10話
放課後になり、それぞれの生徒が帰り支度や部活の準備をしていた。メイドも帰ろうとしたが、
「何帰ろうとしているんですか、メイド?」
よみに声をかけられた。
「そうだ。今日、先生に呼ばれたので部活遅くなることを伝えといてくれますか?」
「・・拒否権はないんだよな。」
「当たり前です。では。」
よみはそう言って、さっさと出て行った。
「さて、俺も行くか。」
メイドは一人、部室棟までの長い道のりを歩いて行った。
メイドはLive研究部の扉を開いた。
中にいたのは優麗、えま、三河の3人だった。
「あ、メイド~。やっほ~。」
「ったく、遅ーんだよ。」
「・・・。」
「お前らが早いだけだと思うんだけどな。」
「まあ、よみとメイドみたいに最長コースじゃないからね。でも、私はさっき席に着いたばかりだし、三河はサボって5時間目ぐらいからいたっぽいし。」
「しょうがねーだろ。非常事態だったんだから。」
「非常事態って、何かあったのか?」
「ああ、俺の腕のネジが1本取れそうになったんだ。俺の腕ってバズーカになっているから、発砲したらとんでもないことになるからな。急いでここに来てネジを止めなおしたんだ。」
「・・それは確かに大変だな。」
「私だって、大変だったんだよ。お昼のとき、傷口から血が大量に出てきちゃって。少しだけ血が出ているの友達に見られちゃって心配かけちゃったし、治療するのに時間かかってお昼食べられなかったし。」
「別に俺らは食べなくても平気だろ。死んでるんだから。そういや、増日には味覚ねーだろ。」
「そうだけど、気分的に?三河だって、残さずにいつも食べてるじゃん。」
「フッフッフ。実は俺には味覚がプログラムされていてな、味が分かるんだよ。」
「ずるい!」
「あの、ちょっと・・・」
えまと三河の会話をメイドが止めた。
「あ、ごめん。刺激強かったかな?」
「ああ。科学的なのとグロいのとで訳分かんなくなりそうだったよ。」
「ふーん。けっこう普通だけどな。」
「普通だと思うのはお前らだけだよ。」
「そういや、西郷は?」
「あいつなら、先生に呼ばれてる。」
「そうなんだ。」
ガタッ。
メイド、えま、三河は音のした方へ向いた。
優麗が立ち上がって、本棚の方へ行った。
「何で、あいつ幽霊なのに音が出るんだ。」
「よみがこの学校や家の中では物に触れられるようにしたからだよ。」
「でも、昨日机に触れられなかったよな。」
「触れられないように意識してたからだよ。」
「意識してできるのか?」
「できるんじゃないかな?ただ、意識強すぎると、ポルターガイストとかなっちゃうかもだけど。」
また優麗の方を見ると気にせず本を読んでいる。
「俺、嫌われてるのか?あまり話しかけてこないけど。」
「そんなこと無いと思うけど。まあ、優麗って人見知りなところあるからね。それに、優麗の死因って聞いたでしょ。」
「ああ。・・自殺だったな。」
「優麗は何も言わないけどね。やっぱり人間関係に
何かあったんじゃないかな?」
「そうかもな。」
そのとき、扉が開いた。
「遅くなってすいません。」




