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第70話「【タイマー】は、更なる面倒事に巻き込まれそうになる」


 あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ーーーー!!



 絶叫し、股間を押さえて蹲るエルフが一人。

 こういう時、ふつう転げまわりそうだと思うが、そうじゃない……。


 そうじゃないんだ。


 この痛みは、ズーーーーンと来るのだ。

 動けないほどに……。


 そう、動けないの───。



 エルフの言葉と言えど絶叫は分かる。

 苦悶も分かる。

 泣き声も…………よーくわかる。



 セリーナ嬢は至近距離で叫び付かれたため、目を白黒させているし、

 周りのやじ馬の男性は股間を押さえて同じ姿勢。


 見ている方もいたいんです、はい。まじで。


『───あ゛あ゛あ゛!!…………ぎ、ぎざまらぁぁああああ! ごろず! ぜっだいごろず!! あがぁぁああああ!!』


 血を吐くように絶叫するエルフの副長。


 『ゴロズ、ごろずぅぅ!!』と騒ぎ続けているエルフを見て、さすがにセリーナ嬢も説得は無理だと理解したのか、顔を青ざめさせながら奴から距離をとる。


「な、なんなんですか? いきなり苦しみだしましたよ?」


 とは言え、セリーナ嬢は煙幕下で行われたレイナの無礼打ちについては見ていないので状況が分からないらしい……。よかった。


「さぁーナンナンデショー」

「ボクモ、ワカンナーイ」


 パクパクとわざとらしくとぼけるのはルビンとレイナ。

 それを見ながら声を殺してクスクスと笑うエリカに、のた打ち回るエルフ。


 そして、状況が分からずボケラーと突っ立つ冒険者に野次馬たち…………。


 うん。

 なんじゃこりゃ?!


 うん。

 なんしゃこりゃーーーーーー!!!


 ケラケラと笑うエリカと、白々しくすっとぼけるルビンたち。

 頭を抱えたセリーナ嬢と、何が何だかよく分かっていない冒険者と街のやじ馬ども…………。


 もー……。


「どうやって収拾つけんだよ?」

           のよ?」

           のかな?」

           のかしらぁ?」


 ルビン、セリーナ嬢、レイナ、エリカ。



 それぞれはそれぞれの思惑を抱えながら、ギルドの酒場で首を捻っていたとかなんとか……。



 そして、それを見ていた人影がひとつ。

 それは以前に、この酒場でルビンを見ていたローブの人物だった。



『ち……。不味いことになったな』



 表情はローブの奥に隠れて見えないものの、ポツリと呟いた言葉はエルフ言語。

 彼または彼女は、このありさまを見て野次馬の影に隠れながらコソコソとギルドを後にするのだが、

 仲間たちの遺体が燃える炎の残照を受けて、そいつの顔が浮かび上がった。


 チラリとはだけたローブの中には、色白のエルフの顔があり、まだ年若い青年のものにみえた。

 そして、


 ──────それを見逃すエリカのガンネルではなかった。




 フィィィイイン……。




 音もなく忍び寄ると、蜘蛛が糸を垂らすがごとく、エルフの密偵に目の前に───。


 ジャキン!!!


『ひぃ!?』


「「「エルフの密偵さぁん。逃がすと思ったぁぁあ?? んふふふ~♪」」」


 ニョキリと伸びるガンネルの銃口。


『く、くそ……!』

 そいつがピタリとエルフに向けられたかと思うと───……。


「おっと、そこまでだ」

「へへ。舐めんなよ!」


 ガン、ゴン!! と二機のガンネルが何かに立て続けに殴られ地面に墜落する。


「「「なッ?!」」」


 そして、

不可視の衣(ステルスローブ)よッ」

『うわっ』


 野次馬の中から現れた人影がローブのようなものをばさりと展開すると───。


「「「馬鹿な?!」」」


 スゥと、ローブに覆い隠されたエルフの密偵が姿を消す。

 たしかに、微かに気配はあるものの、野次馬に紛れてもう判然としない───……。


「「「ち……協力者がいたのかしら? 光学迷彩とは厄介だわね───」」」


 数機のガンネルが名残惜しそうに周囲を飛び回るが、野次馬の奇異の視線を浴びるだけで逃亡者たちの気配はもうどこにも掴むことはできなかった。


「「「───まぁいいか。大よその人相はわかったしね。男二人に、女が一人か二人?……全員冒険者装備ね~。んふふ」」」


 んふふふふ。

 んふふふふふふふ!!



 あーっはっはっはっはっは!!



 それだけを確認したガンネルは、表情などないというのに何処か機嫌が良さげにフワフワと夜空に消えていった……。

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[一言] いたそう・・・
[一言] ぎゃああああ! ただでさえ、厄介なのに、更に面倒に!
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