表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

12/84

第12話「【タイマー】は、勧誘される」

 うーん。

 エリック達の処遇について頭を悩ませるルビン。

 本音ベースでいえば、少しは痛い目をみて欲しいところ。

「うーん……」

「───先ほどお聞き取りした情報を精査した上でなければ、ハッキリとしたことはお答えできませんが、その、ルビンさんの話を聞いた限りでは……」


 セリーナ嬢は、ルビンからの聞き取り調書をパラパラとまくりながら、額を押さえて悩まし気な顔だ。


「……これは、そのままの解釈でいえば───殺人未遂です」


 ですよねー。


「しかし、冒険者同士のいざこざは今に始まった話ではないので……。とくにダンジョン内などの法の目が届かないところでは我々が介入できる範囲にも限界があります。現に、何が起こってもおかしくはありません。なので、」


「なので?」


「ルビンさんには、申し訳ありませんが、パーティ内でのトラブルということで治めていただければ……。ギルドとしては、エリックさん達をお咎めなしにすることもできます。むしろ、ギルド側としてはそうしたいところが本音です」


「いえ、さすがにそれは…………」


 チリン……♪


 キウィの鈴が許さないと告げていた。

(もちろん。わかってるさ、キウィ───)


 そっと鈴を撫でるルビン。


「ですよねー……。しかし、そうなると───これは、一度ギルド上層部と話し合う必要がありますね……。正直私一人の手には余ります」


 眉間にしわを寄せ、深く深くため息をつくセリーナ嬢。


「なんかすみません……」

「いえ! もちろんルビンさんが悪いわけじゃないですよ。ですが……」


 再びため息をつく。


「その……。『鉄の拳(アイアンフィスト)』が内部分裂をしたとなれば、もう一度、彼らがSランクに相当する実力があるかランクの査定をやり直す必要があります。ですが───」


「ですが?」


「はい。こう言ってはなんですが、エリックさん達だけではSランクの査定試験をパスできないでしょう。……もし、そうなった場合、当ギルドはSランクパーティを欠くことになります」


「え? 別に俺が抜けたくらいで、そんなにランクが変わりますか?!」


「先ほども言いましたが、『鉄の拳(アイアンフィスト)』はアナタあってのSランクなんですよ? 現在の業績を見るに、正直あの4人だけなら───Bランクも怪しい所ですね……」


 いやいや、さすがにそれは言い過ぎだろう。

 別にエリック達を庇う気なんて毛頭ないけど、自分の評価が過大な気がする。


「なら、俺の代わりに誰かを斡旋すればいいんじゃ……?」

「ですから~!! アナタほどのスペックの人間が早々いてたまりますか!!」


 たまらず声を荒げるセリーナの剣幕に、ルビンは仰け反る。


「す、すみません……」

「い、いえ。私こそ大声出してスミマセン。でも、はぁ~…………」


 今日何度目かになるため息を聞いていて、さすがにルビンも気が重くなってきた。


「そ、その、Sランクじゃないとダメなんですか?」

「もちろんですよ! 通常はSランクという等級はありません。あれは、名誉階級に近いものがあります。普通ならAランクが最上ですからね。そして、そのありえないはずのSランクパーティが活動するギルドや国というのは、いわば人間兵器を所持しているようなものです。それは、大きなアドバンテージです。魔物に対しても、近隣の不法な武装集団に対しても抑止力となりますから」


「は、はぁ……?」


 そ、そんなにか?!

 Sランクってのは、ようするに(てい)のいい傭兵扱いということか。


「Sランクパーティは、いるだけで国防費が浮くということで、……どこの国のギルドも、Sランクを欲しています」


 へ? 国まで??

 こ、この人、ぶっちゃけ過ぎじゃね?!


「ですからルビンさん?」


 にっこり


「───『鉄の拳(アイアンフィスト)』にかわり、ギルドの斡旋するパーティと組みませんか? それならばすぐにでも等級審査試験を……」

「いやいや、ちょっとパーティで活動するのはしばらく勘弁してください! それに知らないメンバーというのはやはり……」

「……ですよねー」


 がっくりと項垂れるセリーナ嬢。


 実力を買ってくれるのは素直に嬉しいが、エリック達にあれ程の仕打ちを受けたうえで、また知らないメンバーとパーティを組むなんてちょっと考えられない。


 少なくとも、今は一人になりたかった。


「なら、せめてギルド職員のほうをご検討ください! えぇ、今すぐにでも!!」

「いや……。その───」


 ダメだ。

 この人、ギルド職員とかいいつつ、ルビンをリーダーに据えたギルド専属パーティを作る気だぞ、これは……。


「とにかく、少し考えさせてください」

「はい、もちろんです! では、明日にでも!」




 いや、だから早いって!!



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

お読みいただき、ありがとうございます!


⇧ の『☆☆☆☆☆』評価欄 ⇧にて


『★×5個』で、応援いただけると嬉しいです!



新作だよ!
⬇️ 新作 ⬇️

異世界サルーン
― 新着の感想 ―
[一言] オツムの弱い主人公って必ず意味不明な言い訳するよな(笑)うざいけど
2020/08/03 16:55 退会済み
管理
[一言] 他の人も書いてるけど、自己評価が低くてしつこいのにイライラします
[気になる点] 自己評価が低いのはあり得ることなので構わないけど、 あまりにしつこい。 基礎教養がある事など、理論立てて説明されてるのに何度も何度もボケをくりかえしてると、 やっぱコイツ駄目じゃね?と…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ