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プロローグ


 赤ん坊は幸運だった。首に臍の緒が絡まり、その上逆子での出産であったが、無事にこの世に生を受けた。母親は手術の負荷に耐えられず死亡したが。

 男の子は幸運だった。友達が投げたボールが空き地の外まで転がってしまい車に轢殺されそうになったが、掠り傷一つ負うことが無かった。そのまま空き地に突っ込んだ車に友達が轢殺されたが。

 少年は幸運だった。流行りの風邪のせいで修学旅行に行けず、二日間程家で父に頭を撫でて貰えた。クラスメートを乗せた修学旅行のバスが高速から転落し、クラスメートはその総てが死亡したが。


 そして青年――三上悠は幸運だ。


「たく、と……?」

「たすけ、たすけて、たすけて……!!たすけ、たす――ぁ、あひ、あひぁ、あひぁはははははははははははは!!!!!!!!」


 最近巷を騒がせている猟奇殺人事件。ある者は神経系にのみ過剰な電気負荷が掛かり、脳幹から脊椎までが完全に炭化し死亡。ある者は一切の外傷が認められないままに全身の骨が粉砕し、血の一滴すら流さずショック死。ある者は血液が一滴さえ残らぬ体となり、現場に血痕すら遺さず死亡。


 ――三上悠は、幸運だ。


「う、あ……あああああああぁああぁああああ――――!?」


 何せ目の前で親友……吾妻拓人が青白い焔に包まれ、瞬く間もなく灰となっても。親友を灰にした男が自分に視線を向け、右手を伸ばし、逃げることもできずに胸倉を掴まれ、男が獰猛な嗤いを見せた瞬間に。


「――お前、本当に派手ね?嫌いじゃないけど、少しは尻尾を掴ませない努力をしなさい」

「あぁ……?」


 少女に、出逢った。


 ……それはあまりにも些細で、陳腐で、雰囲気に欠ける邂逅だった。だったが。


「一人勝手に半狂乱でステージに上がり、気の向くままにマイクに声を入れ、ファンの表情さえ無視して踊る――そんな最低の役者に、私は決まってこう言うわ」


 彼女と出逢えたからこそ。


「舞台を降りな、三流役者――お前に役者を教えてやる」


 暗い路地裏ですら輝く彼女に出逢えたからこそ、自身は灰にならずに済んだ。代わりに無二の親友と――日常を失うこととなったが。


 三上悠は、幸運だった。幸運だった、はずなのだ――。


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