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電話会談

2000年2月16日午前10時


ソビエト社会主義共和国連邦首都モスクワ



クレムリン宮殿の執務室では、アンナプーチン女帝とKGB議長チェルシーガザンが極秘会談を行っていた。



「同志大元帥、これが私達の掴んだ情報です。」


チェルシー議長は、プーチン女帝に書類を手渡した。



「……なるほど。」


「今回の実行犯は、GRUの第1課長とスペツナズの第4部隊です。」


「貴女の意見は?」


プーチン女帝は、書類を机に置きながら聞いた。


「粛清です。反逆者は消さないといけません。」


「分かってるじゃない。」

「ミイヤサキGRU局長と、スペツナズ体長ミューラタリエイジ大佐が既に、粛清に向けて動いています。」


「あの2人が?」


「はい。」


「……今すぐ止めるように言いなさい。」


「えっ?」


チェルシー議長は、驚いてプーチン女帝を見た。


「あの子達が、汚れる必要はないわ。」


「と、言いますと?」


「プリヴィディエーニに殺らせなさい。」



チェルシー議長は再び驚いた。


「プリヴィディエーニにですか?」


「そうよ。」


「し、失礼ですが、同志大元帥はどこで、それをお聞きになられたのですか?」


「知りたい?」

プーチン女帝の冷たい目付きに、チェルシー議長は凍り付いた。


「い、いえ。遠慮しておきます。」


「そう。別に遠慮しなくて良いのよ。」


チェルシー議長は、苦笑いするしかなかった。



「それじゃ、大日本帝國にホットラインを繋ぐわよ。」


「大日本帝國にですか?」


「そうよ。うちの馬鹿達のせいで、あっちは3人殺されたからね。犯人の目星がついた事と、プリヴィディエーニに殺らせる事を教えるのよ。」


「分かりました。」


「例の戦争を早めるかな?」


プーチン女帝は意味深な事を言い残して、執務室を後にした。










午後3時


大日本帝國帝都東京首相官邸地下?階



ここには極秘核シェルターが存在する。



冷戦が継続する中で、何時核ミサイルが飛んでくるか分からない。


そこで首相官邸の地下には極秘で、核シェルターが造られたのである。


しかし首相官邸地下の核シェルターは、最終的に使う物である。


その為大日本帝國は、世界最多の偵察衛星を打ち上げ、海軍・陸軍の弾道ミサイル迎撃システムも充実させている。



そんな核シェルターに、綾崎若菜総理大臣と星野明日香TTZS長官がいた。



張り詰めた緊迫感が、核シェルター内を包み込む。


星野長官は、全裸で椅子に荒縄で縛り付けられている。





「明日香ちゃん。」


突然背後から声を掛けられ、星野長官は振り向いた。


そこには鞭を手にした綾崎総理が、笑みを浮かべながら立っていた。


「そ、総理。」


「明日香ちゃん。」


「良い、良い天気ですね。」


「そうね。この大雨は、明日香ちゃんの血に変わるかもね。」


「………」


星野長官は、息を呑んだ。



「さてと、何故ここに縛られてるか分かる?」


綾崎総理は、椅子に座りながら聞いた。


「だ、第2の……」


ピシャン!!


「声が小さい。」


星野長官は鞭で叩かれた。


「第2の殺人事件が起きたからです!!」


「そうよ。分かってるじゃない。」


「そ、それでですか?」


星野長官は怖ず怖ずと聞いた。


「そうよ。だ・か・ら、鞭打ち100回。」


綾崎総理は笑いながら言った。


「……」


星野長官の目には、涙が溢れていた。













午後4時


鞭打ち100回により、星野長官の背中は血だらけとなっていた。


1時間連続で責められた事により、星野長官は気絶した。


「これで少しは、反省するでしょ。」


綾崎総理はそう言うと、椅子に座った。


「総理、失礼します。」


そこへ秘書官が入って来た。


「どうしたの?」


「ソ連のプーチン女帝から電話会談の要請です。」


「ソ連から?」


綾崎総理は驚いた。


何せ敵国から電話会談の要請である。


驚くのも、無理はない。



「電話室にお行き下さい。」


「分かったわ。」


綾崎総理は椅子から立ち上がり、扉の方へと向かって行った。


「総理。」


秘書官が声をかけた。


「何かしら?」


「星野長官はどうしますか?」


「あぁ。傷の手当てをして、寝室に寝かしといて。」


「分かりました。」


「頼んだわよ。」


綾崎総理は、核シェルターを出ていった。














地下3階電話室


ここには東西両陣営主要国に繋がる、ホットラインが設置されている。


綾崎総理が電話室に入ると、担当官が出迎えた。


「総理、こちらです。」


担当官が案内する先には、電話が1つ置かれていた。


ネームプレートには、『ソビエト連邦』と書かれていた。


「どうぞ。」


「ありがとう。」


綾崎総理は椅子に座り、受話器を取った。





「もしもし。」


『総理大臣閣下、突然申し訳ありません。』


「いえいえ。用件は何ですか?」


『単刀直入ですね。』


「えぇ。何せ敵国の女帝からの電話ですからね。」


『敵国だなんて、まあその時になればお手柔らかに。』


「用件は?」


『分かりました。お伝えしましょう。』


「どうぞ。」


『貴国の要人殺害について、犯人が分かりました。』


「本当ですか?」


『本当です。』


なお、プーチン女帝は日本語で、話している。



「教えて下さい。」


『もとよりそのつもりです。犯人はGRU第1課長とスペツナズ第4部隊です。』


「身内の、参謀本部情報総局とその所轄部隊ですか。」


『お恥ずかしいかぎりです。』


「私達のTTZSも掴めなかったですからね。お互い様でしょう。」


『……』


「その対処は?」


『粛清です。その犯人を消します。』


「正しい判断です。」


『ありがとうございます。』


「その粛清方法は?」


『KGBの暗殺者にプリヴィディエーニと言う者がいます。』


「プリヴィディエーニ。幽霊ですね。」


『ロシア語を良くご存知で。』


「少し位は分かりますよ。」


『まあそれは良いとして、この度の暗殺事件について謝罪します。』


「まあ良いです。過ぎた事を言っても仕方ないです。」


『ありがとうございます。』


「それでは、次はプリヴィディエーニが犯人を粛清した後と言う事で。」


『分かりました。それでは。』


「それでは。」


綾崎総理は、受話器を置いた。



「プーチン女帝は何を言ってましたか?」


担当官がコーヒーを机に置きながら聞いた。


「暗殺事件の犯人が分かったみたい。」


綾崎総理はコーヒーを飲みながら答えた。


「分かったんですか?」


「GRUとスペツナズが暗殺に、加担してたみたい。」


「ソ連もふざけたもんですね。」


「まあ良いじゃない。プリヴィディエーニが始末するみたいだし。」


「プリヴィディエーニ、ですか?」


「幽霊よ。KGB専属の暗殺者みたい。」


「暗殺者ですか。」


「まあ、何でも良いわよ。」


「とりあえず、頑張ってもらうしかないですね。」


「そういう事。」


綾崎総理はそう答えると立ち上がった。


「私は戻るわ。」


「分かりました。」


「それじゃ。」


綾崎総理は電話室を出ていった。



今年最後の更新です。


今年もお読みいただき、ありがとうございました。



来年もよろしくお願いいたします。

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