世界(勇者)はそんなに柔じゃない
「ここは……どこだ?」
何も見えない闇の中–––––––––
気がつくと、そんな場所に寝っ転がっていた。
上体だけ起き上がり、首を回してみるが何も見えない、
自分の体が動けているのは感覚で分かるが、周りがどうなっているのかは、全く分からない。
しばらくしても一向に目がなれる気配がなく、自分が目を開けているのかすら分からなくなってくるくらい、一切の光源がない。
辺りからは、音も聞こえて来ないため、ここが狭いのか広いのか、そもそもどんな場所なのかも分からない、
「……分からない」
自分は一体どうしてこんな場所にいる?
ここへ来る前、自分はどこで何をしていた?
分からないことだらけなこの状況、
状況確認のためにも、とりあえず動き回ることにして、
「よし!」
と気合いを入れて立ち上がり、
まずは体力の限り走り回ってやろうかと、ヨーイ、の姿勢になる。
ドン‼︎
と、スタートを切って、走り出そうと一歩踏み出したところで、
ズドン‼︎と、
何やら硬い壁と思われるものに顔面から思いっきり激突する。
……どうやら思ったより狭かったらしい。
鼻っ柱からノーガードで突っ込んだため(あ、これ折れたんじゃね?)と思うような激痛に襲われる。
「ハンナァァァァァァァァァ‼︎」
痛みのあまり、その場でのたうち回る。
その間にも、手足が壁に当たる感覚があるため、どうやらこの場所は、自分の体がギリギリ横になれるくらいのまぁまぁ狭い場所だったことを学ぶ。
あまりに痛すぎるため、痛みが引くまでの間、うつ伏せになってじっとしていることにする。
–––––––––痛みが引いたことで、ようやく動けるようになった。
今度は慎重に辺りを調べよう。
そう考えついたところで––––––––
「……呼びました?」
謎の幼い少女のものと思われる声とともに、パァーッと、辺りがまばゆい光に照らし出される。
「……うわ⁉︎」
今まで完全な真っ暗闇の中にいたため、光に目が慣れず、反射的に目を閉じる。
片目だけ開けて、何事かと辺りを確認する。
かろうじて見えたのは、先程まで真っ暗闇だった場所が、光に照らし出され、何もない白い空間になっていること、
そして、
なんか「呼んだ?」みたいな顔をして、こちらを見ている、
年はまだ10歳前後と思われる、幼い少女の顔だった。