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第三種警戒体制発令

『総理:そうね。私も驚いてるわよ。私で冷戦が終わったからね。

記者:総理は第三種警戒体制の発令を決めた時、第三次世界大戦になると思っていましたか?

総理:思ってなかったわね。何せ第三種警戒体制は、イスラエルを守る保険で宣言したから。

記者:なるほど。それでは第四次中東戦争に正式介入した経緯は?

総理:経緯と言うより、第四次中東戦争へは介入する予定だったのよ。

記者:と言いますと?

総理:第三種警戒体制を発令したのはさっきも言ったけど、保険のようなものなの。3月1日の連合艦隊常駐300年記念観艦式まで介入しないから、その間に[大日本帝國が介入しないなら侵攻しよう]何てエジプト等が、考えないように宣言したのよ。だから観艦式が終われば介入する計画だったの。

記者:なるほど。そうだったんですね。

総理:そうよ。まあ介入する前に、ソ連輸送船制圧作戦を実行したけどね。

記者:あれには驚きました。航行中の輸送船に九尾狐を投入させるとは。

総理:まああれくらい、特殊奇襲部隊だから出来るわよ。大英帝国のSASでも出来るわよ。

記者:特殊部隊は私達一般人には想像出来ない身体能力を持っていますね。

総理:そうよ。特殊だもん。

記者:それでは続いての質問に移ります。』

2009年2月5日発売

『月刊大日本帝國軍

特集大日本帝國軍最高司令官と対談』より抜粋










午後1時30分

首相官邸1階記者会見会場


「大日本帝國内閣総理大臣が入られます。」


秘書官の言葉に、記者達は席から立ち上がった。綾崎若菜総理は颯爽と入り口から入ってきた。

国旗に一礼すると、綾崎総理は演壇に立った。記者達はそれを見ると、席に着いた。


「それでは総理、お願いします。」


綾崎総理は一呼吸すると、口を開いた。



「皆さんご機嫌いかがかしら?今日は重大………かもしれないけど、そこまで重大じゃない事をお知らせするわ。」


綾崎総理の回りくどい言葉に、記者達は首を傾げた。


「回りくどい言い方だったかしら?それなら良いわ、はっきり言うわよ。私は大日本帝國軍最高司令官として13時15分に、大日本帝國軍に対して第三種警戒体制を発令致しました。」


綾崎総理の言葉に、記者達は驚きの声をあげた。


「この発令は、第四次中東戦争勃発を防ぐ抑止力として宣言します。これを発令したから即、介入と言う訳ではありません。血迷ってエジプト等が、イスラエルに侵攻しないのを望みます。」

「総理、帝國は静観するのですか?」


1人の記者が質問した。


「静観………ではないけど、機が熟せば介入も有り得ます。しかし、これだけは言えます。大日本帝國は非介入はしないと。」


綾崎総理はそう言うと、記者会見会場を出ていった。記者達は慌てて記者会見会場を飛び出した。





午後2時


『大日本帝國第三種警戒体制発令!!』


この宣言は世界中を駆け巡った。これに大東亜共栄圏各国と中華帝國も賛同し、大東亜会議の召集を呼び掛けた。大日本帝國はこれを受け入れ、18時に帝國ホテルで大東亜会議が召集される事になった。

西側諸国は大日本帝國の第三種警戒体制発令を受けて、全ての国が警戒体制を引き上げた。これに当然ながら東側諸国も警戒体制の引き上げを行い、世界は急激に第三次世界大戦への道を進み始めたのであった。





午前5時

ソビエト連邦リエパヤ港


バルト海に面するこの港は、ソ連でも屈指の規模を誇る。軍民問わず、幾多の船が出入りしていた。



第4倉庫


朝日が差し込む倉庫に、人影が動いていた。


「なるほど。」


彼女は大英帝国MI6(首相直轄情報部第6課)スパイである。名はダイアナと言い00メンバーに数えられ、007のコードネームを与えられていた。


「大きさは冷蔵庫ぐらいかしらね。」


007は木箱の破片を拾い上げて呟いた。


「そうよ、正解。」

「誰!?」


ブローニングハイパワーを構えながら振り向いた。しかし相手は微笑んだだけであった。


「そんな怖い顔しないの。TTZSよ。」

「TTZS!?」


007の驚いた表情に、相手は笑いながら手帳を出した。



「TTZS第1情報部欧州課諜報員奥菜恵よ。」

「MI6スパイ007です。」


奥菜諜報員が手を差し出した事に、007は自己紹介しながらその手をしっかりと握り返した。


「よろしくね、ダイアナ。」

「なっ!?何処でそれを!?」

「TTZSを甘く見ないで欲しいわね。同盟国とは言え、全てお見通しよ。」


奥菜諜報員の笑みに、ダイアナは微かに震えた。



「そう震えないで、大日本帝國は貴女と貴女の国の味方よ。」

「非常に心強い味方です。」


ダイアナはそう言うと、頭を下げた。


「ところで、ダイアナ。何か分かった?」

「はい。この木箱の破片から、荷物は冷蔵庫ぐらいの大きさ。それも業務用の大きさと思われます。」

「これもね。」

「?」


ダイアナは奥菜諜報員からプレートを受け取った。


「これは!!」

「核兵器だったかもね。」


ダイアナが受け取ったプレートには、核兵器を表す国際マークが書かれていた。


「それもこの大きさですと……」

「その核兵器は、ツァーリボンバーかもね。」

「ツァーリボンバー!?」


ダイアナの手から、プレートが落ちた。









午前6時

エジプト首都カイロ首領官邸



地下1階のコマンドルームに、ナターシャ首領の怒声が響いていた。



「ふざけた事してくれたじゃない!!街もろくに占領出来てないじゃない!!貴女達は無能ね!!」


ナターシャ首領の怒りに、閣僚達は黙って聞いているしかなかった。

ナターシャ首領の怒りは当然と言えば当然である。彼女の人生で初めて、思い通りに事が進まなかったのが今回の作戦だ。ナターシャ首領はエジプト有数の富豪の所に生まれた。母親達が掘り当てた油田により、エジプトは世界有数の産油国となったのだ。そのような家柄である為、ナターシャは全てにおいて、思い通りの生活を営んで来た。小学校・中学校・高校・大学・大学院全てエジプトでもトップレベルの学校に入り、全て首席で卒業した。私生活においても4人の愛人を囲って、毎日愛を育んでいた。


そして政界に進出し、金と権力をフル活用して出世していった。敵対する勢力は叩き潰し、時には金でスパイを雇ったりもした。母親達の強大なバックボーンがあり、ナターシャは遂にエジプトトップの座に着いたのであった。そしてナターシャ首領の独裁政治が始まったのである。自分の命令に従わない者は例え学友であろうとも粛正し、周囲をイエスマン(男奴隷のように女性でありながら上司の命令を黙々と実行する者を揶揄する表現)で固めていった。しかしナターシャ首領はイエスマンとて、完全に信用しなかった。前任の国防長官は完璧なイエスマンであったが、ナターシャ首領は簡単に粛正した。


『天使と悪魔』ナターシャ首領に付けられた別名である。忠実にナターシャ首領に追従すれば愛人に加えられ、体を交わらせる事が出来るようになり、一度反抗すれば有無を言わさずに粛正する。まさに天使と悪魔が当てはまるのがナターシャ首領である。




「『アメリカのブラックウォーターと手を組めば必ず、イスラエルを占領出来ます。』って言うからブラックウォーターを雇ったのに、無意味に終わったわね。500万ドルを無駄に使っただけじゃない。イスラエルの戦力は私達より凄いし、大英帝国・イラク・イラン・トルコが警戒レベルを引き上げて、遂には大日本帝國まで第三種警戒体制を発令したじゃない。貴女達は言ったわよね。『24時間以内に、イスラエル南部を占領します。東側諸国、大日本帝國が介入する時間を与えません。』ってね。」


アリル海軍本部長・ロース陸軍本部長・スカール空軍本部長は、呆然とナターシャ首領の話を聞いていた。彼女達は、粛正を覚悟していた。


「偉そうな事言ってくれたわね。ソ連にも極秘で進めてた作戦よ?プーチン女帝は怒り狂ってるでしょうね。警戒レベルを上げたのは私達の為じゃなくて、東側諸国が引き上げたから儀式的に引き上げたんでしょうね。せっかくソ連のスペツナズに金を払って、ツァーリボンバーを奪ってもらったのに無意味になるかもね。」

「ツァーリボンバーですか!?」


ナターシャ首領の言葉に、マクネル国防長官が驚きの声をあげた。


「そうよ。イスラエルが核兵器を保有していないから、私達がツァーリボンバーを保有すれば大日本帝國でも手を出せないわ。それをスペツナズに奪ってもらって輸送中よ。今はアメリカに待機してるわ。」

「アメリカですか?遠回りですね。地中海を通った方が早かったんじゃないんですか?」

「確かにそうだけどね、まさか遠回りして輸送するとは思わないでしょ。」

「そうですね。」


マクネル国防長官は納得したように、頷いた。


「ツァーリボンバーが手に入れば、エジプトは世界一の大国になれるわ。フフフ。」


ナターシャ首領は微笑んだ。3軍の本部長は、一安心して溜め息を吐いた。しかしナターシャ首領の妄想を切って捨てるような考えは無かった。もしナターシャ首領の周りに健全なる思想を有した人物がいれば、『ナターシャ首領は狂っている。』と断じただろう。しかしそんな人物はいない。そう言う人物は、粛正した。エジプトは狂気の指導者によって、着実に崩壊への道を突き進むのであった。





大日本帝國が第三種警戒体制を発令した事により、東西両陣営も警戒レベルを上げました。

しかもしかもソ連輸送船の積み荷が、ツァーリボンバーだと言う事も分かり、これを制圧するのは急務となりました。




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