おっさんサラリーマンが貴族令嬢に転生、でも活躍するでもなし
わしは何の意味があってこの世界にいるのだろうか?
何度考えてもわからない。
ただ前世の怠慢さで日々をたんたんと過ごしていけば
ある程度時間が過ぎると言う前世と似たような行動をすごしている。
わしは前世で日本と言う国のサラリーマンだった。
学校を出たあと就職し、見合いで結婚して、ローンで家を買い。
定番中の定番といえる人生を歩んできた。
そして、わしは脳溢血で倒れ帰らぬ人となったのだ。
そのあとすこしだけ嘆いていたようだが、家族で仲良く頑張っていくようにスクラムを組んでいた。何故スクラムを組んだのかはわからないが元気で良い。
まあ、どこにでもあるおっさんの人生だな。
昨今リストラされて悲惨に転落する人も多い中で、まあまあ平穏な人生だった。
それはそれでいいじゃないか、なのに何の罰ゲームなのか
わしは転生したいたのだ。
いやまあ、こういうのも嫌いじゃないよ。
転生したらさえないおっさーんがハーレムを作りとかな
007のようにニヒルなわしに惚れる美女たちとか、
そーいう甘いもんじゃないと、経験ではわかっていたが
これはないだろうと、これはないだろうと今も思っている
わしが転生したのは、、
ファンタジーのような世界の、、ここまではいい。
美貌の伯爵令嬢と言う立ち位置であった。
自分でいうなよ美貌とかとか叱られそうではあるが
よくある自分基準でも家族の欲目査定でもない。
なんつうか世間から白薔薇の麗人とかよばれとるんじゃー
むず痒いと言うか、恥ずかしいことこの上ない。
まあ前世から考えればうらやましい地位といえるだろうが
前はおっさんなんであるから
女と言う時点でとまどいがでる。
まあ、ここまではいい、これも運命だとあきらめがついたかもしれん。
しかし、しかし、あきらめきれない呪いがふりかかっていたのだ。
何故かわからんのだが、現世の顔にうっすらと前世の顔が見えるのだ。
少し残念な頭部のちょっと渋めのおっさんの顔が!
ちょっと血を吐きそうになる頭部の残念具合といい何故前世の最後の方?
もっと若いころふさふさの時のをもってこないのか!
美貌の伯爵令嬢、その通りにわしは美しい。
よくテレビでみた外国の美人女優より綺麗じゃないかのうとか思うほどだ。
自分の顔でなければ惚れてそうな金髪、空のような青い瞳。
ぬけるような白い肌にバラ色の頬
唇はさくらんぼうのようにかわいい。
ナルシスとにでもなっちゃいそうなかんじゃよ。
そこにおっさんの顔もだぶっているのが問題なのだ。
前世と同じ寂しい頭髪のおっさんの顔がドレスの上に!
おっさんの顔がドレスの上に!
わしは女装趣味はないのに、豪華にキラキラふりふりの服、、。
結婚式で新婦がきるようなごっついスカートのやつなのだ。
それをおっさんの、慣れることはあまりない。
だからと言って令嬢なのでパンツルックになるわけもいかんしな。
はじめはこの奇妙な現象に悩んだが
どうもこれはわしにしか見えないらしい。
そしてこれがあるからわしは前世の記憶をなくさずにいるのだ。
前に見たテレビ番組では、前世の記憶は9歳くらいまでと言う話を聞いた。
それ以降は忘れるらしい。
そりゃそうだな。
10年もたてば過去になっちゃうからな。
だが、わしはこのせいで前世をけして忘れられないのだ。
何かの罰だろうか?
罰だとしてもうっとうしすぎるのだが。
毎日鏡を見るのが怖いのでわしはあまり鏡をみないことにしている。
乳母とかメイド頭には自覚が足りないと指導されるが、滑稽すぎるだろおお!
おっさんの顔にフリルとかーレースとか拷問かと思うわい。
それに、気になることがある、、わしの前世のチャームポイント、、
あのころは唯一の希望だったつるつるの頭の上に残った一本の毛
これ、これがまだゆらゆらと残っている。
物理的にはどうにもならないから大丈夫と思ってみても
前世からの強い想いはどうにもならないようで
なくなってないか確かめてはほっとしつつ、
無くなってしまったらと恐怖するのだった。
このようにストレスな毎日なのに
男どもから求愛の視線を送られるおぞましさ。
心は前世嫁一筋のおっさんなので、男のきもい視線が痛いのだ。
女性なら許せるがな。
しかし令嬢とは因果なものなので婚約者がいる。
あったこともない男と結婚しなければならない。
そう考えると最近出家とか考えてしまうわしだった。