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第49話「【タイマー】は、『時の神殿』を探索する」

「うわー……ボロボロだね」

「こりゃ凄いな……随分古い建物だとは聞いていたけど、ここまでとは」


 ルビンたちの眼前には植物に侵食されあちこち罅だらけになった神殿に入り口があった。

 入り口の上にはちょっとした木まで生えているので、十年、二十年といった年月では利かないほど大昔の建物なのだろう。


 内部からはひんやりとした空気が流れてきており、微かに生き物の気配がする。

 ダンジョンに潜む魔物の気配だろう。

 普通のダンジョンに比して言えば随分とその気配は希薄ではあったけど……。


「よし、いくよ。全周警戒。とくに背後に注意して。前は俺が───」

「うん! 任せて」


 ニコッとほほ笑むレイナの頭をひと撫でするとルビンはミスリルのナイフを引き抜いて逆手に構えると、油断ない視線を送りつつ内部へ……。


 入ってすぐに薄闇に視界が閉ざされるが、思った通り内部はダンジョン由来の明かりに包まれていた。


「うん。入り口は大丈夫そうだ。レイナ、離れないでね」

「了解ッ」


 レイナも支給された小盾を構えて慎重にルビンに追従する。

 ナイフも支給されているのだが、慣れない武器を振り回してルビンに当たると困るので本当に緊急時以外は仕舞うように言っておいた。


 さて、


「まずは地図の通りに進もう。この辺は既に探索が済んでいるから、一直線に最奥へ向かうね」

「うん!」


 ……既に探索の済んだダンジョンというものは旨味が少ない。

 再ドロップする宝もあるというが、レアアイテムなどの初期配置の品物は既に回収されている。 


 そのため、ルビンも無駄な探索はせずに、一直線に最奥へも向かうことにした。

 今回の依頼は最奥の調査なのだ。宝箱の回収や、モンスター討伐でないだけに進みは早い。


 暗記した地図を頼りにルビンはすいすいとダンジョンを進んでいく。

 今のところ、モンスターもトラップの気配もない。


 ……その分、お宝もないんだけどね。


「なんだろう? 聞いていたよりもずっと順調だな」

「そうだね? トラップだらけだって聞いてたのに───あ、」


 言ってる傍から早速トラップ発見。


 連動型のトラップだ。

 片方のボタンを誰かが押している間に奥に進み、向こう側でまた誰からボタンを押して先に進むというタイプのトラップ。

 ちなみにボタンを離すと、落とし穴が空いたり、槍が飛び出してきたりと発動するトラップの種類は様々だ。


「レイナ見て。こっちのボタンを押している間だけ、床のトラップが静止するみたいだね。……まずは俺が行くから。レイナはこれを、」


 そう言って試しに赤いトラップのボタンを押してみる。

 すると、ガチャン!! と激しい音がして床から無数の槍が飛び出した。


「ひぇー。あのまま行けば串刺しか、エグイね……。で、このまま押しっぱなしにすると……」


 ガラガラガラガラ……。ガコーーン。


 機械の駆動音を立てて、槍が格納されていく。

 どうやら、このままいけばいいらしい。


「な、なるほど……これを押していればいいの?」

「うん。頼むよ、俺が向こうに渡り切るまで絶対放しちゃダメだよ、絶対だよ?!」


「う、うん! わかった!」


 レイナは何度も何度もコクコクと頷く。

 彼女の小さな手には、トラップ用の大きなボタンは随分と余るが、それでもレイナは懸命に抑え込んでいる。


「───絶対だよ、絶対!!」

「わかったって──────あ!」


 ルビンがちょうどトラップの上を渡ろうとしたとき──────ジャキン!!

「ひぃ!!!」

「ご、ゴメン!!」


 レイナが平謝りに謝る。

 どうやら、まるっこいボタンのせいで滑ってしまったようだ。

 ルビンがあまりにも必死に言うものだから力が入り過ぎてしまったのだろう。


「こ、こここここ、殺す気か?!」

「ごめーーーーん!」


 「ごめーーーん!」じゃねぇっつの!

 こりゃ、先が思いやられる……。 

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異世界サルーン
― 新着の感想 ―
[一言] ボタン押した状態でタイムかけて通ればいいんじゃね?
[一言] 無理しないでください
[良い点] 凄い面白いので頑張って下さい
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