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謀略

1565年今川館


今日の京の都では永禄の変と呼ばれることとなる三好三人衆と松永久通による御所襲撃、将軍暗殺事件が起きた為、日の本中が大騒ぎしていた。


あの有名な剣豪将軍足利義輝が畳に名刀を無数に突き刺した状態で敵を斬っては千切り、太刀が切れなくなると投げ捨ててまた次の太刀を使い無双した後世に有名なあれである。


最後は畳を盾にするなど様々な汚い手を使われて殺されたが、まさにこれこそ戦国無双である。


俺は将軍足利義輝の死によって実質室町幕府(足利幕府)は滅びたと思っている。


三好家の傀儡となった足利義栄は病弱であるのは有名な話であるし、この戦国時代に僧侶上りの公家将軍の足利義昭はもはや武家ではないからである。


我ら源氏には序列と言うものがあり、足利が絶えれば吉良が継ぎ、吉良が絶えれば今川が継ぐと言う言葉がある。


実質足利家に今後未来はなく、吉良家も戦国大名としての力無く、実質財力、武力、そして未来があるのは転生者である俺が継いだ今川家だけである。


俺にはいくつも手につけたいことがあるのだが、今は真っ先にやらなければならない事がある為、領地改革や武器開発、富国強兵などは後回しにして、さつまいもを広めて食料問題の改善と時間がかかる糞尿やよもぎなどを使った硝石作りのみ内政は行う。


人材は服部半蔵と藤林長門守に貧しい伊賀や甲賀から忍びの者達やその一族をかき集めて移住させその任にあたらせている。


さて真っ先にやらなければならないことは、旧領の回復である。


強い結束の今川家臣団を取り戻したとは言え、今まで散々調略や煽動など三国同盟を結んでいるにもかかわらず裏で今川家を攻撃、切り崩しをしてきている甲斐武田信玄にいつ寝首をかかれるかわからないのと、三河を統一したばかりの影武者徳川家康が力をつけて遠江に進出してくるかわからないからである。


ただ、今の三河は金銭も兵糧も力も無く本多平八郎忠勝も服部半蔵もいない。


要するに今なら労せずに三河を取り戻す事ができるのである。


俺は今川家臣団とまだ今川館にとどまっている父今川氏真に広間に集まってもらう。


「皆の者よく集まってくれた。本日は皆にやって欲しい事があり集まってもらった」


「おほほほほほ。彦五郎水臭いではないか。我らは真の親子であろう。なんでも聞こうではないか」


「はい、父上もたぶん得意分野ではないかと思います」


「おほほほほほ。なんでおじゃるか」


「三河で噂と陰口を広めて欲しいのです」


「「「「「なんと!!!?」」」」」


「勿論忍びの者達や商人、僧侶などにも頼むが皆も独自の伝手で広めて欲しい。本物の徳川家康は永禄3年に弥七郎と言う者に暗殺されて既にこの世にはいない。そうでなければ大恩ある今川家を裏切ることはなかった。いや真の徳川家は一度も今川家を裏切っていないと」


「「「「「おお!」」」」」


「そして今の徳川家康は素性の知れぬどこの馬の骨かもわからない影武者であり、本物の徳川家康が愛した瀬名姫とその嫡男である竹千代を虐待してさらには暗殺しようとしたことを」


「なるほどそれならば三河は大混乱でおじゃるな。じゃが其方は麻呂の子じゃと知れ渡っておろうが」


「父上、時として嘘や方便も必要でございます。今は私が父を殺されて三河を乗っ取られた悲劇の跡取りを演じればよいのです。徳川家は今川家を裏切っていない。本来の跡取りである竹千代の為に三河を取り戻すと言う大義名分が成り立ちましょう」


三河さえ平定してしまえばいいわけは後からどうにでもできる。


金銭や食料がない三河で平定後に食料の配布やしばらくの年貢の減額などを行なってやれば人心の掌握も難しくない。


「戦が絶えないのは、生活が苦しいのは、飢えるのは全て影武者とその協力者達のせいだと扇動すれば、今の三河なら直ぐに内部崩壊するはずだ」


「「「「「おお!」」」」」


俺の説明を一通り聞いた今川家臣団と父今川氏真は口角をニヤリと上げるのであった。


そう三河奪還の勝利をかくしんして。

赤い鳥と共に戦えば勝ち続ける。

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