episode2「逃げたくない」
「そして、最後になったが、俺の正体だけどな」
男は続けた。
「俺の名前は、ヴァイン・ドレッド。
平和の世界で言うところの、死神だな、まあ、死神って言っても、お前らの考えている死神とは全く違うんだけどな。」
こいつ、背中がむず痒くなるようなことばかり言いやがる。
「俺はな、お前みたいに死んだ奴の、後処理係みたいな感じだ。」
男は続ける。
「今からお前に2つの選択肢を与える。1つ目、この世界で、平和の世界に転生する。もう一つ異界の世界に転生する。」
ちょっとまて。今なんつった?
異世界に、転生できる……?
「前者の方は、特典といった特典はないが、後者には、前世の記憶を持ったまま転生できる。」
待て、待て待て待て待て。
なんだそのアニメ見たいな展開。
高揚と疑問で、俺は何も考えられなくなっていた。が、自然と口は開いていた。
「やる。異界の世界に転生したい…!」
生前俺は逃げてばかりいた。
学校から逃げ、仕事から逃げ、家族、自分自身からも逃げていた。だから。
「もう、逃げたくない。逃げ続ける人生は嫌なんだ。異界の世界で、俺はやりたい。逃げない人生を…作業ゲーじゃない人生を!!!」
そんなこんなで、異世界生活、始まりました。