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第5話

 教室に入った僕は、そのまま机にうつ伏せになりながら死んでいた。今日は朝からいろいろなことが、あり過ぎです。というか、転移酔いです。

 佐奈はある意味、規格外な魔力を持っています。

 だから今朝のように古代の御技――今の世では失われている魔力消費量が大き過ぎて使えない魔法――特にあれは軍用の広範囲魔法で、魔導士が数人がかりでようやく1発という最終兵器だし。この転移魔法だって……


 そういえば、今朝のは発動失敗したのかな? まあ、いいか……


「おはよう瑞希」

 そんな事を考えていると、誰かが僕に話しかけてきた。

「ああ、おはよう」

 のろのろと顔を上げると、そこには親友の速水・大地が立っていた。


「せ、セーラー服かよ」

「似合う?」

 僕の前でくるっと回ってみせた。

 セーラー服に学生ズボンって…

 まあ、違和感が無いというか、恐ろしいほど似合ってます。


「ついに男を捨てたのか?」

「やだなぁ、これは王立海軍の水兵さんが着てるやつだよ。先週、一緒に買っただろ」

「……この前のイベントで買ったやつだよね。似合ってるね~」

「でしょでしょ? 瑞希も着てくればいいのに」


 蜘蛛の糸より細い希望にしがみついている僕と、それなりに開き直った大地。

 趣味も性格も違う僕達だけど、小学校のころから、体格的なコンプレックスがあった。

 両親は栄養面で偏りがあるせいだと思っての事からか、僕達は身体に良さそうな色々なものを食べさせられた。


 ザリガニが良いと聞けば、おやつ代わりに殻ごと食べさせられた。他にも煮干しとか牛乳とか海藻とか、薬草の粉末から何か特殊な岩の粉末とか……

 最近は諦めたらしく、普通の食事だよ。一応、念のために言っとくけどね。


 そのほかにも色々あったけど、同じ悩みを抱えた僕達が出会ってから友情が芽生えるのには時間は要らなかったと思う。

 傷の舐め合いだとか思った人は、放課後に体育館の裏手にある庭園に来てくれるかな。

 そこでちょっとO☆HA☆NA☆SHIしよう。


 先週の日曜日は海軍記念日だった事もあって、色々なイベントがあったのだ。

 セーラー服は基地の中にある売店で買ったんだけど、僕はまだ袖を通していない。


「何かあったら学生服を持ってきておいて、着替えりゃいいかな」

「そうそう。たまには良いんじゃない?」

「じゃあ、明日… 着てくるよ」

「そうこなくっちゃ!」


 大地は僕を軽く抱きしめると、にこやかに笑った。


 その瞬間、ざわついていた教室が一瞬にして静かになった。


はい、男の娘です。

速水くんはただの女装少年ではなく、似合えば何を着てもいいと思っているし、実際に着こなしちゃいます。

天城くんは、最後の一線は越えまいと思っているようですけど、ね……

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