5話
Live研究部のメンバーは学校を出て、車の行き来が激しい交差点に着いた。
「ここが危険地域です。」
携帯を見ながらよみは言った。
「今回の対象は小学生の男子児童です。名前は言っても分からないと思います。彼が来たら教えますので、各自待機してください。」
「「「了解。」」」
えま、三河、優麗の三人は答えた。
「ここで起きるってことは交通事故か?」
「はい。今回は高い確率でそう出ています。」
「守るのは簡単そうね。」
「ええ。その気になれば、人間にもできることですからね。」
「でも、油断しちゃダメ。特によみちゃんは無理しちゃうでしょ?」
「はい。それはもう十分承知しています。」
「おい、俺には何の話か分からないんだ。説明してくれ。」
「はい。実はこれ・・・」
よみが話し出した瞬間、5人はある光景を目にした。明たちのいる反対側から、信号が赤から青に変わって、1人の幼い少年が走っていた。しかし、信号が赤のままであるにも関わらず、車道から一台の車が来た。車は少年に迫ってくる。
「あ、あの子です。」
「ったく、もうかよ。」
「これは間に合わないよ。」
「どうしよう、どうしよう。」
4人が慌てふためいている間、明の体は動き出した。
「こうするしかねーだろーが。」
明は走り出し、少年が車にぶつかるぎりぎりのところで、少年の体を抱え、後ろへと飛んだ。
車は通り過ぎてから、しばらくして止まり、中から運転手の男性が出てきた。
「すいません。急にブレーキが利かなくなって。大丈夫でしたか?」
「俺は平気ですが・・、お前は大丈夫か?」
明は目の前の少年に尋ねた。
「僕は大丈夫だよ。お兄ちゃんが助けてくれたから。」
「そうか。」
「でも、一応念のため。警察にも話さなくてはいけないので。」
「じゃあ、こいつだけ病院に連れて行ってください。また病院になんて面倒です。」
「本当にすいません。一応、連絡先です。何か、あったときに・・・」
「いいですって。俺、そろそろ戻らなくちゃいけないので。次から気をつけてください。じゃあな、坊主。」
「うん、ありがとう。お兄ちゃん。」
「おう。」
明は4人の元に戻ると、4人は驚いた表情をしていた。
「さて、さっきの話の続きをしてもらおうか・・・」
明がそう言い出した瞬間、よみが胸ぐらをつかんだ。
「おい、何だよ、いきなり。」
「どうしてあんな真似をしたの?」
「はっ?ってか、お前口調・・」
「どうして、あんな危険な真似をしたかを聞いてんの。せっかく事故から生き返ったばかりなのに。」
「お前、もしかして泣いているのか?」
「うるさい。いいから答えて。」
「えーと、助けたかったからか。」
「え?」
「別に俺は自分の命を軽く見ているわけじゃない。この間事故に遭ってからはますます大事だと思ってる。でも、それは他の命だって同じだ。だから、あんな場面見るとついやっちゃうんだよな。子供の頃からの癖だ。こんなの俺らしくないんだけどな。」
「・・・そうでしたね。でも、それがあなたでした。」
「何か心配かけたみたいだな。」
「いえ。平気みたいなのでいいです。」
「あのー、二人でいい雰囲気つくらないでもらえますか?」
明とよみは声のした方を向く。
「あんなよみ初めてだから止められないうちに、ラブシーンやられるなんて思わなかったな。」
「でも、何か良かった。」
「俺はイラつくだけだ。おい、メイド。お前聞きたいことがあるんだろう。」
「ああそうだった。お前らのやること何なのか教えてもらえるか?」
「もう、メイドにやってもらいました。」
「はっ?」
「僕たちの活動は人の命を救うことです。」