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モスクワの女帝

午後4時


ソビエト社会主義共和国連邦首都モスクワ


ソ連の最高意思決定機関はクレムリン宮殿である。



城塞を意味するクレムリンは、ソ連でも最高の防衛体制を誇る。



モスクワ防空航空隊は、超最新鋭(先月配備されたばかり。)のSu−47ビェールクトを主力とし、Su−27ジュラーヴリク、MiG29ラーストチュカが配備されている。


そして陸軍もモスクワ防空隊として、S−300V対空ミサイル・9K38ブーク対空ミサイルを配備している。






クレムリン宮殿執務室


プーチン女帝は側近達を集めて、会議を開いた。


側近達と言うのは、スタフカ、つまりは中央軍事委員会のメンバーである。

ソ連の最高意思決定機関を指す。





「同志大元帥、演習は完璧です。東側はさぞや、驚いているでしょう。」


「良くやった。」


ソビエト連邦軍統合参謀本部総長ルチアバーミントン上級大将の言葉に、アンナプーチン女帝陛下は拍手を送った。


他のスタフカメンバーも、拍手を送る。


「元帥。戦争となれば、大丈夫か?」


プーチン女帝に元帥と呼ばれ、1人が立ち上がった。


と言うより、元帥はスタフカメンバーで1人しかいない。


国防大臣のナージャミユ元帥である。


「完璧であります、同志大元帥。いざ戦争となれば我が軍の誇る陸軍機甲師団はもとより、ドイツとイタリアの同志も圧倒的戦力で侵攻いたします。我が軍の戦略は完璧です。」


「何処が完璧なの?」


完璧を繰り返すナージャ国防大臣にプーチン女帝は、睨み付けながら言った。


「それではご説明いたします。これをご覧ください。」


ナージャ国防大臣は、書類を配り始めた。


プーチン女帝も書類に目を通す。


「同志大元帥、世界2大ラインをご存知ですよね。」


「もちろん。マジノラインと中華・満州ラインね。第二次世界大戦の時に、祖国は苦しめられたわ。これを破壊するのが最優先課題よ。」


プーチン女帝は苦々しく言った。


「そうです。マジノラインと中華・満州ラインを破壊しない事には、侵攻作戦は上手くいきません。そこで我が軍と同志アメリカ連邦が開発した、バンカーバスターでマジノラインと中華・満州ラインを破壊します。」


おっと!?


バンカーバスターだと?


これは大変だ。


核攻撃よりも現実的だ。



「東側は、核攻撃を行うと考えていると思いますが、それは無いです。バンカーバスターを空軍のTu−160とTu−142に搭載して、空爆を行います。東側の誇る地下要塞ラインは、このバンカーバスターで破壊されます。」


ナージャ国防大臣は胸を張って言い切った。



「バンカーバスター攻撃で要塞ラインを破壊する事が出来れば、東側など赤子の手を捻るようなもんです。私達の陸軍機甲師団に勝てる陸軍は東側には存在しません。」


「しかし私達の入手した情報によると、大日本帝國と大英帝國・フランス・中華帝國は、新型の戦車を大量生産しているようです。」


国家保安委員会KGB議長のチェルシーガザンが言った。



「けど10年も前の新型戦車でしょ。我がソビエト連邦軍のチョールヌイオリョールは1997年採用です。格が違います。」


ルチア総長は胸を張って言った。



「確かに。しかし我がソビエト連邦軍が勝っているのは、陸軍だけでは?海軍と空軍では戦争になりませんよ?」


参謀本部情報総局GRU局長ミイヤサキが言った。


「確かにそうです。近代軍の中核は、海空軍になります。東側はシーパワー理論を、私達西側はランドパワー理論を国家方針として、軍拡を行ってきました。」


「そうね。国防大臣、東側の特に大日本帝國の海軍と空軍の戦力を教えて。」


「分かりました。」


プーチン女帝の言葉に、ナージャ国防大臣は席を立った。


そしてスクリーンの前に立った。



「それでは説明させていただきます。大日本帝國海軍連合艦隊は、もはや世界最強の海軍です。この海軍には、世界中の海軍が束になってかかっても勝つかどうか怪しいです。その大きな理由は11隻の原子力空母と3隻のイージス原子力戦艦を大日本帝國海軍が保有しているからです。世界初の原子力空母アキツシマ、増産型の原子力空母タイホウ級。そしてイージス原子力戦艦ヤマト級です。この14隻はもとより、イージス巡洋艦48隻・イージス駆逐艦72隻・強襲揚陸艦36隻・原子力潜水艦20隻。そして海軍航空隊はフガクも保有しています。はっきり言いましょう。大日本帝國海軍連合艦隊は鋼鉄のリヴァイアサンです。歯向かっていけば、壊滅します。戦うにはそれ相応の戦略と覚悟が必要です。」


ナージャ国防大臣の言葉に、スタフカメンバーは呆然とする。


ただ1人、プーチン女帝だけが平然としている。


「空軍でもそうです。カリュウ戦闘機は世界最強の制空戦闘機です。KGBの入手した情報によると、大日本帝國空軍は更に新型の戦闘機を開発中のようです。そうですね?同志チェルシー。」


「そうよ。」


チェルシーKGB議長は頷いた。


「そのカリュウ戦闘機に加え、ヒエン攻撃機・ドンリュウ無尾翼全翼ステルス爆撃機・シンザン可変後退翼ステルス爆撃機・ライコウ戦闘ヘリコプターを保有します。以上の観点から、陸軍では我がソビエト連邦軍が圧倒。海軍は絶望的。空軍は微妙です。」


ナージャ国防大臣はそう言うと、席に着いた。


「陸軍が勝てれば良いわ。ランドパワーが我が祖国の全てよ。」


プーチン女帝はそう言い切った。



他のスタフカメンバーも頷く。


「大ソビエトは永久に不滅よ。先程の演習で、ソビエト連邦軍の粘度が分かったわ。開戦は7月よ。」


プーチン女帝の言葉を最後に、スタフカメンバーは立ち上がった。



会議は終わったのだ。





プーチン女帝の言葉が気になるところです。

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