かえる
【300字SS 第四十五回】
使用お題:
帰る
ジャンル:
オリジナル、ホラー
備考:
Twitterで月一に催されている「決まったお題で300字の作品を書こう」という企画『300字SS』、
第四十五回参加作です。文字数は改行と全角スペース除いて299字。
夜に出歩いてはならない。出迎えてもいけない。それがルールだった。
「俺だ」
父の声がする。玄関扉を叩いている。
今は零時。父は夜までに帰れなかった。
つまり、もう。
「ねえ、もし」
「駄目だよ」
儚い希望に縋る母を、僕は掴んだ。
「頼むよ」
父の声が響く。
母は僕を振り払った。リビングの扉を開き、玄関へ。
僕は急いで扉を閉めた。
母の悲鳴がした。
暫くして。
「ねえ」
母の声がした。扉の外から。
「開けて」
僕は震えた。耳を塞いだ。
ルールを破ると。
弱い陽が部屋に射していた。
朝だ。
声は聞こえない。
喪失感の中、僕はリビングの扉を開く。そこで気付いた。
玄関からリビングまでは、まだ真っ暗なことに。
「ただいま」
『それ』は顔を歪ませた。
この前、初めてポーを読みました。
気味の悪い話が多くて流石だなと思う一方、
自分はまだまだ不勉強だなと思い知らされました。
というわけで、本作、ポーの影響を強く受けている気がします。
我ながら単純ですね。
超備考:
新作書いたらTwitterで告知してます。宜しければ。
http://twitter.com/drawingwriting