田中にさんざん笑われたがおまえも似合ってないぞそのフリル
「いやあ!驚きましたよね、課長や奥さんも転生してたとは、、
その上、俺の婚約者が課長、、って何の罰ゲームかと思いました」
田中が相変わらずの適当さでわしに言うが、こっちも同じ気持ちだ。
田中次郎はわしの前世の会社の部下で、生前からお調子もののうっかり八兵衛気質だ。(注、水戸黄門のお笑い担当の使用人)
「お父さんもそう怒らないで、今は田中さんも混乱してるのよ」
「そうっすよ課長、あんだけの美貌の肖像画見たあとで、実は課長でしたーとか
落差激しすぎだし、がっかり度が半端ないですよ。」
「悪かったな!わしも御免こうむる」
わしも自覚があるだけに田中の物言いがびしばしささる。
せめて顔だけで前世顔はやめて欲しい感じなのだ。
田中が興奮してしゃべくりまくり、わしが憤慨してる場所は、庭にある四阿で大理石のテーブルやら腰掛がある。
そこでわし、美代子、田中が話しているのだが、周囲からばっちり監視されてる。
嫁入り前の娘なのだから当たりまえだ、(前世とかでそんな怪しい雰囲気にはまったくならんのだが)部屋で三人ではもってのほかなので
美代子の提案で庭で三人でおしゃべりすることになったのだ。
だいたい田中は人のことを言うが、
田中だって顔と豪華なレースの貴族服は合ってない
どこぞの漫才師のように見えるんだけどな!
まあ、わしよりはましと言えばましなので腹が立つ。
美代子よ何かメリットがあるのかー
「メリットは田中さんやお父さんの、結婚はありえると思うの」
「嫌だ!」
「無理っす!」
ふたり同時に叫んでいた。怖気が襲って気絶しかけたぞ。
「まあ、幸いこの世界は奥さんは何人でも食べさせられたらOKみたいなので、田中さんにはお父さんと偽装結婚してもらう手もあるとおもうのよね」
「偽装なるほど、よくある形だけってのですね、でも、無理すっよ。結婚の時にはキスあるんですよ」
「絶対無理」
田中とわしは声がはもってしまった。
顔を見ただけで何かうっとなった、生理的な何かが邪魔する。
「そうねえ、お父さんと田中クンじゃ美少年愛にほど遠いしねえ」
「いやいや奥さんそんな問題でないし、そんな方向はいっさいないです。たとえ課長の肉体の方の顔が美貌でも、中身が課長なんでないです」
いつもはのらりくらりとした言葉でわしをいらいらさせた田中が、こういう時ははっきりと言う。
「わしもお断りだ。前提として考えるまでもない。わし、美代子、田中、、前世関係者がこれだけ出会ってるんだから、他にもいたらどうする。わしが田中と結婚したとかばれたら」
興奮しておかしな言葉になってる自覚があったが仕方ない。
「そっすね、まじそんなん鬱すぎますよーあの曽我部部長とか見られたら」
「どれだけねちねちやられるか」
曽我部は前世の会社の同期でわしとはライバルのようなものだったが、
うまく上司の娘さんと付き合って出世コースにのり、わしをこけにしてきた嫌な奴なのだ。
不倶戴天の敵であった。
「仕方ないわねえ、こうなったら、お父さんが性転換したらどうかしら」