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帝國の動き

2000年2月17日午前10時


国会議事堂第2委員会室


現在予算委員会の質疑応答を行っている。質問に答えているのは、通称『ミセス通産省』と言われている林田江里香通商産業省事務次官である。




「……以上の観点から、通産省の予算はこれが妥当です。帝國の産業を活性化させ、貿易を増大させる。新年早々西側陣営が軍事演習を行いました。これにより熱戦の危機に陥ったわけですが、帝國の経済を悪化させるわけにはいきません。」

「さすがはミセス通産省。」


綾崎若菜総理はそう言うと、拍手をした。


「経済を優先させるわけなのね。確かにそう。戦争ほど、経済を悪化させる装置はないから。」

「その通りです。」

「けど、やらねばならない時があるわ。例え経済が悪化しようともね。」

「何でしょうか?」

「大日本帝國の威信が、経済よりも優先される。その為貴女は、戦争が起きたら経済に影響が出ないような、対策を考えておくこと。わかった?」

「了解いたしました。」


林田事務次官はそう答えると、頭を下げた。



「それでは、予算委員会を終わります。」


委員長の言葉で、予算委員会が終わった。議員達は席を立ち、委員会室を次々と出ていく。林田事務次官が委員会室を出ようとすると、綾崎総理に呼び止められた。


「何でしょうか?」

「ミセス通産省。帝國経済は貴女の双肩にかかっているわ。さっきも言ったけど、対策を考えておいてね。」

「分かっております。通産省に戻り次第、熱戦になった時の対策を練ります。お任せ下さい。」

「ミセス通産省と言われる貴女だから大丈夫ね。頑張ってちょうだい。」


綾崎総理はそう言うと、委員会室を出ていった。










午後12時


首相官邸閣議室では、帝國安全保障会議が急遽開かれた。内容はまさに驚くべきものであった。




「中東戦争が勃発する!?」


すっとんきょうな声をあげたのは、七瀬優通商産業大臣であった。これに星野明日香TTZS長官が冷静な口調で答えた。


「はい。私達の掴んだ情報ですと、その可能性が強いと思われます。」

「どれくらいの規模なの?」

「そう大きくは無いです。もしかすると戦争にまでは発展せずに、国境での小競り合いだけかも知れません。」


保坂美優大蔵大臣の質問に星野TTZS長官は答えた。


「国境での小競り合い?」「はい。しかし小競り合いがややこしいのです。」

「なぜ?」

「………」


森井夏穂内務大臣が疑問を突き付けた。しかし星野TTZS長官は軍事の事に関しては分からない。それに助け船を出したのは、杉原真奈美軍務大臣であった。


「国境での小競り合いだと、膠着状態に陥る可能性が出てきます。そうなると必然的に長期化し、あちらさん(西側陣営)が干渉してきます。しかも中東戦争は帝國にとって戦いにくい戦争の1つです。3回の中東戦争及び湾岸戦争は帝國にとって参戦するのに時間がかかります。ややこしくなるのは、目に見えます。」

「なら、今の話は聞かなかった事にしましょう。」

「えっ!?」


綾崎総理の言葉に、杉原軍務大臣は目を丸くした。


「どちみち、軍務省では作戦計画は何個かあるんでしょ?」

「はい。一応軍務省としても、帝國に降り掛かる戦火を予想した、計画は立案されています。」

「それならそれで良いじゃない。中東で戦火があがるのは何時かしら?」

「1年以内に絶対です。」

星野TTZS長官は自信満々に答えた。


「1年以内って分かるなら、対応は出来るわよね?」「はい。軍務省に戻り次第、計画を掘り下げます。」


杉原軍務大臣が答えた。その表情は余裕であった。



「しかし長官。よくこんな情報を掴めましたね。」


松浦千恵美外務大臣が誉め讃えた。星野TTZS長官は照れ笑いを浮かべながら答えた。


「総理に半殺しにされた時に、心に決めたんです。是が非でも総理に重大情報を提示すると。」

「あら。半殺しにされたから、情報を提示したの?じゃあ貴女を殺せば、TTZSはもっと凄い情報を出すの?」

「……いえ、そういう意味では。」


星野TTZS長官は怯えながら答えた。自らが招いた失態を今更ながら、呪っている。



「まあ、何はともあれ皆さん、気を引き締めて下さい。どうやら、私達の内閣で冷戦が熱戦になるのは決まったみたいですから。」


綾崎総理の言葉で、帝國安全保障会議は終わった。



次回予告

TTZSが掴んだ情報通り、中東で火の手があがった。これにより世界は大きく動く事になった。

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