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お見合いします!おまえもか!

 結婚それは前世では希望に満ちたものだった。


 あの世界のあの時代は良かったなーとかしみじみ思う、好きな相手と結婚できるんだからな。

 しかしこの世界のわしは貴族令嬢なので政略的にも結婚しなければならない

 それは分かっていたんだが、いざとなると死にたくなる。


「お父さん、こればかりは仕方ないですよ。目をつぶっていればいいことだし、ツンケンしてればここは愛人OKだから、形だけの結婚になりますって」


 美代子は何げにひっかかることを言ったが、まず結婚式事態が嫌だ。

 この世界も結婚式にはキスするんだ。


 綺麗な若い女の子か、せめて男の娘的な相手ならまだしも、男など気持ち悪すぎだろう。


「美代子!わしは家出する」


「えーでもお父さんって令嬢スキルしかないから、外へ出たらもっと大変だと思いますよ、美人だから一応」


 うつ、、そうだった。

 わしのスキルは実社会で何も役にたたないものなのだ。

 前世スキルもこの場合役には立たない。

 美代子に助けてもらうわけにはいかないし、一人で生き抜く自信なし。


「一度婚約者にあってみたらどうですか?相手の嫌がりそうなとことか、これはと思う弱点を見つけてコントロールすれば」


 美代子はおそろしいことを言った。

 弱点、コントロール、、、なんかもしかしてと思えなくもない。

 わしも前世でころがされてたのかもしれん。

 

 もんもんとしながらも、婚約の前のお茶会なるものに、相手からさそわれた。

 相手は侯爵家の長男で美青年のモテモテプレイボーイだ。


「もっと気持ちの悪い男ならまだしも、一応美男子なんだからましと言うもんですね。この肖像画どうりなら、お父さんがうらやましいわー」


 なんと美代子が相手をほめそやすので、さらに気分が悪くなっていた。

 今は女だといえ元嫁が他の男を賞賛するのは面白くないのだ。


「わしは修道院へいく」


 そう!修道院へいけば、結婚しなくてもいいし、清楚な尼さんたちの横顔をながめながら日々をすごすのも悪くないかもしれない。


 あらぬ妄想を打ち砕くように美代子が言った。


「修道院は平均年齢70歳の方ばかりだから、お父さんこき使われますよ」

 若い尼僧のシルエットが粉々に、、


「いや、、もう70歳だろうと女性がいい!」

 そう、70歳だろうと日本では綺麗な女優さんがいっぱいいた。

 外見より内面、男より女を取り、心の癒しを求めたいわけだ。


「女の園はそんないいもんでもないですけど、いざとなったら私も力を貸しますから一度あってみたらどうですか?その方が私も対策立てやすいし」


「うーむ」


 美代子が言うので、一度会ってみることにした。

 現世の親や親戚が困る事態となるからである。


「よかったやっと会う気になってくれたのね」


現世の母親がそう言って涙してくれたので、わしもかなりの無茶ぶりをしてたんだなあとか反省しつつ。

 美代子も同席の見合いを主張しその日に挑んだのだ。


 しかし馬車と言うのは、いかんせんきつい乗り物だなー。

 外見からすれば綺麗で優雅なんだがー、乗ってる中の人は実は白鳥の水かきのように、優雅にふるまっていたのだと知ることになる。

 

 車や電車に乗りなれたわしらからすれば、この揺れとか尻の痛さとか勘弁してほしいものがある。

 その痛みを耐えつつ令嬢としての品位を保つとか、、根性ものかと思うなあ。


 そんなこんなで、婚約者の領地に二日かかってわしらは到着したのだった。

 これなら歩きの方がいいと言うと美代子が、今のわしには無理だと言う。


 今まで無気力に生きてきた自分に反省し、これからはスクワットなどしてみようと思うのだった。


「あれが侯爵様の館ですわ」


 付き添いの夫人が言う館はうちのよりも豪華で大きかったが、今の家も前世に比べてたらはるかにでかい。

 わしが一生かけてもあの小さな家一軒かと思うとやっぱりスタートが違うとなあといじけてしまうのだった。


「未だに慣れないのが近所の家とかいいながら、どんだけ遠いかと言うとこですね」


 美代子は館の大きさなど気にならない様子でそんなことをつぶやいた。

 前世はちょっと歩けばコンビニがあり、駅から離れたところでもこんなに遠くないので前の世界の便利さが恋しくなる。


「空間転移の魔法が使えるようになるまでがんばらないと」


 美代子も口癖のように言うのは前世の便利さが恋しいからだろう。

 人間便利になりすぎると贅沢なのだ。


 ついに来てしまった。

 何と言うか自分のことではないような感じだが、、、とにかく相手に嫌われるように、ちょっと猫背で、、

 付き添い夫人にムチでしばかれた。

 貴族令嬢には教育係の婦人が付き添って、教育のためにムチでしばくのだ。


「さ、お出迎えがこられましたよ」


 ムチをどこかにしまった夫人が、さっきのことがなかったように、いい笑顔でわしらを誘導した。

 おとぎ話のお城のホールのようなところに、大勢の家人を引き連れた侯爵とその長男らしき装束の男が立っていた。

(あれが見合い相手かー、、ん?待てよ、、まさか)

 

 その姿を見てわしは驚愕した!

 そして相手も、、爆笑したのだ。


「田中!おまえか」


「課長まじっすか!」


 運命すぎるだろう!


 

 

 

 

 

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