先の距離―――であるのにもかかわらず、俺事”佐藤 拓海"(28歳)会社員は動けずにいた。
まるで周りの時間が止まってしまったかのように、俺の足元には見慣れない六芒星の魔方陣が現れ…周りの人々は石の様に固まっていた。
『異世界の民よ。 聞こえておるか? お主は選ばれた―――』
「!? な、なんだこれは!?」
頭に直接語りかけてくるような声。
何処かで見た事のある様な展開。
まさかと思い俺は恐る恐る口を開いた。
「ま、まさかとは思うが…い、い、異世界に連れていくなんてそんな…」
『察しがいいではないか。 さぁ、選ばれし存在よ。 貴様を新たなる地へ誘おう!!』
「待って!! まじで待って!! だったらこれだけは聞かけてくれ!! レ〇アース系!? ナイ〇マ系!? どっち!? どっちぃぃぃ!? 普通の異世界は勘弁してくれぇぇ!! それとカイザー!!」
気付けば俺の目の前は真っ白になっていた。
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昔を思い出す…あれはクリスマスの夜の事だった。
ロボットが好きだった俺はふと父親に呟いた「ロボットゲームがしたい!」
その発言を聞いた父はその日の夜の内にとあるゲームソフトを買って来ていた。
その名も”スーパー〇ボット大戦F…あれは小学何年生の頃だった、幼少期ながらに敵ガ〇ダムに殺意が沸いたほどにそれはもう難しいゲームだった。
敵ユニットだった時は最強だった筈のガ〇ダムWは味方になった瞬間、誤操作により自爆してしまうわ…ボコボコにやられるわでそりゃもう酷いものだった。
だけど、そこが俺の全ての始まりだったと言っても過言ではない。
そう――俺はロボを愛し、命中率99%は絶対に信用しない男なのである!!
「はっ!? 幼少期の頃のトラウマが!!」
まさかあのゲームの続編が更に鬼畜だとは幼少の頃の俺は知る由もなかったのである。
「ここは? 何処だ?」
そんなことはさて置き、俺はどうやら最近流行りのアレに巻き込まれしまったらしい。
周りを見渡してみても見慣れない巨大な石像がポツポツと並んでいる所位で、この場所そのものを脱出出来る様な出口は何処にも見つからない。
まさかとは思うが、この密閉空間で俺自身を餓死させる気じゃないだろうな?
『ふふふ、何々…そこまで心配する事はない。 選ばれし者よ―――』
するとそんな俺の空気を察してか、ゆらゆらと得体のしれない何かが天井からゆっくりと舞い降りて来た。
何と説明すればいいのか、人でもなければ化け物でもない…ただ人の形をした何かだという事だけは理解できるくらいのでしかない。
『ふむ、あまり時間が無いので手短に説明するとしよう。 お主は見事、魔聖機の指揮隊長として異世界に転移する存在として許された』
「魔聖機の指揮隊長?」
『残念だか、それ以上はこちらから何も教える事は出来ない。 さぁ、コマンダーブレスを受け取るのだ!』
「ちょちょちょ、っと待ってくれ! 一体何がなんだ――うぉ!?」
突然光輝く左手首には四角い六芒星の彫刻が入ったブレスレットが出現した。
なんというか、見た事あるような無いような…そんな形をしたブレスレットを眺めているといつの間にか俺は見知らぬ草原の上にただ一人、ポツンと佇んでいた。
「―――え? なんにも説明なし?」
まるで後はお前自身で確認しろと言わんばかりの投げっぷり、これが漫画やライトノベルならもうちょっと新設設計されている筈だ。
等と考えても、あの異形の存在は再び俺の前に現れる事はなかった。
いや、今はそんな事どうでもいい。 なんか、変じゃないか? 周りの景色が徐々に緑色のものに変ってきているというか、森っぽい何かに―――
「おい! 薄情者! まさかこのまま森のど真ん中に放り出すつもりか! おい! お~~い!! お~~~~い! せめてチュートリアル位してくれ!!」
そのまま俺は虚しくも再び意識を失う事になった。
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夢を見ていた。
燃え盛る炎の中で、巨大なロボットが巨大な化け物と殴り合っている姿だ。
『~~~~!! ~~!!!』
何かを言っているようにも思えるが、それはこちらに聞こえることは無い。
ここは一体どこなんだろうか? 俺の記憶? 何かのアニメのシーンに俺が入り込んだのだろうか?
『あれは”魔獣機”約4千年以上もの間封印されていた存在だ』
「!?」
この声は!?
聞き覚えのある声に思わず後ろを振り返った。
「あ、あんたは…」
『私の名は”ブレイブゴッド”目の前の巨人の元主だ』
指差す方向を見つめると、その先には先程から巨大な化け物と戦闘を繰り広げる巨大ロボット。
いや、巨大なスーパーロボットの姿が徐々に露わになった。
だが俺は、注目する筈のスーパーロボットを全く見てはいない…
「な、なんだよあれ…」
巨大な化け物は必要以上に自分の足元へ向かって攻撃を繰り出す、だが敵は目の前のロボットの筈だ。
それを何故あそこまで足元に攻撃を集中させるのか―――疑問に思うと同時に炎の力が徐々に弱まり周りの景色が姿を現す。
「お、おい…」
炎に包まれたそこは巨大な街だった。
建物の下敷きになった人間や、蜥蜴の姿をした者や、エルフの様な存在―――そんなもの達は恐怖を抱き街を逃げ惑う。
『もうすぐ、奴らの封印が解ける』
「え?」
『選ばれし者よ。 私には奴らを封印するのが精一杯であった―――しかし。 君には溢れんばかりのブレイブソウルを感じるのだ。 私の勝手で巻き込んでしまった事には謝る。 だが―――』
「はぁ…やればいいんだろう?」
『な、に?』
「なんだか意味は解らねぇ。 けど、俺にしか出来ないんだろう?」
言っていて吐きそうなセリフではある。
ただ、俺は一度は言ってみたかった台詞なんだ…許してくれ。
『そうか。 やってくれるか』
「あぁ」
『もう時間の様だ。何から何まで説明したいのだが、私の力ではそれは叶わないらしい。 気を付けるのだ―――佐藤 拓海よ。 その力は君の使い方次第では”魔の王”となる可能性も秘めている―――異世界の魔王…勇者として――――その――――――』
「お、おい!? どうした!? おい!?」
気付いた頃には既に俺は森の中でただ一人佇んでいた。
「夢…じゃないよな…流石に」
左腕を見ると見た事のあるブレスレットがしっかりと装着されていた。
そして俺は思わず呟く。
「もしかして、そっち系?」