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Are you living?  作者: sanagi
3/12

1話

 5月。新しいクラスにも慣れ、仲良い友達もそこそこできた頃。

 ある日の朝、ドアを開けて入ってきたのは一部の人間には知らない男子。

 「明!」

 彼の下に一人の男子が駆け寄ってくる。

「お前、もう大丈夫なのか?」

「ああ。ひさしぶりだな。四条。」


 そう答えた彼は土屋明。今から約1ヶ月前、交通事故に遭い、昏睡状態が続いていたが、最近目を覚まし、今日学校に復帰することになった。

 「これからまたよろしくな。」

 「もちろんだ。」

 彼らの友人達も集まり、しゃべりこんだ。このクラスの女子はレベルが高いとか、学年が上がって勉強が難しくなって追いつかないとか。明も自分のいなかった1ヶ月のことが聞けて楽しかった。

 しばらくして予鈴が鳴り、席に戻り始めたころ明は聞いた。

 「そういや、俺の席はどこなんだ?」

 「向こうだよ。」

 明は四条が指差した方を見た。一番後ろの窓から二番目の席。そしてその隣り、窓側の生徒を見ると、

 一瞬、何の音も聞こえなくなった。

 ツインテールの美しい漆黒の髪、瞳も吸い込まれそうなきれいな黒、肌も真っ白だ。

 そうそこにいたのは美少女だった。彼女は頬杖をつき、ぼんやりと前を見ていた。

 明はその美しさにぼうっとしていた。

 「お前もか。」

 四条の声でハッと気づいた。

 「あの子は?」

 「彼女は西郷よみ。お前が事故った翌日に転校してきたんだよ。今の学校一の美少女。ったくいいよな。あいつと席隣りで。」

 明は席へ向かおうとした。

 「まあ、増日えまもあんなことになったからな。」

 「何だよ、それ?」

 旧学校一の美少女、そして明もあこがれていた(今は西郷よみに変わりつつあるが)増日えまの名前を聞いて驚いた。

 「あれ、知らない?そういや、明の事故の後だったな。実はな•••」

 ふと、よみが明たちの方を見た。そして、四条の目を強く見つめた。

 四条はぼうっとなり、そして、

 「まあ、いいや。席戻ろうっと。」

と、去ってしまった。

 「何だよ、あいつ?」

明は不思議に思いながらも席に着いた。

 席には着いたものの、明は何を話せばいいか分からず、緊張していた。先手を打ったのはよみだった。

 「あなたは土屋明君ですね。僕の名前は西郷よみと言います。これからよろしくお願いします。」

 よみは握手をしようと手を差し出した。

 「あ、よ、よろしく。」

 明はまだ緊張している。

 「さっそくですが、あなたのあだ名はメイドです。」

 「は、はい。って、はぁ?何だよ、それ?」 

 「由来ですか?まず、あなたの名前。明はメイと読み、土屋の土はドと読みます。次にあなたは事故に遭って、戻ってきました。つまり冥土から戻ってきたということです。これほどぴったりなあだ名、他にあると思いますか?」

 「いや、俺が気に入らないんだが。」

 「あなたに拒否権はありません。」

 このよみという少女、自分を僕と言い、丁寧語で話すというなかなかかわいいところがあるが、強引なようだ。

 「それに•••」

 よみは明の耳元でささやいた。

 「あなたはこれから僕のメイドになるんですから。」

 明はブルッと震えた。よみはフフっと笑っている。

 「少しは緊張ほぐしてもらえました?」

 明はこれがよみの気遣いで冗談だと分かり、安堵のため息をついた。 

 「改めて、よろしくお願いします。メイド。」

 明はこれは冗談じゃなかったのかと思い、顔をひきつらせた。

 

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