相棒との出会い
ザッザッザ
数十メートル歩くと分かれ道があった
(右か左か、どっちに行こうか)
「右からなんかの気配を感じるな、こっちから行くか」
奥へ進んでいくと、地下へ進んでいく道があったので階段を降りていく
光魔法で周囲を照らしながら進んでいくと開けた場所にでたので部屋を照らすと
そこには至る所に鉄格子の牢屋があった
「地下牢か、異臭がするな。ちゃんと掃除くらいしとけよ」
あまり掃除はされていないようで鼻をつくようなにおいが漂っていた
牢屋の中を見てみると汚物が部屋の片隅にある。
「魔法でなんとかしろよ」
そう思いながら牢屋を見て回るが特に何かいるというわけではない
「どうなっている?」
しばらく見て回ると、あることに気づく
「ここの壁だけ違和感あんなぁ」
空間把握を使うと奥へ続く道があることがわかる
耳を澄ますと、ヒュウ~~、と風の音が聞こえる
「続いてるな、しかし、まだ意識しないとスキルが使えないな。無意識に使えるようにならないとな」
そう言いながら壁を蹴り壊す
ドゴオォン! ガラガラガラ
ものすごい音とともに壁が崩れおちる。さらに進んでいくとそこには檻がポツンとおいてあった
「こいつは....妖精か?かなり弱ってるな」
檻の中には弱々しい妖精が一匹横たわっていた
手のひらサイズ。碧の綺麗な髪でかわいらしい顔をしている
鑑定
name:
race:精霊
Lv:14
HP:13/75
MP:12/56
STR:32
DEX:65
VIT:64
INT:124
AGI:112
LUK:76
状態異常;衰弱
スキル
光魔法
防御魔法
付与魔法
隠密
精霊魔法
魔力回復上昇
「衰弱か、どうやって助けるかな」
とりあえず檻をこじ開けそっととりだす
「うぅ、あなたは?」
目もあまり開けずに消えそうな声で聞いてくる
「俺はヤマトだ、おまえは?」
「なまえは...ありません。生きている、うちに、なまえが、ほしかったのですが、かなわない、ようです」
「なんでだ?」
「もう、体力が、持ち、ません。あと、2,3、日の、命でしょう。」
「...」
「あの、ヤマト、さん。私が、死んだら、お墓を、つくってくれま、せんか?
しょたいめん、ですけど、どうか、おねがい、します。」
「...ちょっと待ってな」
「あり、が、とう、ござい、ます」
(衰弱ってどうやってなおすんだよ。...魔法はイメージだ。すべてをなおすイメージだ)
妖精に手をかざし集中する。魔力を集め相手にゆっくり流し込んでいく
すべてを治癒するというイメージで妖精を魔力で包み込んでいく
まばゆい光があたりに満ちあふれる
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「どうだ?やれるだけのことはやったぞ」
鑑定
name:
race:精霊
Lv:14
HP:75/75
MP:12/56
STR:32
DEX:65
VIT:64
INT:124
AGI:112
LUK:76
(よし、状態異常が消えたな。あとはこいつが目を覚ますのを待つか)
~数分後~
「うぅん、ここは?」
「目がさめたか?」
「ヤマトさん?私は...いったい」
「あぁ、回復魔法をかけてみたんだが、なんとかうまくいったみたいだな」
「助かったんですか?」
「みたいだな」
「え?!あ、ありがとうございます...」
妖精は自分が助かったのが信じられないようで驚きと感謝で困惑しているようだ
「なんで捕まったんだ?酷いけがもしてたし」
「実は、強い魔物に襲われて...必死に逃げたんですけど、追いつかれてしまって
攻撃が当たる瞬間に防御魔法を使ってなんとか致命傷は避けたんですけど、吹き飛ばされて崖から落ちて しまいました。」
「へぇ、強い魔物ね、どんな奴なんだ?」
「えぇ~と、中型の黒いドラゴンって感じでした」
「ドラゴンねぇ、面白いじゃねぇか。ところでお前なんで名前がないんだ?」
聞かない方がいいかもしれないな、と聞いた後で思ったが聞いてしまったのでしょうがない
「...私は、生まれたときから一人でした。ひとりで生きてきました。だから名前はありません」
(やっぱ思ったより深刻な話だったな)
「そうか、このあたりが故郷か?」
「いいえ、旅をしていました。ヤマトさんは何をしていたんですか?」
「あぁ、俺も一緒だ。世界中を旅しようと思ってる」
「そうなんですか?私と一緒ですね!」
「そうだな」
「...」
話が途切れて静寂が訪れる
「あの...」
妖精が遠慮がちに話しかけてくる
「あの、、私も連れて行ってくれませんか?役に立たないかもしれませんし、足を引っ張るかもしれません
でも、もう一人が....つらいんです。」
「そうか...」
(確かに、生まれてから一人はさすがにきついな。てかよく生きてこれたな)
「やっぱり駄目ですよね。何の役にも立たない私なんて」
(考え事をしていたら、NOだととらえられたらしい)
「まだ何も言ってねぇよ」
「え?いいんですか?」
「だからまだなんも言ってねぇよ」
「すいません」
「そうだな、俺もひとりだったし、いいぜ。一緒に来るか?」
不安そうな顔から一転、嬉しそうな顔になる
「本当ですか?」
「あぁ、じゃあ行くか」
そう言って歩き出すが、「ちょっと待ってください!」と声がかけられる
「どうした?」
少し考えて、何かを決心したかのように言う
「名前を、、、つけてくれませんか?」
「名前か、そうだな」
(なんも思い浮かばん、とりあえずエメラルドからとって、、、)
「そうだな、エル、とか?」
「エル、、、」
(黙り込んでしまった、きにいらなかったか?)
「ほかの考えようか?」
「いえ!とってもうれしいです。これからよろしくお願いします、ヤマトさん!」
「あぁ」
「さて、まだやることがあるからいくぞ、エル」
「はい!ヤマトさん!」
エルは溢れんばかりの笑顔でそういった。
そしてこれが相棒エルとの出会いだった。