裏切り
「なに膨れてるのよ、美香子。」
「だってね、お母さん。
お兄ちゃん、女の人と帰ってたんだよ?」
「へぇ。彼女?」
「ううん。友達みたい。」
「だったら、いいじゃない。」
「よくないわよ!
だって・・・だって・・」
「だって?」
「これは、裏切りよ!」
「う、裏切りってね・・・」
「私に対する裏切りだわ。」
「でも、そんな日があってもいいんじゃない?」
「・・・」
確かに、ずっと私と居て新鮮さを求めたのかもしれない。
だけど、私としてはとってもショックな出来事だった。
お兄ちゃんの一番はずっと私だったから。
私より、あの人を優先した。
私じゃなくて。
それが、とってもショックだった。
「でも、あの人だいっきらい。」
「あの人って・・・優一と一緒に帰ってた女の人?」
「うん。」
「いやな人なの?」
むしろ・・・ほのぼのしてて、優しそうな人だった。
「優しそうだったよ。」
「だったらいいじゃない。」
「でも!
それが妙にイラつくの。
良い人っぽいから。尚更・・・」
「でもねぇ・・・」
「だいっきらい。
お兄ちゃんが好きかもしれないけど。
あんなダサダサで・・・
身の程知らずよ。」
「美香子?
そこまで言う必要はないでしょう。」
「なによ、お母さん。
お兄ちゃんの味方になるの?」
「味方とかじゃなくて・・・」
「・・・一番かわいそうなのは私なのに!
なんで、悪者扱いするの?」
「美香子!」
「悪いのはお兄ちゃんとあの人じゃない!」
私はそのまま部屋へと飛び出していった。
「どこで育て方を間違えてしまったのかしら・・・。」
次回もよろしくです!