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プロローグ

~この作品はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。~

「こんのっ、オオバカヤロー!!」



ある快晴の初夏、部室から大声がした。

「まぁたやってんなあ、あいつら」

俺は辺りを見回した。

まだ授業が終わった直後ぐらいの時間な為、まだ部室棟には人が殆どいなかった。(今日は授業が午前半日だった為、俺はこの時間に来れた)

「よねやんのアレは、もはや病気の部類だよなあ」

俺はため息をついた。

「後輩の教育に悪いかもなあ。しょうがねえ」


部室のドアを開けて中に入った。





2×××年、大和国の伝統技能伝承者数は年々減少の一途を辿っている状態で、

特にカラクリ人形の継承者数は数人程度という状況だった。


これじゃイカン、途絶えてしまうと、カラクリ人形が盛んな猫矢(ねこや)市・(うるち)市・九竜(くりゅう)市の3市を中心に、関係省庁及び団体が合同で4年前に始めたのが、「カラクリ技能競技大会の開催」というものだった。

最初は細々とやっていたが、マスコミ等で大々的に宣伝し、現在では企業・大学・高校が参加するイベントとなった。


そして、我が崎橋(さきばし)技術大学も・・・



・・・1年前・・・


「カラクリ技能競技大会?」

昼休み、俺は蕎麦を啜る手を止め、相手の顔をまじまじと見た。

「そうよ! カラクリ技能競技大会!」

視線の先にいた恵子は、胸を張って答えた。

俺の隣で、よねやんが我関せずで、ラーメンを啜っている。

俺はため息を吐きながら、箸を置いた。

「そのカラクリ技能大会が何だってんだ?」

「このカラクリ技能()()大会に出場して、優勝するの!」

「なぜ?」

「大学宣伝の為よ!」

我が崎橋大学は、所謂Fランク大学に分類され、入学者数が、緩やかながらも年々減少傾向にあった。

なので、目玉となるような実績を作り、少しでも、入学者数回復に貢献したいというのは、素晴らしい考えなのだが・・・。

俺は、またため息を吐いた。

「愛しのイケメン事務員様から何か言われたのか?」

すると、恵子はキョドりながら、

「なっ、何の事?」

と、視線を逸らした。

こいつは、事務局のイケメン職員にホの字で、お手製のクッキー等を毎週渡していたりしている。

恵子は視線を戻すと、

「とにかく! アンタ達はあたしと、これに出るの! これは確定よ!」

と宣言した。そして、


「単位獲得のために!!」


俺はでかいため息を吐いた。

よねやんが、ラーメンの器を置き、ゲップした。



ああ、そっちか。お付き合いの条件かと思った。


っていうかまだ欲しいのか、単位。

(恵子は、こう見えても学年主席である)


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