9話
翌日、メイドはいつも通りに学校に登校した。
「おはよー、明。」
「おっす、四条。」
四条がメイドに声をかけた。
「昨日はかっこよかったじゃん。」
「何のことだ?」
「とぼけるなよ。」
「いや、分からないんだが。」
「明は忘れっぽいところがあるからな。でも、俺は見てたぞ。車にひかれそうな子供を助けたじゃないか。」
「ああ、あれか。」
「なかなかできることじゃないぞ。すごいってお前。」
「普通ではないことは認めるけど。・・・まあ、俺みたいにならなくて良かったよ。」
「そうだよな。明が事故に遭ったって聞いたときはマジで心配だったんだ。その後も・・・。あ、昨日言い忘れたんだけどな、実は・・・」
「増日えまが死んだんだろ。」
「何だ、知ってたのか。」
「昨日、よみに教えてもらった。」
「お前、もう名前呼びかよ。俺もまだ名字なのに。」
「別にあいつは気にしないと思うけど。」
「どうして、そんなに早く仲良くなった。」
「無理やりあいつの作った部活に入れられたんだ。」
「ああ、Live研究部だな。」
「知っているのか?」
「死者のいる部活って恐れられているぞ。実際見ただろ、増日えまそっくりなやつを。」
「そっくりって・・、まあな。」
「本人曰わく、同姓同名のそっくりさんらしいが、死んで数日も経たないうちに来たんだ。おかしいと思うのが普通だよな。」
「まあな。」
「他のメンバーも同じような経緯でこの天地高校にきたんだ。明も気をつけろよ。俺はそんな噂なんて信じてないが、学校中に広がっているんだ。孤立するかもしれない。」
「勘弁してくれ。」
「おはようございます。」
よみがやってきた。
「おはよう、西郷さん。」
「おはようございます、四条くん、後メイドも。」
「俺はついでかよ。」
「なあ、西郷さん。メイドって何?」
「彼のあだ名です。」
「へえ、なかなかおもしろいね。俺も呼ぼうかな。」
「マジでやめてくれ。」
「冗談だって。」
「2人って仲良いんですね。そういえば、さっきまで何を話してたんですか?」
「うーん、色々。こいつ、1ヶ月の間学校来てなかったからさ。」
「そうですか。じゃあ、後で僕も入れてくださいね。もう少しで授業始まりますから。」
「OK。また後で。」
「はい。」
よみは自分の席に着いた。
「西郷さんとあんなに話せてラッキー。サンキューな。」
「ああ。」
「もうちょっと助言すると、西郷さんのこと狙っているやつは多いから、取られないようにな。」
「別に俺はそういうつもりは・・・」
「さあ、席着くか。」
四条はそう言って自分の席に着いた。メイドもよみの隣の自分の席に着いた。




