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第4話

 背景にゴージャスな花園を背負った勘違い男は、さらりと髪をかき上げながら言った。

 しゃら~ん、とか擬音が出てるよ、きっと。


「恋愛は自由だろ? しかし知的クールビューティーな生徒会長の正体が百合だったとはびっくりだ。それでは告白してくる男子が全員フられるわけ……」

 その言葉をさえぎるかのように絶対零度の声が響く。


「石橋? 私の視界から5秒以内に消えなさい。 …5」

「なんだって?」

「4、3…」

「ちょ、ちょっと待ってくれ。一体キミは何をそんなに怒って…」

「2、1。 ……短い付き合いだったわね」


 佐奈が唱えてる呪文の内容は…… やばい! 戦術級の攻撃魔法だ。

 勘違い男に逃げるように…… いや、まず佐奈を止めなきゃ。


「ターイラー……」

「べっ、べつにオレが誰にコクっても会長には関係ねーだろ」

「ターザンメ ウォウアリフ…」


 弁解してる暇があったら逃げて! そうじゃないと、命が危ない!

 というか、確実に、間違いなく死にます。

 意志力を総動員して、硬直した身体を振り向かせて、振り向かせ……


 ぎぎぎぎぎ……


 全身を軋ませながら…………

 ようやく振り返らせて、佐奈を見ると。

 組み合わせた彼女の両手の間には光の粒が集まり、淡く光り始めた。


 それは最初は赤く、そしてオレンジ色へと輝きを強めていく。

「やめて佐奈! 死人が出る!」

「…イェーター!」


 最後の力を振り絞って、佐奈の腕を押さえるのと呪文が完成したのは同時だった。


キュバッ!


 勘違い男の後ろに半球状の結界が展開されると、その中を凄まじい閃光が満たした。


「こっ、殺す気かっ!」

 結界が消えた後に残されていたのは、10メルトルくらいのクレーター。

 その中では、溶岩がふつふつと煮えたぎっている。

「この前も言ったでしょう? 次に私の機嫌を損ねたら死刑だと」

 まずい! 次の呪文を唱え終わって…… る?


 その時、予鈴が鳴り響いた。


「ふん、命拾いしたようね… みんきぃ、転移しちゃいましょうね」


 みょ~ん。


佐奈ちゃんが使おうとした魔法は、この世界で知られている魔法の中では最大級の破壊力を秘めた広範囲呪文です。

……失敗してよかったぁ

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