どれだけ
途中から美香子ちゃん視点になります。
「あら、優一。お帰り。」
「ただいま、母さん。
美香子は?」
「部屋だけど・・・どうかした?」
「いや・・・」
母親に初めて嘘をつく。
そして、美香子にも嘘をついた。
コンコンッ
枕は涙でぐっしょりと濡れていて・・・
私の目は腫れていた。
「美香子。」
「お兄ちゃん・・・」
言いたいこと・・・
文句はたくさんあった。
だけど、お兄ちゃんの声を聞くと妙に安心して
怒りなど、収まってしまう。
私、本当・・・ブラコンなんだな・・
「入るぞ。」
「・・・」
カチャッ
「有理さんはどうしたの?」
「さっき別れた。」
「そ。」
「・・・俺、美香子の言ったことは許せない。」
「なによ、そんなのを言いに来たの?」
「・・・だけど、俺が嘘ついたのも事実だから・・・
ごめんな。」
私が言いたくてもいえない言葉。
謝りの言葉。
お兄ちゃんにも、有理さんにもいえない言葉。
「なんで?なんで謝るの・・・そんな簡単に・・・
私、有理さんを貶したのに。」
「そうだな。」
「信じられないよ、お兄ちゃん。」
「ほんと、兄妹なのに、どうしてここまで違うのかな。」
「それ、言う?」
悪態ついて言う。
「俺・・・」
「スルーですか・・・」
「有理が好きなんだ。」
「え?」
一体、何を言うかと思えば・・・
流れていた涙が一気に止まった。
「いまさら何?」
「え?驚かねぇの?」
「だって。お兄ちゃんが好きなの、バレバレだし。」
「マジ!?」
「大マジ。」
「アイツにもバレてるかな?」
「いや、それはないよ・・・」
あれは、気づいてない。
「そっか。
告白する前に振られたくねぇもんな」
「え?」
お兄ちゃんが振られる?
・・・・でも、有理さんはお兄ちゃんが隙だって・・・。
「ま、明日有理にちゃんと謝っとくんだぞ?」
「うん。」
なんか悔しいから、教えてあげないけどね。
次回、最終回です!