episode4「魔法」
さて、俺がこの世界に転生してたから早三年の月日が経った。俺は何の問題もなくすくすくと成長している。
しかし、最近俺は深刻な悩みを抱えている。
両親のアレがうるさ過ぎて眠れないのだ。
毎日毎日アンアンアンアン、まさに猿の如し。
ところで、俺は最近魔術と剣術の修行を始めた。
自分から頼んだのだ。
最初は両親も「うーん、ヴァンにはまだ早いんじゃないかなぁ?」とか「はっはっは!向上心があるのはいいがヴァンはまだ三歳だろう?その筋肉と体力じゃまだ木刀も振れんぞう?」
などと言われていたが、俺が毎日毎日しつこく頼み込んでいたらとうとう「じゃあ、初級魔術からだよ?」とノヴァ「じゃあ、まずは体力作りだな。」とケイン。
両親どちらも相当俺のことが好きらしく、頼んだら大抵のことはやってくれる。親バカってやつだな。悪い気はしないが。
と、まあ、こんな感じでスタートした、俺の修行。まずは魔術の方。
「じゃあヴァン、よく見ていてね。」
「うん!」
「灼熱業火 炎の力をこの右手に」
「灼熱弾」
ノヴァの右手から、バスケットボールくらいの、火の玉が飛び出した。
か、かっこいい。すげえ。俺にもあんなことが……できるのか…?
「どう?ヴァン、すごいでしょー?」
とか考えていると、ノヴァがドヤ顔で近づいてきた。
「うん!すごいよお母さん!僕にもできるかなぁ」
「えへへ、ありがと。できるよ!だってヴァンは私の自慢の息子だもんね!」
こいつ。嬉しいこと言ってくれるじゃねえか。
よっし。
「じゃ、一回やってみるね!」
「あ、周りに人がいないか確認してからだよ。」
「はーい!」
安全確認をしてっと。よし、いくぞ。
「灼熱業火 炎の力をこの右手に」
「灼熱弾」
詠唱をした瞬間、自分の中の何かが右腕に集まっていく感じがした、そしてその力が外に放出された時。
「ヴォォォ」
運動会とかでよく使う大玉ころがしの大玉サイズの火の玉が飛び出した。
すげえ、俺にもできた。できたんだ!
感動の余韻に浸っていると、いきなり抱きかかえられた。
「すごい!すごいよヴァン!あんな大っきい灼熱弾が出せるなんて!!魔術の才能絶対あるよ!!」
おいおい、やめてくれよ、俺はそういうお世辞には、とことん弱いんだ。
「そんな、お母さん褒めすぎだよ。」
俺は満面の笑みで言った
「いやいや、すごいよ!ほんとに!他に使いたい魔術はある?多分今のヴァンの魔力量から考えて後打てるのは三、四発くらいだと思うから、使いたいのがあったら教えて!」
なるほど、やはり、魔力量と言うものは存在するのか、ならずっと使って見たかった魔法がある。
「僕、雷魔法が使って見たい!」
そう言うとノヴァは渋そうな顔をしながら
「あー、ごめんね、ヴァン、お母さん雷魔法は使えないんだ。」
あ、そうだったな。なら、なにがいいかな。
「でも、詠唱は知ってるから見本は見せれないけど、詠唱は教えてあげられるよ!」
おお、そうなのか、早く教えてくれ。
「うん!いいよ。教えて教えて!」
「うん。じゃあ、言うよ。」
よし、教えてもらった詠唱と、安全確認をしてから。
「天地雷鳴 雷の力をこの右手に」
「落雷」
「ゴオオオオン」
凄まじい音を立てて目の前に雷が落ちた。
「すごい!雷魔法も使えるの?!」
ノヴァが驚いていた。
「ヴァン、魔法はね、生まれた時から使える魔法使えない魔法があるんだ。で、大体親が使える魔法は子供も使えて、親が使えない魔法は子供も使えないんだよ。でも、ヴァンは私が使えない雷魔法を使える!これはすごいことだよ!」
興奮しながらノヴァは教えてくれた。
「あ、因みにケインは魔法は全く使えないんだよ。」
最後に笑いながら付け足した。
その日から数日は俺がどの魔法を使えてどの魔法が使えないかを検証してみた。
調べた結果、俺が使えるのは11種類中10種類、沼だけが使えなかった。
しかし、これでも十分にすごいのだとか、普通一般の人が使える魔法の種類は3種類だけなんだそうだ。
そう。俺だけではなく、ノヴァも結構凄かったのだ。
転送魔法や、陰陽などは、ノヴァが詠唱すらも知らなかったので、使えるかどうかはわからない。
そして、更に数日後、俺は魔法が詠唱無しでも使えるようになった。無詠唱というやつだ。
これには、ノヴァだけではなくケインも驚いていた。どうやらこの世界では無詠唱と言うものは、かなり希らしい。と、ここまでくれば、さすがに調子に乗らないと決めていた俺だが天狗になってしまう。
よし。次は剣術の修行だな。もしかしたらなにかすごい奥義とかが使えたりして。
などと、考えていたが、俺はまだ三歳だ。背丈に合う木刀が無かったので、剣術と言うよりは五歳くらいまでは、基礎トレーニングになりそうだ。
トホホ…