【速報】僕の家の前に神様がいる件について
初めまして、薊と言います。
オリジナルは初めて書きますが、何とか完走できるように頑張りますので
良かったら見て頂けると幸いです。
皆様は古事記という書物を知っているかい?
挨拶が大事とか、桃太郎や弦の恩返しといったお伽噺が書かれているわけではないことを読者の皆様には伝えておこう。
日本で最古の歴史書であり、天地開闢という天地がどうして出来たかという所から、神倭伊波礼毘古命――後の神武天皇――が、大和朝廷を結び、初の女性天皇である豊御食炊屋比売命――推古天皇の時代までの出来事を、フィクション百%で創作したものが古事記だそうだ。
…………そこ、全然違うとか言わないで。僕は日本神話とか一切分からないから、ネットで調べてもチンプンカンプンなのだ。だから、もし間違っていたとしても、そこは優しい目で見守ってくれると僕としてはとてもうれしい。
で、その古事記に書かれている中でも有名な神様と言ったら誰かといったら、太陽の神様の天照大神、月夜の神様の月読命、海原の神様の素戔嗚尊の三貴子だろう。漫画やラノベによく出てくるし、必殺技にもなっている程だ。
というか、何で僕が古事記の話をしているのかというと、事前に皆様にこのような知識を知ってから読んでほしいからだ。
何でって?おいおい、まずは落ち着いて、お茶でも飲んでリラックスしてほしい。それはもうすぐ分かる事だよ。早いヤツは女性に嫌われるぜ。
まあ、それはさておいて、そろそろ物語を開始しないといけない。いつまでも僕の話をする訳にもいかないからね。
それでは、僕の御話の始まりだ。
あまり僕は話をするのが上手くはなく、どちらかというと下手な方なので、ざっくりと説明する。
…………あらかじめ言っておくが、変な目で見ないでほしい、別に頭がおかしくなったわけでもなく、これは真実だ。
端的に言うと、『学校が終わって家に帰ると、古めかしい服を着た女が僕の家の前にいる』んだよ。
………………訳わかんねぇだろ?
言っている事が訳わかんねぇだろ?僕だって分かんねぇんだよ(泣
確かに僕はね、ラノベとか漫画は好きだよ。異能力に覚醒してバトルするのに憧れたし、異世界に行ってハーレムを体験したいと思うし、幻想入りや提督になって鎮守府に着任したいとも思っている只の青年――心はいつでも少年さ――だけれど、いざそういう場面に遭遇するとなると、実際には何をしたらいいのか分かんねぇんだよ。異世界転生系だったら、この後どういう行動をしたらいいのかというのは大体分かるけれど、こういう系は完全に予想外だったわー。
後姿だからよくわからないがこの僕が感じるに美女だな。だけれど、服装が完全に時代錯誤というか、羽衣なんて僕はリアルで初めて見た。あれってゲームか漫画の世界だけかと思っていた。
あ、そうかレイヤーさんか。ああ、納得。ならそんな服装でも可笑しくないよね。でも待って、何故に僕の家の前にいるのだろう。
…………ものすごい勢いで家のベルを鳴らしているんだけど、何この人!コワイ!
っべーよ、まじで、っべーよ、コイツやっべーよ。高○名人でもこんなに連打できねーよ、つーかベル壊れるよこれ。マジで。
「あの!!!」
気づくと僕は、その高○名人が如く連打するヤバい羽衣美女に声を掛けていた。おいおいおい、何を声かけているんだ俺は、馬鹿か俺は。此処は冷静にスルーするところだろうが、何自分から見えている地雷原に足を突っ込んでいるんだ?
「…………!」
女性は少しビックリしたのか、体を強張らせながらこちらを向いた。やはりというか、お約束というか、美少女だった。いやー、美少女で収まるレベルではないのにそれにかわる言葉が出ない。語彙が豊富な人達が羨ましい限りである。先ほどまでの行動が無ければ、更に怪しんだりはしなかったのだが。
「ここ、僕の家なんだけれど、君、友達の家と間違えてない?」
「…………貴方の家なのですか?」
女性は僕がそう言うと、とても澄んだ良い声でそう言った。そして、何故か僕に近づいてきたのだ。女性特有の良い香りが僕の鼻を擽る。何だが、天日干しした布団のような良い匂いだ。今すぐに顔を埋めたいが、目を瞑って抑えた。落ち着け、僕。この女性はさっきまで僕の家のベルを押しまくっていた女だぞ!
「あ、あの!お願いがあります!」
女性は声を荒げていった。僕は反射的に彼女の目を見る。
何だ?何だ、何だ、何だ、何だ!
僕は、この女性の次の台詞を考える。
『好きです、付き合ってください』『私の世界がピンチなの、助けて』『貴方に異能の力を授けましょう』『私と契約して魔法少年になってよ』『貴方を殺しにきました』
だが、実際に言った言葉は僕のどの考えも違っていた。天下の往来で、時刻は六時半。少し早いが部活帰りの学生達もいる中で女性は言った。
「私を、私を…………この家に住まわせてください!!!!」
女性は大きな声で言った。
僕が、呆然としてしまう程に。隣に住んでいる犬が、ビックリして吠えている程に。買い物帰りの主婦達が、会話を止めてしまう程に。同学生達が僕を見て指さして笑う程に。そしてなによりも、近所に住んでいる、噂大好きおばちゃんにも十分に聞こえてしまう程に。
「こ、これはスクープやで!!」
おばちゃんは掃除でもしていたのか、箒を持ったままに走り去ってしまう。
あのおばちゃんなら、きっと今からでも言いふらしてしまうだろう。しかも、かなりの尾ひれ付きで。
僕は思った、初めて願ったよ。
ああ、神様。もしも神様がいたら、この状況をどうか助けてください、ってね。
ここまで読んで下さりありがとうございます。
主人公の名前は次回分かります。
あまり更新は早くないですが、今後ともよろしくお願いします。